tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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大和の地名(3)喜佐谷

2008年06月18日 | 奈良にこだわる
吉野町大字喜佐谷(きさだに)は、6/3に当ブログで紹介させていただいた。万葉集に「昔見し象(きさ)の小川」「み吉野の象山(きさやま)として登場する。象の小川は、今は喜佐谷川と呼ばれている。対岸の桜木神社に渡る小橋は、木末橋(こぬればし)と命名された。
※桜木神社と象の小川(当ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ef3d6fc9f5a4b6d38398118e42d6309d



「象(きさ)」が佳字(かじ=縁起の良い字)化して「喜佐」になったのは見当がつくが、そもそも、なぜ動物の「象」の字が当てられていたのか。

『奈良の地名由来辞典』(東京堂出版)を開いてみる。『和名抄』によると、材木の木目模様を「きさ」(木偏に雲)といい、木佐とも書く。《奈良朝時代、象そのものは実見していないが、「天智紀」十年条に「象牙(きさのき)」と載る。正倉院宝物の象牙文様が波状の縞模様の木目に似ているので、S字型に蛇行する谷を象谷と称したのだろう。キサは地形語で、キサはギザギザ(刻刻、段々)の義か。「喜佐」は佳字である》。



なるほど。つまり木目(木佐)が象牙にたとえられて「象(きさ)」という表記ができ、それが後に佳字化して「喜佐」となった、というわけだ。正倉院宝物も、思わぬところに登場するものだ。昔の人の想像力というのはすごい。

喜佐谷周辺は森の香りがあふれ、文字通り、森厳とした雰囲気が漂う。(「マイナスイオンたっぷり」と書きたいところだが、「発掘!あるある大事典」などが流行らせたマイナスイオンはインチキだったことが後に判明した、念のため。)
※マイナスイオン(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3

万葉びとも味わった喜佐谷の風情を、ぜひ追体験していただきたい。

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