tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ナマズ丼を食ひし事

2015年05月18日 | 日々是雑感
先日、テレビのニュース番組で「ナマズの蒲焼」が紹介されていた。乱獲や生育環境の変化により、ニホンウナギもヨーロッパウナギも「絶滅危惧種」に指定された。その代用品として「ナマズ」に着目し、試験的に提供されている、という話だった。高野山の精進料理で「ウナギの蒲焼のようなもの」にかぶりついたところ、実は豆腐だったという経験がある。もちろん味は全く違っていたが…。ではナマズの蒲焼とは。同ニュースを報じた朝日新聞デジタル(5/8付)によると、

脂こってり、ウナギ風味のナマズ 近大、業者と研究
香ばしい匂い、こってりした脂……。ウナギのかば焼きに見えるが、実はナマズだ。近畿大学の研究者と鹿児島の養鰻(ようまん)業者が協力し、養殖ナマズのエサを一工夫したところ、ウナギに似た風味になった。9日からウナギ料理店で試験販売し、顧客の声をアンケートで集める予定だ。絶滅が危惧されるウナギに代わり、夏の主役になれる!?

「ウナギ風味のナマズ」作りに取り組むのは、近大水産経済学研究室(奈良市)の有路(ありじ)昌彦准教授(40)と同大学院1年の和田好平(こうへい)さん(22)。近大はクロマグロの完全養殖など食の安全・安定を探る研究者が多い。有路准教授は約4年前に調査、研究を開始。昨年、鹿児島県・大隅半島でナマズとウナギの両方を育てる牧原養鰻の協力を得て試行錯誤を重ねてきた。

ナマズは川や湖沼にすむ淡水魚でウナギとは異なるが、ぬるぬるとした表面や生息地など似ている点もあり、有路准教授は「ウナギの代替食になるのではないか」と考えてきた。各地のナマズを取り寄せ、脂の乗り具合や臭みなどを比較。「マナマズ(ニホンナマズ)」という種類がかば焼きに適すると判断した。泥臭さは生育環境の影響が大きいため、エサなど養殖技術を工夫すればウナギ並みになると研究してきた。

有路准教授によると、国内には海水魚の養殖に使う固形エサが数百種類あり、栄養価や品質が高いという。従来の淡水魚用のかわりに、この中から油脂を多く含むエサを用いて牧原養鰻に育ててもらった。昨年秋に調理したところ、淡泊であっさりした当初の味から脂身が増し、「まるでウナギや!」と思った。さらにたんぱく質が豊富なエサも混ぜ、弾力のある肉質になるように工夫を重ねているという。牧原養鰻の牧原博文社長(47)は「脂乗りがよくなり、切り身の光沢も違う」と話す。



ナマズの刺身(サービス)

ニュースに出ていていたのは「うなぎの川はら」郡山店だった。お店のHPを見ると《2015/5/8【なまずの試験的導入に関するお知らせ】 いつもうなぎの川はらをご利用頂き誠に有難うございます。メディアをご覧になりすでに御存じの方も多くいらっしゃると思いますが、この度、試験的になまずの蒲焼きを導入することとなりました。導入日 5/9 導入店舗 郡山店、奈良店(三条家) 尚、試験導入のため、数量が限られております。売り切れの場合はご了承くださいませ》。

ここの奈良店(三条通)はよく利用する。外はパリッ、中はほっくりとした焼き上がりのウナギが絶品だ。しかし、最近はウナギ仕入れ値の高騰により、割高感があった。このお店が近大ナマズをどのように料理するのか、早速ノレンをくぐってみた。



訪ねたのは5/15(金)のランチタイム。うまい具合に所用のため休暇を取っていた。1日限定10食で予約は出来ないとのこと。心配しながら訪ねたが、何とかナマズにありつけた。注文したのは「なまず重」(ご飯にナマズ片身のせ、吸物、漬物)2,000円。他に「なまずの蒲焼き」(ナマズ片身のみ)1,780円と「なまずの蒲焼き定食」2,050円がある。まずはナマズの刺身。これは「ナマズをご注文された方へのサービスです」とのこと。淡白で臭味もなく、悪くはない。さて、待つこと10分ほどでナマズの蒲焼が出てきた。

写真の通り、これはよく肥えたウナギにしか見えない。ほんのりとウナギのような匂いもする。まずはひと口。ウナギより身が締まっていて、ハモのような弾力がある。皮もウナギより、やや硬い。同店自慢のタレがかかっているので、「これはウナギだ」と念じて食べたが、やはりこれはウナギとは全く違う。「脂こってり、ウナギ風味のナマズ」とは行かないのだ。「ウナギのような匂い」は、お店の網に付着していたウナギの匂いが移ったもののようだ。「うなぎの川はら」といえば、県下でもベスト5に入るウナギの名店である。その技術と秘伝のタレを使ってもこの味なのだ。「現時点では」という限定付きだが、これはウナギの代用品にはならない。

「アンケートをお願いします」とのことだったので回答した。努力を氷解して、総合評価は5段階評価の「4」としたが、「いくらなら食べますか?」のところは、最低価格の「1,200円未満」に丸をつけた。食べたあと、ウナギなら独特の「幸福感」「満足感」(満腹感ではない)に満たされるが、ナマズにはそれがない。「苦労してナマズをウナギ風にして提供するより、アナゴ丼で十分では?」と思ってしまった。ほかの白身魚でも、よく似た味は出せるだろう。

仏教に「少欲知足」の教えあり。ウナギは「特別なときの料理」と考えれば良いのでは。乱獲せず、少しずつ大切に消費すれば何とか食いつなげるのではないか、と思ってしまった。ナマズさん、ごめんなさい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日が茶行列!第20回今井町... | トップ | 萬葉ウォーク(第59回)は、5... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々是雑感」カテゴリの最新記事