tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

盛大に退職を祝っていただきました!in 阿伽陀屋(あかだや)若林亭

2021年12月31日 | 日々是雑感
この日曜日(2021.12.26)は、生涯忘れられない日となりました。若林梅香(稔)さんがたくさんの仲間を呼び、私の退職祝いの会を開いて下さったのです。皆さんからいただいた記念品は、以前からほしかった「漆の美~駒繋ぎ~」 (オリジナルの漆塗りマグカップ5点セット) でした!また若林さんは私のために、こんな書もしたためて下さいました。
※写真はすべて、写真家の澤戢三(さわ・しゅうぞう)先生にお撮りいただきました!





幾山川越えて今 峠
行くは前の平野か左右の頂か
頂極めるにはまだまだ若い
平野に下りて迷路をさまよう気力はまだある
どちらに進むにしても 気力は大事 梅香






うーん、なるほど、今はまだ峠道。私は気力も体力もありますし、皆さんからも激励を受けましたので、もうひと勝負してみたいと考えています。おかげさまで心機一転、新年から頑張っていくエネルギーが湧いてまいりました。若林さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
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古都奈良の風土を料理と器で再現!ならまち「白(つくも)」の懐石料理

2021年12月30日 | グルメガイド
先月(2021.11.25)、年上の友人であるKさんと、ならまちの「白 Tsukumo」(奈良市紀寺町968)を訪ねた。男2人の忘年会である。このお店、以前はJR奈良駅の近くにあったが2021年6月、ならまちに移転して来られた。


表に看板は出ていない。この写真はJR東海のサイトから拝借

この日は、夜の懐石コース(@16,500円)を予約していた。スタート時刻の午後6時には、日はとっぷりと暮れていた。JR東海のサイト「うましうるわし奈良」に、詳しい情報が出ていた。


前菜からスタート


晩秋のイメージが出ている、器もいい

店名は「白」と書いて「つくも」と読みます。百から一を取ると「白」に、一を引くと「九十九(つくも)」になることから。九十九と百の差はほんのわずかなのに、「そこには永遠が存在する」とご主人の西原理人さんは言います。あえて完璧ではない「九十九」にこだわるのは、古くから日本人が持つ「未完の美」という独自の美意識を大切にしたいから。その精神は、西原さんが作る料理の細部にも表れています。





東京出身の西原さんが最初に門戸を叩いたのは、京都の名店「嵐山吉兆」。10年間の修業の中で京料理の神髄はもちろん、華道・茶道・書道にも触れ、野菜の目利きに関しては土づくりから勉強したそう。次に選んだのは、軽井沢の蕎麦の名店。2年間、蕎麦懐石を学び、四季・風土・歴史を背景に料理を考えることを身に付けました。


不思議な形の赤膚焼の皿に、平城京をイメージしたきらびやかな料理が載る


なんと、この皿は正倉院宝物の「漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん)」をかたどったものだった!


下に敷いた杉板には見事な木目!春日杉だろうか

その後、アメリカ・ニューヨークで初の精進料理店の初代料理長を3年、吉兆時代の恩師と働くためイギリス・ロンドンのセレブ御用達の日本料理店で3年を過ごし、奥様の故郷であり日本最古の都である奈良で独立。「奈良は1300年前、海外の人がたくさん集うメトロポリタンでした。世界の最先端だった奈良で店を開くことが、海外での経験を取り入れてやりたいという自分の思いと一致したんです」。


ここで蕎麦が出てきた。ご主人は軽井沢の蕎麦名店で、蕎麦懐石を学んだのだった

その経歴が物語るように、西原さんの料理にはその土地の良さを存分に生かしたストーリーがあります。できるだけ奈良の食材を使い、四季折々の奈良の風土・情景・文化を料理に織り込んでいきます。たとえば2月なら、梅をモチーフにした料理を作りたいと、わざわざ梅が有名な月ヶ瀬梅林へと出かけ、その土地を自らで感じて、器と料理にイメージを落とし込むという手間をかけます。


脂の乗ったサンマが、こんな古風な皿に載って出てきた

器選びも秀逸で、現代の作家ものから知人から譲り受けた年代物まで、幅広く使用します。自身の思い描く器がない場合は特注することも。今では決して作り出すことのできない古くからあるものを現代のテイストに合うように使っています。料理は月替わりのおまかせで、昼は「一汁三菜」5,500円、夜は懐石料理16,500円~。




ご飯をお代りすると、香ばしいおこげを入れてくれた

茶懐石の根源を学び、海外に出た経験が強く影響していると言う西原さん。「今は自分の視点で作ることを大切に、自分なりの解釈で料理を考え、古い文化などを取り入れていきたいです」。西原さんの奈良と料理への探求心は、これからも果てなく深く続きます。ますます目が離せなくなりそうな一軒です。


デザートは、興福寺五重塔と猿沢池をイメージされている

工夫を凝らしたお料理はもちろん、器もよく吟味され、料理とマッチしている。地元食材にこだわっておられるだけではなく、奈良の歴史や風土をうまく表現している。以前、「アコルドゥ」の料理を「プレートの上の小宇宙」と書いたが、こちらの料理はさしずめ「皿の上の古都奈良」だ。

お客さんは地元民が多いそうだが、改めて地元に誇りを持ったことだろう。皆さんも、ぜひお訪ねください!
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東京・新橋のレストラン「TOKi」(奈良まほろば館2階)で奈良の食文化を満喫!

2021年12月29日 | グルメガイド
昨日に引き続き、モードスパニッシュ「アコルドゥ」に関連した話を紹介する。12月5日(日)東京・新橋のレストラン「TOKi」( 東京都港区新橋1丁目8-4 SMBC新橋ビル 奈良まほろば館2階)で「進化する奈良の食を満喫する特別ディナー」というイベントが行われた。



アコルドゥの川島宙(ひろし)シェフとTOKiの長谷川豊シェフがタッグを組み、奈良県産の食材を使った食事を提供する。食事の前には私が奈良の食文化について30分ほどのミニセミナーをする、という仕掛けである。イベントのHPによると、


奈良まほろば館・古川義富美館長の開会挨拶

進化する奈良の食を満喫する特別ディナー
2021/12/05(日) 18:30 ~ 20:30
奈良まほろば館レストラン「TOKi」 (東京都 港区新橋 1-8-4 奈良まほろば館2階)
[主催] 奈良県(運営は株式会社プレジデント社)



少し遅れてセミナーがスタート、これは忙しい!

▼イベントのサマリー
いにしえの奈良の都は日本の食文化の発祥地。奈良にルーツを持つ食は数多く、美しい水と肥沃な大地は、滋味あふれる食材を生み出しています。そんな奈良の魅力を存分に堪能できる料理会を12月5日、東京・新橋で開催します。




これら2枚の画像は、当日のミニセミナーのPowerPoint資料より

腕をふるうのは「アコルドゥ」の川島宙シェフ。スペイン・バスクのモダンスパニッシュの名店「ムガリッツ」で経験を重ね、奈良の自然と風土を感じさせる革新的な料理で注目を集める奇才です。



料理テーマは「田」。往古から農耕技術を発達させてきた奈良が現代に受け継ぐ伝統野菜をはじめ、倭鴨や三輪素麺など奈良県が誇る食材を使った独創的な料理をイベント特別料金でお楽しみいただけます。


盛り付けを指示される川島シェフ(向かって右端)

料理に先立ち、奈良の食文化に詳しい鉄田憲男・奈良まほろばソムリエの会専務理事によるミニセミナーを開催。奈良の食の歴史を学んだうえで味わう現代の料理。ひと味もふた味も違う体験になるはずです。



▼タイムテーブル
12月5日 18:00 受付開始/18:30 ミニセミナー開始/19:00 料理会開始/20:30 終了予定
▼参加費 6000円(税込み)*お飲み物の代金を含みます。
▼定員 18名




今回のテーマは「田」(田畑)だ。最初に出てきたメニューは「ネブカと翁 祈りの舞」。天から、結崎ネブカ(青ネギ)と能楽の翁の面が降ってきたという伝承に基づく。そこに、能楽のルーツといわれる奈良豆比古(ならづひこ)神社の「翁舞(おきなまい)」をかけてメニュー名とされた。





これに合わせたワインは「Eudald Brut Rosado」、スペイン産の発泡性ロゼワインで、フルーティでとても美味しいワインだった。


おお、何だこれは!


皿をずらすと、パスタ(三輪山本製)が顔を出した

次のメニューは「三輪山本 手延べパスタ麺 漆黒の海とかぼちゃの月」。これはもしかすると、百人一首に出てくる阿倍仲麻呂の歌「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠(御蓋)の山に出(い)でし月かも」をイメージしているのかも知れない。中国(唐)からやっと明日は日本に帰れるという日の送別会の席で満月を眺め、「あの月は、奈良の春日にある三笠山に昇っているのと同じ月なのだなあ」という感慨を詠んだ歌だ。しかし船は難破し、仲麻呂は日本に戻れず、再び唐に帰って来るのである。



これに合わせたのは「勝沼醸造 甲州ヴィンテージ2019」、フレッシュでフルーティな白ワインだった。



次に出てきたのは、「鴨一族とその心 実る心 蘇芳色(すおういろ=黒みを帯びた赤)のアルス(アート=芸術)」(トップ写真に同じ)。鴨族(鴨氏)は今の御所市で勢力を誇った古代の豪族。この鴨肉は、御所市にある合鴨肉専門店「鴨重(かもじゅう)」が、のびのびと育てた絶品「倭鴨(やまとがも)」。臭みがなく旨みだけが凝縮している。鴨族と鴨肉をかけているのだ。奈良の風物をあしらった赤膚焼の皿もいい。



次は「大鉄砲(おおでっぽう)の白餡とゆず“干し柿” 茴香(ういきょう)の香りの直会(なおらい)」。大鉄砲大豆は、奈良県の在来品種で、とても大きい。茴香(フェンネル)はセリ科の植物で、香草・薬草として用いられる。直会は、神さまにお供えしたものを神事のあとでいただくことだ(=神人共食)。大和の名物を神さまにお供えした、というイメージを醸し出す。


最後は小菓子「奈良漬サンド」。奈良漬は、スイーツにも使えるのだ


これに合わせた紅茶は、月ヶ瀬健康茶園の大和紅茶

今回も食べ手の想像力を刺激するこだわりの料理の数々だった。このイベントはあと2回、予定されている(1/30と2/20)。詳細は追って、奈良まほろば館のHPなどで公表される予定である。東京圏の皆さん、次の機会をお楽しみに!
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プレートの上の小宇宙、川島シェフの哲学が光る!アコルドゥのディナーコース

2021年12月28日 | グルメガイド
今月初め(2021.12.3)、友人と2人で久々にモード・スパニッシュ「アコルドゥ」(奈良市水門町70−1−3−1)を訪ねた。予約したのは夜のコース料理¥13,000 (税込み¥14,300)だ。開店と同時の午後6時に訪ねたが、日はとっぷりと暮れていた。



暗闇と静寂が、否が応でも期待を高める。テーブルに着いたがメニューはなく、カードに判じ物のような文言が書かれていて、店員さんがめくってくれるという仕掛けである。お店の公式HPの「Story」には、


オードブル。カードには「旬と結崎ネブカ シェリー風味の“ヌタ”」とある

アコルドゥとは単に場所や店の名前でなくその概念、世界観の総称です。その入り口であり、出口であるアコルドゥは、どこからでもその世界に思いを馳せることができます。


パンには味と香りがついていた。聞いてみると、なんと、タマネギが練り込まれていた!

物語 materials ヒューマン・テロワール
“地産地消” アコルドゥを表現する時によく用いられる言葉。単純に、その土地でできたものをその土地で食べようと言う事では無い。どこで作られたかではなく、誰がどのような思いで作ったのか、その素材が、どのような背景と時間の流れの中で生まれ育ってきたのか。そんな事に思いを寄せて、私たちは自分たちの生きる環境を愛し、人と素材、料理に向き合っています。



カボチャのスープの満月、赤いのはアマランサスの幼葉。「三笠の山に出(いで)し月かも…」


カブラは新鮮でシャキシャキしていた。ヒゲ根まで美味しい!

地に根ざしてそこで生きてゆく人々と、そこから作り出される素材。豚や牛や鶏や鴨。自分達が生み出したものが一番だと信じている。しかしながら、皆常に何かを思い、常に改良しながら昨日よりも一つ先に進む。


カードには「秋の実りと生きるモノ」




葉っぱをずらすと、こんな感じだ

情熱と優しさ、プロ意識と思いやり。料理は人そのもの。素材だけでなく、その想いまでひっくるめて頂く。


「海のミネラルと大地 冬の香り」


「大和まなのジェノヴェーゼ(大和まなを練り込んだパスタ)温かなミルク」

作り手のピュアさが、素材の美しさ、美味しさに繋がる。『アコルドゥの料理は綺麗ね』と言われる。それは素材と料理の内面に含まれているものが美しいから。人も果物も野菜も、自然もすべてに生涯がある。


「ソパ デ アホ(ニンニクのスープ)魚のロースト」、魚はキアラ(青ハタ)


「サフランのアロス(炊き込みご飯)と大和肉鶏 深まる秋と景色」トップ写真に同じ


「日本のケソ(チーズ)とパート・ド・フリュイ(果物を固めたゼリー)」

旅人 nomad
私たちはたくさんの自然や人と出会い、彷徨うように世界を見つめます。奈良に生きる自分たちと、地と時を思う皆様の心をリンクさせながら、手に届く豊かな素材をもとに料理という形でストーリーを綴ります。



「根の質感と美味しい土」


「実り、終わり行くもの」


小菓子には、大和橘の実が練り込んである

宇宙 microcosmos
アコルドゥは過去を振り返り。そして未来へ飛び立ちます。私たちの思考を表現し、無限に広がる場所。この箱は、まさに小宇宙。


大和橘は香りは良いがとても小さいので、そのまま食べるのはムリだ


夜はカフェインを控えているので、香り高いハーブティーに替えてもらった

最初からおしまいまで、息もつかせぬほどの高いレベルの料理が、次々と繰り出されてきた。地元の食材を使い、しかも普通は捨てるようなヒゲ根まで使い切る。五感を刺激し、「次は何が出てくるのだろう」「これは何を象(かたど)っているのだろうか」と、想像力もワクワク感も高まる。

アコルドゥとはバスク語で「記憶」という意味だそうだが、食べ手の記憶にシッカリと刻み込まれる素晴らしい料理である。ぜひ、お訪ねいただきたい。
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これはうまい!長崎名物、吉宗(よっそう)の茶碗蒸しと蒸し寿司の「夫婦蒸し」

2021年12月26日 | グルメガイド
長崎市ご出身で奈良市在住の吉田遊福(ゆうふく)さんのご実家は、1866年(慶応2年)創業の「有限会社 吉宗」である。同社は茶碗蒸しと蒸し寿司を商っておられる。茶碗蒸しと蒸し寿司は、セットして「夫婦蒸し」というのだそうだ。ご創業者が吉田宗吉さんなので「吉宗(よっそう)」、決して「よしむね」ではない。七代目社長の吉田宗由さんが、同社のHPに書かれた「ごあいさつ」には、


冷凍で取り寄せた蒸し寿司は1食594円(税込み)

当店は慶応二年(1866年)、長崎市万屋町(現在は浜町)で、吉田宗吉信武が【吉宗】を屋号として、茶碗むし、蒸寿し専門の店として開業したのが始まりです。食文化豊な長崎で育まれた当店の茶碗むし・蒸寿しは、吟味された材料と独特の手法で調整し、その素朴な味は永年皆様にしたしまれております。


茶碗蒸しは1食562円(税込み)

浜町の吉宗本店は昭和二年(1927年)に建設され、平成二十四年(2012年)に父・徹の代において代々の念願であった改修工事を叶えることができ、吉宗独特の趣はそのままに長崎町家の伝統的意匠である中庭を再現、おかげ様で「長崎都市景観賞・激励賞」をいただくことができました。



長崎の山海の幸を生かした家庭の味を
初代宗吉の原点を忘れず護り続けて150余年―

吉宗の茶碗むしは「一子相伝」の味として、代々受け継がれ現在に至っております。今後、いつまでも変化しない本質を忘れない中にも、現代に応じて変化するという「不易流行」の考え方を大切にし、淀みなく新しい真理を追究し、お客様のご要望にお応えしてまいります。長崎の地に育まれた伝承の味― 創業以来150余年、暖簾の重みを受け止め、初代宗吉からの茶碗むしへの思いを変わることなく受け継いでまいります。


茶碗蒸しはエビやシイタケなど具材がたっぷりで、ダシもよく利いている。蒸し寿司でミンチ肉のように見えるのはアナゴの蒲焼きで、これが白身魚のでんぶなどと見事にマッチしている。お取り寄せは、こちらから。皆さんも、ぜひお試しください!
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