tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「平均消費性向」上昇傾向続く(2022年9月)

2022年11月10日 10時33分27秒 | 経済
11月8日に今年9月度の家計調査・家計収支編が発表になりました。
このブログで追いかけている「二人以上勤労者世帯」の平均消費性向は9月も上昇基調を維持しています。

      平均消費性向:対前年同月の動き

                 総務省「家計調査」

8月は特に大幅上昇でしたがグラフに見る通り、昨年9月の75.9%から77.7%に1.8ポイントの上昇です。
これで今年に入ってからは3月を除いて一貫して前年の水準を上回っていることになるわけで、一昨年、昨年あたりまでの「平均消費性向」と言えばもう何年も下がり続けているというイメージが一新された感じです。



7月から8月にかけては、コロナの第7波が猛威を振るったのですが平均消費性向が前年比で上昇しているということは、わが国の多くの家計が、長らく続いた貯蓄に専心という、将来不安から一辺倒から、我慢ばかりという生活態度では面白くない、少しは今日の生活も大事にしようという方向に意識が変わって来たのではないかといった感じを受けるところです。


折しも国際諸情勢からの世界的インフレという環境の中で、消費者物価は上がらなもののように思われていた日本でも、小幅とはいえ3%を超える消費者物価の上昇が起き、物によっては、先高を意識しての買い急ぎもあるのではないかと言われる状態もあります。

皆様のご家庭の消費意識がそのあたりの鍵になるわけですが、少しでも消費の活発化の傾向が出るという事は、これからの日本経済にとっても大変大事なことですので、注目しているところです。

9月の統計で「2人以上世帯」の消費支出の伸びを見ますと、支出総額の伸びは名目5.9%とかなりの伸びですが、、消費者物価の上昇で実質は2.3%になってしまって、些か残念です。

伸びているのは「家具家事用品」の21.8%、エアコンの買い替えでしょうか? ついで教養娯楽、「水道光熱」、これは電気、ガスの値上がりによる部分が多いかもしれません、「被服・履物」も伸びていて、交通通信も伸びていることから考えれば、コロナによる行動制限からの反動といった面もある感じです。

という事で、コロナによる蟄居の反動という面から考えると、ここ数日のオミクロンD5株らしい新規感染者増が気になりますが、社会全体の雰囲気が、コロナの状況や消費者物価の上昇などもあり、少し変わって来たという要素もあるのではないでしょうか。

アベノミクス以降の日本経済の分析から、最近の専門家の意見も、もう少し確りした賃金の上昇が必要という事になるようで、連合も賃金要求を5%と強め、経団連も賃上げは必要という見解を出す世の中になっているので、家庭レベルでの意識変化による消費性向の上昇傾向に合わせ、来春闘にかけて、賃金の引き上げ率の上昇が見られれば、低迷を続けてきた日本経済も、少し様相が変わるのではないかと期待しているところです。