tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

毛原廃寺跡 山林修行者管理のための寺?!/毎日新聞「やまと百寺参り」第69回

2020年09月30日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。9月17日付で掲載されたのは「謎の大寺跡大型礎石群/毛原廃寺跡(山添村)」、執筆されたのは同会会員の小倉つき子さん。小倉さんはもと新薬師寺執事長、最近は得度され、小倉涼眞の法名を持つ。
※集落内に保存されている毛原廃寺金堂跡の礎石群=山添村毛原で

小倉さんは奈良まほろばソムリエの会で「保存・継承グループ」に所属し、県下の文化財などを調査。その副産物として、本年(2020年)6月には『廃寺のみ仏たちは、今』(京阪奈新書)を上梓された。では記事全文を紹介する。

三重県と奈良県との県境に位置する山添村毛原(やまぞえむらけはら)に、奈良時代建立の大規模寺院跡と思われる大型礎石群が発掘され保存されています。1926(大正15)年に「毛原廃寺跡(けはらはいじあと)」として国の史跡に指定され、約100年にわたり調査と保存が行われてきました。

金堂跡は、集落内の稲荷神社周辺にあり、唐招提寺金堂に匹敵する大きさであろうと推定されています。金堂の南約50㍍の畑地に中門跡、さらに南約25㍍の地で南門跡も発掘されました。平成に入っての調査で、主要伽藍西側の水田から基壇が検出され、食堂(じきどう)跡ではないかと推測されています。

従来、東大寺の木材採取のための杣山(そまやま)を管理する天平時代中期の寺院と指摘されてきましたが、近年、出土瓦が天平時代初年のものと判明、山林修行者管理のための寺院ではなかったかとの説が有力になっており、大寺跡の謎は深まるばかりです。

現在、同廃寺跡の中心部は宅地になっていますが、礎石群が地域の暮らしの中に溶け込み、供養祭が毎年、住民の手で行われているのも毛原廃寺の魅力です。(奈良まほろばソムリエの会 会員 小倉つき子)

(住 所)山辺郡山添村毛原
(電 話)0743・85・0081(山添村観光協会)
(交 通)近鉄名張駅からバス「毛原神社前」下車、徒歩約5分
(拝 観)見学は自由
(駐車場)無


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村上春樹の「奈良にうまいものあり」(「群像」1983年1月号)

2020年09月29日 | 観光にまつわるエトセトラ
村上春樹は以前、奈良県下の1軒の宿坊と、2軒の飲食店を訪ね、その美味しさを讃えていた。「群像」1983年(昭和58年)1月号に載ったエッセイ「奈良の味」である。私もコピーを取っていたが、いつの間にかなくしてしまった。ところが4日前(2020.9.25)、吉田遊福さんがFacebookで、東京紅團(くれないだん)のサイトに載ったその抄録を紹介されていた。参考までに以下に抜粋しておく。紫が東京紅團の文章、青が村上の原文である。
※トップ写真は綿宗(大和郡山市八条町45)、吉田遊福さんのFBから拝借

村上春樹は「群像」(講談社)で昭和54年に「群像新人文学賞」を、昭和57年に「野間文芸新人賞」を受賞しています。昭和57年に受賞した「第4回野間文芸新人賞」の発表は「群像」の昭和58年1月号です。この1月号の「季語暦語」に村上春樹は「奈良の味」という随筆(エッセイ)を書いています。

毎年秋の終りから冬のはじめにかけて、静かなところにでかけて美味いものを食べることにしている、どうしてかというとこの時期が我々の結婚記念日にあたるからである。

<三嶋亭>
村上春樹は京都の食については決して良くは書いていません。このエッセイ(奈良の味)でも、厳しく書いています。


見ばえだけ立派で味に心がこもっていなくて、値段が高い。おまけに「東京の人に味なんかわかりますかいな」という態度がミエミエである。実に腹立たしい。地下鉄ができると街はみんな駄目になってしまう。最近では京都に行っても「三嶋亭」で肉を買って、錦小路で野菜を買って(えび芋がなくては冬が来ない)、それでおしまい。家に帰って自分で料理した方がよほど気がきいている。

<矢田寺>
それに比べて奈良の料理は決して凝ったものではないのだけれど、そのぶん素朴で、不思議に心になじむところがある。田舎料理といえば田舎料理だけど、ここにはまだ生活の匂いのようなものがある。値段も安いし、観光客の数も京都ほど多くない。

今回の収穫は矢田寺の宿坊と吉野の「弥助」の鮎料理と二階堂の「綿宗」のうなぎ料理だった。
矢田寺の宿坊は1泊2食3900円という安さだから、べつに立派な食事が出るわけではない。というか、はっきり言って粗末なものしか出てこない。野菜の煮ものと酢のものと精進あげぐらいのものだ。でもこれが本当においしかった。


<綿宗>
「綿宗」は今にも消えてしまいそうな町なみの中にある今にも崩れ落ちそうな料理旅館だ。暗い台所をのぞくとおばあさんが一人でうなぎを裂いている。味はとてもいい。まだ口の中に残っている。


<釣瓶鮨 弥助>
「弥助」は有名な料理旅館だから御存知の方も多いと思う。ちょっと季節外れではあったけれど、僕は鮎料理が大好きだから、全品鮎料理なんていうお膳を見ると実に感動してしまう。鮎子も美味い。


いかがだろう。よく京都は雅(みやび=都・宮の美)、奈良は俚(ひなび=山里の美)といわれる。34歳の村上が、地味で素朴な奈良の味をほめてくれていたことは、とても嬉しい。皆さんも胸を張って「奈良にうまいものあり」をアピールいたしましょう!

本件を報じた新聞記事(紙名・掲載日は不詳)

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10分でわかる万葉講座(奈良ロータリークラブ卓話)

2020年09月28日 | 万葉集
9月17日(木)、奈良ロータリークラブ様からお招きいただき、奈良ホテルで開催された2020年度第10回例会で、卓話をさせていただいた。「30分でわかる万葉集」というタイトルだったが、うち20分はVTR(昨年実施した「JR万葉まほろばウォーク」の模様)を見ていただいたので、私の出番はわずか10分。しかしパワポ資料を配布すれば10分でも結構中身をお伝えできるな、というのが実感だった。

このたびその10分の話をテープ起こしして、会報紙(9/24付)にきれいにまとめてくださった。以下、会報紙から抜粋して当日の内容を紹介する。なおパワポ資料は奈良まほろばソムリエの会・米谷潔さんがお作りになったものをアップデートした。米谷さんは当会で最も万葉集に詳しい人である。VTRでは当会のベテランガイド・安井永さんのガイドぶりを見ていただいた。安井さんは、奈良のガイド名人を決める「Nara観光コンシェルジュアワード」で、最優秀賞に輝いている。

JR万葉まほろばウォーク 20分ダイジェスト版(山の辺の道編)

ただ今ご紹介いただきました、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」専務理事の鉄田憲男と申します。おかげさまで、当会は来年で10周年を迎えます。メンバーも420人に増えました。発足した時、当時の小北会長がこちらの卓話に呼んでいただきましたが、当時の会員数は153人でしたので、あっという間に3倍に増えたことになります。

私は一旦退職いたしましたが、定年延長制度で今も南都銀行に籍があり、地域事業創造部で週に2日勤務しています。同じ部には松山会長様のご子息がいらっしゃいます。不思議なご縁に感謝しています。日々、奈良の観光振興を考えながら、週5日はソムリエの会、週2日は銀行で、同じテーマで活動しています。

先ほど会長様から「奈良の歴史、文化、食をこれからアピールしていきたい」ということでしたが、歴史も文化も食も、すべて私の得意分野ですので、何か協力させていただきたいと思っております。

今日は「30分でわかる万葉集」というタイトルをつけました。万葉集は昨年、新元号「令和」がスタートした時、令和という言葉が万葉集の詞書(ことばがき)から採られたことから、万葉集がブームになりました。そのブームは今も続いており、奈良まほろばソムリエの会では、来年2月末をメドに『奈良万葉の旅百首』という新書本の出版を計画しています。「県内の万葉集ゆかりの地に携えていただけるガイドブック」、というのが本のコンセプトです。



最初の10分で万葉集のあらましを説明いたします。残りの20分で、ソムリエの会が昨年実施いたしました「JR万葉まほろばウォーク」のVTRを見ていただきます。皆さまが実際に山の辺の道を歩き、万葉歌碑を巡っているようなバーチャル体験ができるように、と思って作ったVTRです。ロータリークラブ様は来年、子供さん向けに山の辺の道を歩くツアーを企画されているとお聞きしましたので、ちょうど良いかなと思って、このVTRを用意いたしました。

JR万葉まほろばウォークは、昨年12月7日(土)に実施いたしました。JR西日本の桜井線、つまり万葉まほろば線の新型車両4両編成をチャーターしました。JR奈良駅から巻向駅まで乗りまして、車内では柿の葉寿司のお弁当を食べていただきながら、車掌のマイクを使って「万葉ミニ万葉講座」を聞いていただきました。巻向駅からは山の辺の道を歩いて大神神社をめざしました。おかげさまで126人もの方にご参加いただきました。

あと各テーブルの上に、チラシを置かせていただきました。これは今年の「日本書紀編纂1300年」を記念して、ソムリエの会が行うウォーキングツアー「歩く・見る・学ぶ!『日本書紀』物語2020」のチラシです。本年10月~12月の間に月1回、飛鳥、橿原、桜井の3コースのツアーを行います。ツアーのスタート前には、約1時間の講演を聞いていただき、予習してから現地を訪ねるという仕掛けです。ちょうど昨日から募集を開始いたしましたので、よろしければぜひ、お申込みをお願いいたします。



前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。万葉集は現存最古・日本で最も古い歌集です。しかもドナルド・キーン氏によると「日本で最高の歌集」です。つまり日本最古・最高の歌集が万葉集です。「万」は数が多いということです。「葉」は「世」、つまり千年後万年後も世の中に伝わるべき歌集ということ、あるいは「葉」は「歌」、つまりたくさんの歌を載せた歌集ということ、の2つの解釈があります。

大伴家持が詠んだ「新(あらた)しき年の始の初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)」はご存じと思います。よく年賀状にも使われ、私も毎年3~5枚ほどはこの歌の載った年賀状をいただきます。今は太陽暦ですが、当時は太陰太陽暦でした。この年は太陽暦の元旦と太陰暦の立春が重なりました。それだけでもめでたいのに、豊作の予兆とされる雪が降ってきた、めでたしめでたし、という歌です。



さて全国の都道府県でも、一番万葉集に関わりの深いのが奈良県です。万葉集に登場する地名は延べ約2900あり、そのうち約3分の1の延べ約900が奈良県の地名です。これはダントツなのです。ですので犬養孝氏の名著『万葉の旅』は上中下の3巻ありますが、上巻はすべて大和です。



万葉集の詠み手は、上は天皇、下は防人や遊女。約500人の歌人(うち約100人が女性)が歌を詠んでいます。のちの古今集や新古今集はほとんどが貴族や公家の歌ですが、万葉集はこのようにいろんな詠み手がいてバラエティー豊か、そこに面白みがあるのです。



万葉集で一番よく歌われている動物は「ほととぎす」です。今も「目には青葉山ほととぎす初鰹」と言いますが、春を告げる代表的な鳥のほととぎすが1番です。2番目が馬。馬は今で言ったら車で、身近な存在でしたので、たくさん詠まれています。

植物では萩が一番多く、140首あります。次が梅です。萩は花が小さいので今はあまり注目されませんが昔は萩が秋を代表する植物としてたくさん詠まれています。

最後に載せましたのは、柿本人麻呂歌集に出てくる歌です。「敷島の日本(やまと)の国は言霊(ことだま)のたすくる国ぞま幸(ささ)くありこそ」。大和の国は言霊、言葉の魂が助ける国、ぜひ無事であってほしい。日本には古来、言霊という考え方がありました。不吉なことを口にすると本当に悪いことが起こるので言うな、と。だから日本ではブラックユーモアが流行りません。

「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮(しほ)もかなひぬ今は漕ぎ出(い)でな」(①8)これは額田王の有名な歌で、「熟田津で船出しようと月を待っていると、潮の流れもちょうど良くなった。さあ今こそ漕ぎ出そう」という意味ですが、単なる叙景ではなく、このような歌を詠むことで、その言葉の力で潮を引き寄せよう、という思いが込められていると言われます。このように万葉集の歌はいろんな解釈ができる大変面白い歌集ですので、皆様も機会があればお目通しいただければ、と思います。

※ここから20分はVTR上映(昨年実施された「JR万葉まほろばウォーク」の様子。ガイドは当会の安井永さん)。
これで私の卓話を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
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カレーは食べる漢方薬/朝カレーで猛暑を乗り切りました!

2020年09月27日 | 日々是雑感
今年の夏は猛暑に見舞われました。おかげでわが家の温水洗浄便座はセンサーが誤検知し、誰も座っていないのにスイッチが入り、私のスマホは液晶画面が壊れてしまいました(すぐに買い替えました)。

1日で最も大切といわれる朝食、7月中は冷たい麺類でしのいでいましたが「これでは元気が出ないのでは」と気づき、8月からは朝カレーに変更。専用の鍋を用意し、鶏の手羽元、豚や仔羊の骨付肉をカレースープでひたすら煮込み、朝はスープカレー&ライス(+温泉玉子+ワカメの味噌汁)、夜は煮込んだ肉をビールの肴に。カレーライスのご飯は玄米またはもち麦入りです。

それで何とか健康を維持し、9月からは麺類(主に辛味大根そば)などと交互に朝カレーをいただいています。カレーは脳の血流量を増やすといわれますので、朝に食べるのが効果的です。


私の朝カレー&ライスと温泉玉子。ここにワカメの味噌汁がつく

カレーは市販のルウを使うのが便利ですので、いろんな辛口ルウを試しましたが、さほど辛くないので、私には物足りませんでした。たくさんの固形・粉末ルウのなかから最終的にたどり着いたのが「S&Bゴールデンカレー バリ辛」。博多ラーメンの「バリカタ(硬)」ならぬ「バリ辛」です。これは本当に辛いですので、他のルウの辛口とハーフ&ハーフで使っています。

骨付き肉を煮込むと、骨からコラーゲンやアミノ酸、ミネラルが溶け出します。味覚的には仔羊肉はカレーに負けない濃い味があり、私には最もピッタリときました。しかもカレーは食べる漢方薬といわれるほど、健康効果が期待されています(胃腸の弱い人にはお薦めしませんが)。

もうしばらく、朝カレーは継続したいと思います。

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奈良県でも「Go To イート」、食事券は10月23日(金)から販売開始!(2020Topic)

2020年09月26日 | お知らせ
10月23日(金)から往復ハガキでも申し込めることになりました!

いよいよ奈良県でも「Go To イート」キャンペーンが始まると、昨日(2020.9.25)のNHK「ならナビ」が伝えていた。4,000円を支払えば、5,000円分の食事券がもらえ、さらに予約サイトを通じて飲食店を利用すると1人あたり最大1,000円分のポイントが還元されるという仕組みである。詳細は、こちらのサイトに出ている。ニュースの内容は、
※トップ画像は、奈良新聞(10/23付)に掲載された広告(10/25追記)

新型コロナウイルスの影響を受けた飲食店を支援する国の「Go To イート」のキャンペーンで、奈良県では、購入金額の25%分が上乗せされた食事券が来月23日から販売されることになりました。

国の「Go To イート」のキャンペーンでは、▼都道府県ごとに使える購入金額の25%分を上乗せした食事券を発行するほか、▼予約サイトを通じて飲食店を利用すると、1人あたり最大1000円分のポイントを還元します。

このうち、奈良県内の事業を担う事務局が25日、業務を開始し、食事券は、来月23日から販売されることになりました。食事券は1セット4000円で5000円分利用できるということで、1回の申し込みで購入できるのは最大5セット、2万5000円分までとなっています。

予約した食事券は、コンビニエンスストア「ファミリーマート」の店舗で受け取ることができ、来年3月まで県内の各店舗で利用できます。キャンペーンに参加する飲食店には、店内に消毒液を配備したり換気を徹底したりするなどの感染症対策を守ることが求められています。


25%のプレミアがつき、さらに予約サイトを通じると1,000円分のポイントが還元されるというのは、有り難いことだ。皆さん、ぜひこの機会をお見逃しなく!

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