tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

住宅街の中のオアシス!炭火焼肉「とみや」学園前本店

2022年08月31日 | グルメガイド
今回も、関東にお住まい(ご実家が奈良市学園前)のIさんに教えていただいたお店である。毎年8月29日は「焼肉の日」だそうだが、私はその1日前に訪ねた(2022.8.28)。
※トップ写真は「塩ヘレ」1,100円(税込み、以下同じ)、白いのはマコモダケ(真菰筍)

株式会社とみやは、炭火焼肉「とみや」を奈良市内で学園前本店、登美ヶ丘店、高の原店の3店を展開している。私がお邪魔したのは、学園前本店(奈良市学園前北2丁目5-9)だ。



この日は奈良市内で午後4時まで2時間の会議で、疲労困憊していた。元気をつけてから帰ろうと、オープン時間の午後5時に「カウンター1名」として予約を入れた。このお店は奈良西郵便局の北隣にある大阪ガスの角を曲がり、北東方向に進んだところ、近鉄学園前駅から徒歩8~10分の場所にある。


「キムチ盛り合わせ」710円、いろんなキムチが味わえてこれはおトクだ!

周囲は閑静な住宅街なので、ちょっと意外な立地だ。この日は日曜日とあって、テーブル席はファミリーとカップルで賑わっていた。カウンターで1人焼肉は、私だけだった。カウンターの私の席では、すでにかんてき(七輪)の炭火が、炎を上げていた。店内は清潔で、全くギトギト感はない。同社の公式HPによると、


アテには「タンツラ ねぎポン酢」550円

今月も17:00~22:30(ラストオーダー22:00)定休日無しで通常営業をしております。また3店舗とも店内全面に光触媒コーティングをしており、店内の触れる箇所は常に抗菌されて清潔に保っております。今後もより安全で安心なお食事をして頂ける様に努力してまいります。皆様のご来店心よりお待ちしております。


トップ写真と同じ「塩ヘレ」、わさび醤油でいただく


「カルビ」780円と「ハラミ」820円、ワイルドで美味しい!

ご挨拶
おいしい焼肉を提供し地域のお客様に愛されて、成長してきました。今後も関わる人を大切にし、必要とされる企業となり、より発展していけるように従業員一同努力してまいります。とみやは満腹感、満足感(味、対応、金額)で納得してもらうことが大切だと考えております。普段の食事、様々なシチュエーションで活躍できるお店になるように努めます。
株式会社とみや 代表取締役 清水 智史



焼くと美味しかったので単品で「マコモダケ」550円を注文、青い部分(飾り)は食べられない


「ニンニクのホイル焼き」420円、明日は外出しないから、まあいいか!

とみやの屋号の由来
自分が生まれ育ち成長させてくれた町で、昔から知っていて安心できる場所である「登美ヶ丘」。その地域でお店を始めた事から、登美ヶ丘の地名を使い「とみや」と屋号を決めました



新メニューという「中落ちロース」700円、いい具合に脂がのる。炭火で焼くと美味しい!


締めはやはり「冷麺」880円、弾力性のある麺だった

1人焼肉は、大和西大寺駅の「焼肉ライク」以外では初めての経験だった。キムチから冷麺まで9種類。80分間で、まあよく食べたものだ。ドリンクは「飲み放題」1,600円としたが、しなくてもほぼ同じ値段だった(生ビール中、焼酎2杯、ハイボールの計4杯をいただいた)。お勘定は締めて8,110円で、生ビール中の無料券がついてきた。次回は、ホルモン系をいただくことにしたい。



メニューは豊富だし、お肉は新鮮で美味しい。店員さんの目配りも素晴らしく、目を合わせただけで「ご注文ですか?」と聞いてくれる。駅の近くの住宅地にこんな良いお店があったとは、全く知らなかった。Iさん、ありがとうございました、皆さんも、ぜひお訪ねください!
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いよいよ近づく!奈良まほろば館(東京・新橋)のセミナー「吉野山の謎」「お伊勢参りと熊野詣」、9月3日(土)開催!(2022 Topic)

2022年08月30日 | お知らせ
いよいよ近づいてきた!奈良まほろば館(東京都港区新橋1丁目8-4 SMBC新橋ビル)で講演をする。午前の部と午後の部、2部構成の講演で、参加費は1回につき500円、要申し込みだ。楽しい観光パンフレットも、たくさん用意した。定員は各部とも50名だが、まだそれぞれ約20名しか集まっていない。同館のHPによると、
※トップ写真は吉野水分神社。他の2枚は吉野山の桜とおかげ横丁(伊勢神宮・内宮前)

<セミナー>奈良まほろばソムリエの会講座
日 時 令和4年9月3日(土)11:00~12:30(第1部)、14:00~15:30(第2部)
講 師 鉄田 憲男(NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」専務理事)
会 場 イベントルームA(同館2階)
参加費 @500円(第1部または第2部の1回につき)
定 員 各部50名様



(第1部)11:00~12:30「吉野山の謎~なぜ桜の山になったのか~」
吉野山は日本一の桜の名所で、全山3万本といわれます。なぜ全山が桜の山となったのか、誰かが桜を植えたのか?素朴な疑問から、吉野山の桜の歴史をたどります。

(第2部)14:00~15:30「お伊勢参りと熊野詣~聖地と霊場を巡拝する~」
吉野に発する大峯奥駈道の終点は、修験道のメッカ・熊野三山です。「一生に一度はお参りしたい」とたくさんの民がお参りした伊勢神宮。奈良県内には伊勢街道が縦横無尽に走り、江戸時代のお伊勢参りには、県内からも多くの人々が「講」を作りお参りし、その名残の「祠」も県下各地に残ります。これら紀伊半島を代表する聖地と霊場を紹介します。



第1部と2部の内容は異なります。下記からお申し込みください。
1部はこちら
2部はこちら

講  師 鉄田 憲男(NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」専務理事)
申込方法 奈良まほろば館HPよりお申し込みください。
お問合せ 奈良まほろば館 情報発信課【業務時間】10:15~19:00 TEL: 03-5568-7081 / FAX: 03-5568-7082


貴重な東京での講演なので、どちらも新ネタとした。東京のお客さんはとても熱心に聞いてくださるので、こちらも張り合いがある。東京圏の皆さん、ぜひお申し込みください!



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若林稔さん、「丁々発止のまちづくり」から、「人づくり」「環境づくり」へ

2022年08月29日 | 奈良にこだわる
先日は「今井町のまちづくり」(奈良新聞「明風清音」)のタイトルで、『交流まちづくり』(学芸出版社刊)という書籍から橿原市今井町の事例を抜粋し、紹介した。今井町町並み保存会は44年もの歳月をかけて、歴史的町並みの保存や地域おこしに取り組んで来られた。
※トップ写真は、若林稔さんから拝借した

その中心人物が若林稔(梅香)さんであることに、異論の余地はないだろう。若林さんは近畿日本鉄道在職中から、町並みの保存や地域おこしに取り組んで来られた。強い信念と独自の人生観を持つ若林さんは、時には対立する勢力と丁々発止の議論を交わされた。

そんな若林さんは最近、保存会会長を退かれ(相談役に就任)、お得意の剪定、木工、農業の技術を次の世代に引き継ぐ活動に従事されている。丁々発止の町並み保存から、後継者づくり、住みよい環境づくりへ。その思いをご自身のFacebookに書いておられたので、以下に抜粋する。

最近私のFacebookで、継承(剪定、木工、自然農法)というのが多くなっていますね。今井町で生まれ育ち、この年(81歳)になるまで、いろんなことを実体験から学んできましたが、半世紀前ごろから子供たちの行動が変わり、外で遊ぶ姿が異常に少なくなってきていることに気づき始めました。

また、庭の緑がなくなっているお家が多くなり、耕作放棄地が広がり、鉄筋コンクリート造りのお家も多くなってきました。

戦後の経済優先の突っ走りが国を豊かにしていると錯覚して緑を失い、食料自給率を失いました。薬品漬けで新建材のお家が「虫が入ってこない、空調がよく効く」といって、密封家屋(魔法瓶のような家)を喜ぶ人が多くなり、汗を流すことを喜べる人が少なくなっているのに気がつきました。

今井町の町家にはこれらの条件がいい状態でたくさん残っているからと、町家の保存活動に走りましたが、対立する人をたくさん作っていくだけだった、ということもわかってきました。

これまで趣味でやってきていた木工技術を吉野材や国産材活用に展開し、若い頃からやってきた盆栽や作庭技術を活用して荒れている庭を仲間たちと剪定・整備し、耕作放棄地に米を植え、その田畑で食事しながら、農作業をする若者たちと自前の米や野菜のおいしさを確認できる日が多くなってきました。

作業した家から新建材やプラスチックが一つずつ消えて吉野材に代わり、庭が蘇って雨の日に縁側で1碗のお茶を飲みたくなる余裕が生まれ、家の周囲の温度は打ち水で確実に1~2度下がるなど、住環境が良くなっていることが理解されてきました。

町並み保存についてはカドの立つ会話をしなければいけなかったことで、対立ばかりしてきた自分が今では恥ずかしい気持ちです。対立しなくても「感謝されながら地球を守っていることに関われる方法がこれだったんだ」と悟り、良い気分の毎日を過ごせています。

私の周りはまだ小さな輪ですが、確実に次世代に贈れる「環境づくり」の輪ができ始めています。高齢の私ができる小さな動きが、少しでも環境改善のお役に立てれば…。ちょっと時間が出来たので思いのままに書いてみました。


若林さんはご自宅の近所の古民家を購入され、長い年月をかけ手仕事で改築されて「阿伽陀屋(あかだや)若林亭」という活動拠点をオープンされた。これはもう、お見事と申すしかない。町並み保存会は、見事に次の世代に引き継がれたが、造園・剪定、木工、農業の技術は、後継者づくりの真っ最中である。

今、若林さんのFacebookには毎日のように剪定や草刈りの様子がアップされているが、少し気になることがある。若林さんのことなので、全て「無償ボランティア」でされていると思うが、果たしてそれで長続きするのだろうか。労働力は無償としても、車や草刈り機の燃料代、機器の取り替え・買い換え費用、消耗品費など、目に見えないところで費用が発生している。これをすべて無償でされるのは、あまりにもお気の毒に思えるのだが…。

閑話休題。若林さんは京都から漆の専門家を招聘して漆教室を開いたり、地域づくりの養成講座(地域プランナー・コーディネータ養成塾)などを開いて人材養成に傾注されている。ご長命家系の若林家のことなので、100歳まで残された歳月は約20年。若林さん、それまでご健康を保たれ、この新たな分野で人づくりをお願いいたします!
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駅前の隠れ家的居酒屋!おばんざいと鶏と酒「ハナタレ」(奈良市学園北)

2022年08月28日 | グルメガイド
関東にお住まいでご実家が奈良市の学園前というIさんは、相当のグルメである。地元民の私より、よほどたくさんの良いお店をご存じだ。そんなIさんが「奈良の地酒の品揃えが豊富なおばんざいのお店」として紹介してくださったのが、「おばんざいと鶏と酒 ハナタレ」(奈良市学園北2-1-7)である。
※トップ写真は、この日のメイン料理・「鶏たたきもどき 800円」



近鉄学園前駅の北口から、奈良信用金庫のある角を東に進み、次の四つ角を南に下ったところにある。要は近鉄の線路際(北側)で、「家庭料理じんけ」のお向かいである。ウチの最寄り駅は学園前駅だが、勤務先が近鉄奈良駅前だったので、たいていは東向商店街やもちいどのセンター街周辺で飲んで帰る。なのでこの店は未訪問だった。いい感じの外観だが、店名のイメージがどうも良くない。せめて「ハナモク」「ハナキン」とか「ハレルヤ」なら、足が向いただろうが(もしかすると、焼酎の初垂れ=ハナタレの意味かも知れないが)。


メニューはとても豊富だ。おばんざいのメニューは、店内に貼り出されていた

まあとにかくIさんのご推薦なので、良い店に違いない。水曜日(2022.8.24)、駅前の歯科医院に行ったあとに訪ねた。お店の公式インスタグラムには〈近鉄学園前駅から徒歩3分・open14、15時くらい、close24時半くらい・定休日 だいたい火曜日・0742937750〉。「open14、15時くらい」なので、店頭の黒板には「昼呑みやってます」。私が入店したのは、歯の治療を終えた16時頃だった。すでに先客がいて、ご近所の奥さまが3人、会話が大いに盛り上がっていた。


鶏の肝があっさり柔らかく煮込まれていて、とても美味しい!


「3種盛」とあったが、4種も出てきた。それぞれ美味しく仕上がっている、しかもヘルシー!

たくさんの料理があって、目移りがする。中には☆印のついた料理があり、女将さんに「☆印がお薦めですか?」と聞くと「はい、それと大きな文字で書いた料理がお薦めです」とのこと。それで☆印のついた「とろける肝煮 500円」と「おばんざい おまかせおかず3種盛 その他、カウンター見てね お時間少々頂きます 600円」を注文した。「ナスが苦手ですので、ナスの入っていないおばんざいを」とお願いした。出てきたのが写真の料理である。


スダチは3個全てを手前の皿に投入すると美味しいつけダレに。絞ったスダチは焼酎グラスへ



次も☆印の「鶏たたきもどき 800円」「さといも唐揚げ 450円」を注文。「なぜ、もどきなのですか?」とお聞きすると、作り方が鶏たたきと少し違うのだそうだ。私には違いが分からず、美味しくいただいた。揚げたてホクホクのさといも唐揚げも、とても美味しい。スーパーで皮をむいた冷凍のサトイモが売られているので、これはウチでも試してみよう。


ひね鶏の皮の黒焼き、味はまるで「てっちゃん」

終盤には、大文字で書かれた「本日の黒焼き 500円~」。黒焼きとは、宮崎の焼鳥のように、炭の煙がついて黒い焼き物のこと。今日はひね鶏の皮なのだそうだ。食べて驚いた。食感はまるで焼肉の「てっちゃん」(牛のシマ腸)だ。「これ、まるでてっちゃんですね」とご主人に申し上げると、「はい、ウチでは(隠語で)てっちゃんと呼んでいます」とのこと。


締めのラーメンは、鍋ごと出てきた!


麺は通常の1/2量か

日本酒は冷蔵庫から好きな奈良の地酒を選ぶシステムだったが、奈良の日本酒は美味しすぎてついたくさん飲むので、この日は生ビール 、ハイボール 、焼酎麦のオンザロック(すべて1杯450円)という流れにした。そして最後はIさんもお薦めの「鶏ガララーメン 500円」。


麺は中細麺だった

うーん、これはうまい!天下一品のラーメンを思わせるトロトロのスープ、そこに麺がよくからむ。締めにはピッタリの逸品だ。


向かって左端がご店主、お隣が女将さんと料理人さん。わざわざお見送りいただいた!

入店からお勘定まで約80分、これは充実の時間だった。締めて5,220円。今、料理の写真を見ていると、決して高級な食材ではなく、よくある食材を使いこなし、それらを美味しい料理に仕立て上げるというワザがスゴイ、これはクセになりそうだ。
お店の皆さん、ごちそうさまでした、またお邪魔いたします。Iさん、良いお店のご紹介、ありがとうございました!
※食べログは、こちら
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児童数が6割増!今井町町並み保存会の44年/奈良新聞「明風清音」第78回

2022年08月27日 | 明風清音(奈良新聞)
毎月1~2回、奈良新聞「明風清音」欄に寄稿している。今月(2022.8.18)寄稿したのは「今井町のまちづくり」、橿原市今井町の町並み保存会などの約半世紀にわたる活動を『交流まちづくり』(学芸出版社刊)から抜粋する形で紹介した。

本書で今井町を紹介(第3章第4節)されたのは、建設技術研究所に勤務する今泉ひかりさんだ。今泉さんは千葉大学の学生・院生時代から、当時、保存会会長だった若林稔さん(現相談役)宅に滞在し、今井町を学んで来られた。まずは記事全文を紹介する。

今井町のまちづくり
国土総合研究機構観光まちづくり研究会編『交流まちづくり』学芸出版社刊(税別2500円)という本が出たと聞いて、早速買い求めた。17人が共同執筆している。

版元の紹介文には〈いま従来の観光地とは異なる地域が実践する、関係人口・交流人口を増やすコミュニティツーリズムが注目されている。スポーツ/空き家/インフラ/環境再生/農業/美しい村等のコンテンツ開発を通してサステイナブルな地域をデザインする国内外の実践を紹介〉とある。

奈良県からは唯一、橿原市今井町の事例が〈3章 空き家活用から交流を生む〉で〈歴史的町並みを活かした、まちを学ぶ交流〉と紹介された。執筆者は建設技術研究所に勤務する今泉ひかりさんだ。千葉大学工学部の学生だった頃、当時今井町町並み保存会会長だった若林稔さん(現相談役)宅に滞在し今井町を学んだ、いわゆる「今井の子」である。以下、本書の要点を抜粋して紹介する。

▼住宅調査から町並み保存
〈町内にある約750軒の建物のうち約500軒が伝統的な建造物であり、その数は全国で最も多い〉。同町の町並み保存の取り組みは、東京大学の伊藤鄭爾(ていじ)氏らによる住宅調査(1956~57年)が契機になった。

〈この調査により、今井町では室町後期からの町割りと江戸時代初期近世の民家が密集して建設されてきたことが確認された。また、当時、民家研究の課題とされていた「編年法」の確立につながる成果を上げ〉た。

▼重伝建、街なみ整備事業
1993年には「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受け、94年からは国の「街なみ環境整備事業」が開始。〈「今井町の骨格である旧環濠内の道路は原則として拡幅しないこと。歴史的な街区、敷地割はできるだけ保存する」ことと、「防災上必要と考えられる公園や生活広場を区域内に整備する」という二つの大きな目標が立てられた〉。

▼町並み保存運動の半世紀
これに先立ち今井町では、住民による町並み保存運動が展開された。1971年、稱念寺住職だった今井博道氏らが「今井町を守る会」を結成、74年には妻籠、有松と連携して「町並み保存連盟」が結成された。のち「今井町町並み保存会」が発足。同会会長を務めた若林さんは〈住民の意識高揚と、単なる保存からの脱皮を試み始めたもう一面でのパイオニアであろう〉。

若林さんは「今井町並み散歩」「今井灯火会」の開催、「町家の芸術祭はならぁと」への参加など歴史的町並みを活用したイベントを数多く構築し来訪者、特に学生や子どもたちに学びの場を提供してきた。さらに2020年には自費で「阿伽陀屋(あかだや)若林亭」という交流施設を整備された。

▼量を追わず質の高い観光
粘り強い活動が実り、町内の空き家の数が減った。また今井小学校も、2013年には全校生徒が211人に減少していたが、以降は徐々に増え始め、22年には338人!9年間で127人、6割も増えたというから、すごい。

若林さんは〈人数に頼る観光から、少数の観光であっても来てくれてありがとう、来てよかったと言える質を重視した観光へシフトすることを考えて、「観光・視察・教育で来町→リピーターになる→住人・商いにつながる」という長いスパンのまちづくりを画策〉して来られた。

この「今井モデル」が、少子化・高齢化に悩む各地のお手本になることを願ってやまない。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


最近、マスコミなどでの今井町の紹介のされ方を見ていて、少し違和感を覚えることがある。以前ほど「報道の事前チェック」が十分に行われていないようなのだ。若林稔さんは近畿日本鉄道で広報を担当されていた経験があるので、このあたりの目配りは徹底していた。

例えば「江戸時代の町並み」という言葉などは、決して使わせなかった。正確には「中世末期に寺内町として成立」であり、文化庁のHP(執筆=橿原市)にもそのように出ている。若林さんが会長職を退かれたのは今年の6月、まだ2ヵ月しか経っていないのに…。

余計なことを書いたが、今後、軌道修正され、素晴らしい町並みが全国・全世界に発信されることを期待している。

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