tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

大和高原(天理市福住)の いにしえの暮らし伝える『奈良山里の生活図誌』

2019年05月31日 | ブック・レビュー
 
今朝(5/31)の奈良新聞に「明治末期から昭和30年代 福住の暮らし伝える 帝塚山大が図誌発刊 天理市へ20冊寄贈」という記事が出ていた。同大学の高田照世教授(民俗学)の授業を受けていた女子学生が「うちの家に、ひいおじいちゃんの描いた絵がたくさん残っている」と話したことがきっかけで、教授と学生が約5年かけたヒアリングを実施してまとめられたものだ。啓林堂書店奈良店の店頭や、京阪奈情報教育出版のサイト、Amazonなどで購入できる。 Amazonの「内容紹介」には、
 
高田教授のご講演風景、お召し物も素敵だ。「鳥毛立女屏風」を思い出した(4/6撮影)
 
本書は奈良県東部高原の山里、天理市福住町の永井清繁氏(明治38年~平成11年)によって描かれた生活図と解説文から成る。永井氏は昭和50年代、社会が急速に変化していく中で、一昔前のふるさとの生活を子どもや孫たちに伝えたいとの思いから、昔を回想しながら絵筆を執られた。

生活図編には明治末期から昭和30年代までの農作業、茶製造、山仕事、炭焼き、人生儀礼、年中行事、職人などの画120余点を収めた。解説編には永井氏が残された画の解説原稿を収録した。色鮮やかに描かれた画と詳細に説明された解説文は後世に伝えるべき貴重な絵画民俗資料である。今ではみられない奈良山里のくらしの風景をご堪能いただきたい。


さらに奈良新聞の記事には、

嫁入りする女性が嫁ぎ先の玄関に置かれた空のたらいに足を入れて洗うまねをする入家儀礼や盆に新仏を軒先の棚に祭る風習などさまざまな角度から山里での暮らしが描かれており、今と昔の違いを比べることもできる。同著の編集を担当した高田教授は「正月や盆などの様子を伝える写真や絵は珍しく、昔の暮らしを知る上で貴重。奈良はもちろん、日本の国にとっても宝」と話している。

 
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎月1回、3回シリーズで「自主勉強会」(啓発グループ主催)を開催しており、今年4~6月は高田教授に「奈良の民俗文化」というご講演をお願いしていて、その第1回(4/6付)が「『奈良山里の生活図誌』より」だった。永井氏の素晴らしい絵と高田教授の興味深いお話に、皆、興味津々だった。私も早速、1冊買い求めた(問い合わせ先:帝塚山大学広報部 0742-48-9192)。
 
「さすが大和には、古い習俗が受け継がれていたのだな」と私も驚いた。この本は、後世に受け継ぐべき貴重な国民の財産である。
 
 
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旭堂南龍さんの講談会(高槻紀伊国屋亭)6月2日(日)開演!(2019 Topic)

2019年05月30日 | お知らせ
奈良市観光大使で奈良まほろばソムリエ・旭堂南龍さんの講談会「第2回 高槻紀伊国屋亭」が、西武高槻店6階多目的ホールで開催される。6月2日(日)13:30開演。前売り券は1,500円、当日券は2,000円だ。紀伊国屋書店高槻店(高槻市白梅町4-1高槻オーロラモール5F)のTwitterによると、

第2回紀伊國屋亭開催
今回は人気の講談です。大阪城の最後の攻防を描いた「難波戦記」から「家康の最後」。「太閤記」からは「高槻城の奇縁」を…地元所縁の物語熱演!よく分かる狐狸窟彦兵衛(こりくつひこべえ)の解説付きです。電話(072-686-1195)でのご予約は前売り価格で販売!


皆さん、ぜひお申込みください!

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奈良県出身学生の地元就職希望率は、全国で最低 わずか12.4%!

2019年05月29日 | 奈良にこだわる
今朝(5/29)の奈良新聞最終面「大学生 大学院生 地元就職希望5割 大都市志向一層高まる」という記事を見て、びっくり仰天した。「都道府県別の地元就職希望率」で、奈良県は最下位(47位)の12.4%!しかも46位の高知県と約5ポイントもの差がついている。記事は末尾に貼り付けておく。調査を行ったマイナビのニュースリリースによると、
※トップ画像は奈良新聞のコラム「國原譜(くにはらふ)」(5/30付)、5/31追記


この表は奈良新聞(5/29付)から拝借

■地元就職希望率(全国平均)は前年比1.0pt減の49.8%で、調査以来初めて5割を下回る。
卒業した高校の所在地と最も働きたい都道府県の一致率(以後、地元就職希望率)は全国平均で49.8%(前年比1.0pt減)と、前年をやや下回った。調査をスタートした2012年卒から比較すると、13.5ptの減少となり(2012年卒63.3%→2020年卒49.8%)、初めて5割を下回った。

卒業高校エリア別では、地元就職希望率の減少が大きかった上位3エリアは、「東北」の25.7pt減少(2012年卒76.7%→2020年卒51.0%)をはじめ、「四国」の19.7pt減少(2012年卒63.6%→2020年卒43.9%)、「中国」の18.9pt減少(2012年卒72.0%→2020年卒53.1%)となった。

また、地元大学に進学した学生(地元進学者)の地元就職希望率69.4%(前年比2.3pt減)に対し、地元外の大学に進学した学生(地元外進学者)は33.4%(前年比0.4pt減)で、いずれも、この9年で減少している。地方における人材確保は喫緊の課題だが、学生の関心が低くなっていることがうかがえる。


ここでいう「都道府県別」は卒業した高校で見ているので、有力な進学校のある奈良県には近隣府県から優秀な高校生が集まる。だから高校を卒業したら大学も就職先も奈良県から離れる、という要因があるのは分かるが、全国平均の49.8%に対し、12.4%は極端に低い。地元に有力な就職先企業が少ないということもあるが、これは何とかできないものだろうか。

※奈良新聞(5/29付)の記事

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菅谷文則氏(橿考研所長)体調不良でご退職(2019 Topic)

2019年05月28日 | お知らせ
昨日(5/27)、NHK奈良放送局の「奈良ナビ」を見ていてびっくり仰天した。「橿原考古学研究所の菅谷文則所長が退任へ」と報じていたのである。今朝の新聞各紙にも出ている。産経ニュース「奈良・橿考研の菅谷文則所長が退職へ」によると、
※写真はすべて「菅谷塾」で撮影(2017.5.26)

奈良県は27日、県立橿原考古学研究所の菅谷文則(すがや・ふみのり)所長(76)が31日付で退職すると発表した。後任の所長には地域振興部長の山下保典氏が6月1日付で就任し、現職と兼務する。

菅谷氏は奈良県出身。関西大大学院を修了し、昭和43年に県技師になり、橿考研やシルクロード学研究センターに勤務。その後、滋賀県立大教授を務め、平成21年に橿考研の第5代所長に就任した。

橿考研時代は飛鳥京跡の発掘調査や山岳仏教の研究に力を注いだほか、所長就任後は弥生時代の水田研究などを指導。だが、昨年11月から体調を崩して入院するなどしており、しばらく出勤していなかった。




菅谷所長には大変お世話になった。2016年10月に「倭国の女王 卑弥呼」という講演会(奈良まほろばソムリエの会主催)の講師をお願いしたほか、2017年4月と5月には橿原市内で「菅谷塾」と銘打って、奈良まほろばソムリエの会の会員向けセミナー(月1回)を開催していただいた。

「まずは3回」ということで4~6月まで予定を組んだが、5月のセミナーのあと体調を崩され、6月は菅谷所長のご指名で、奈良市埋蔵文化財調査センター元所長の森下惠介氏にピンチヒッターをお願いした。

菅谷所長は2017年11月に退院されてから、車椅子で講演などをこなされていた。「首から上は正常ですので、ご安心を」といって笑いを取るほどお元気だったが、最近は養生を続けられていたという。



「所長の頭の構造は、どうなっているのだろう」と驚くほど博覧強記で、お話もお上手だった。退職されてからはご自宅で執筆などの活動を続けられると思うが、私としてはご体調の良いときに、ご自宅のお近くなどで「菅谷塾」を再開していただきたいと虫のいいことを考えている。

菅谷所長、長年のお勤めありがとうございました。お体をお大事に!
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五感で楽しめるハス、生蓮寺(五條市)副住職が育成中/毎日新聞「やまと百寺参り」第7回

2019年05月27日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の発刊にあわせ毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。先週(5/23)掲載されたのは《「博士」が育てるハス/生蓮寺(五條市)》、執筆されたのは株式会社まつもり社長で同会理事の松森重博さん。
※トップ写真は生蓮寺(写真提供=同寺)

ボタンとシャクヤクが終わり、次はアジサイとハスの季節。その名も生蓮寺(五條市)では、120種・300鉢ものハスを育成している。ハスを育てている高畑副住職は、生命科学博士なのだという。では記事全文を紹介する。

奈良県北部から南へ、京奈和自動車道が延伸して、五條市は時間的にずいぶん近くなりました。その五條市の大和二見駅近くに、寄足山(よらせざん)生蓮寺(しょうれんじ)があります。

本堂には立派な子安地蔵があり、弘法大師が「晴れ祈願」したところから「晴れ祈願の地蔵様」として有名です。整った顔立ちのお地蔵像で「よらせの地蔵さんにべべ着せて奈良の大仏婿に取る」と歌われました。

また生蓮寺は寺名にも「蓮(はす)」が入っていますが、ハスで有名です。花は6月頃から蓮は咲き始め、普通4日間咲きます。境内の大鉢は120種300鉢を数え、順々に咲いていきます。昨年7月には良いことが起こるという双頭のハスが咲きました。

普通、蓮はお盆までで咲き終わります。ところが生蓮寺のハスは、9月の彼岸まで咲く種類もあります。副住職の田畑公紀さんが生物学で博士号をとられ、「見る、育てる、味わう、五感で楽しむ蓮図鑑」(淡交社)という本も書かれ、今も蓮の改良に努められているからです。

ハスは朝早くから咲き、昼ごろまでが見ごろです。生蓮寺では、6月15日から7月末まで、早朝から門が開けられ自由にお参りできます。駐車場も十分ありますので自動車が便利です(奈良まほろばソムリエの会理事 松森重博)。

(宗派)高野山真言宗
(住所)五條市二見7-4-7
(電話)0747・22・2218
(交通)JR大和二見駅から徒歩7分
(本堂拝観)9時から17時
(駐車場)有(無料)


ハスの季節には、ぜひ生蓮寺にお参りください!

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