鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

癌の告知 その4

2016年09月09日 02時57分35秒 | 健康ネタ

翅を開いたヒメアカタテハ:本文とは特には関係ありません。

告知というものを考察してみよう、といったつもりはない。
思いつくままの脱線や周辺事情を何となく書いておきたいと思うだけ。
バブル景気崩壊後に、遅れがちの不景気が建築関連業にやってきて、弱小零細業者に倒産や連鎖的自己破産の嵐が吹いていた頃のことで、京都のある有名なお寺の幹部だった人の娘が話してくれたエピソードを思い出した。
自分の父親の死に様を、いつか書いて本にしたいと言っていた。
癌を宣告されたその坊さんは治療しないことを選択し、行かず後家(本人がそう言っていた)の娘に伝えたのだそうだ。
『わしは即身仏になる』
『よっしゃ、おとうちゃん! 協力するゎ』
どういう種類の癌だったのか、末期だったのか、それまでの経緯や諸事情は聞かなかった。
ただ一切の食事をいきなり絶って、お経を唱えるだけの生活に入ったのだそうだ。
最期近くなると唇がひび割れ、痛そうで見ていられず、筆に水を含ませては濡らしたのだという。
父と娘だからできたことかも知れないけれど、自殺と自殺幇助ではないのか、と聞きながら思ったものだった。
その話を聞いたのは、彼女の雇われ先が不渡りを出し社長が逃げて後始末に追われながらも、仕事を引き継いで何とかやりくりしている時だった。
『いつか、本を出版してゃ! 応援するから頑張って』と私。
『ありがとうね』と彼女。
そうして私は何とか逃げのび、彼女は嵐に翻弄されどこかに消えた。
         つづく
コメント
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