彦四郎の中国生活

中国滞在記

いつまで日本は留学生たちの入国禁止をしているのか‥「日本の鎖国、中国のゼロコロナ」

2022-02-07 15:49:28 | 滞在記

 2月3日、ついに日本の1日新規感染者数は10万人を超えた。オミクロン変異種コロナの感染力のすごさ‥。「お互いにマスクをしていても、感染防止には1メートル以上の距離は必要、50センチでは感染のリスク‥。」と、2月1日付朝日新聞には「オミクロン 見えてきた姿/止まらない子どもの感染—別系統 国内でも拡大(感染力強めか 流行長期化懸念)」の見出し記事で書かれていた。

 同じく2月1日付朝日新聞には、「首相"現時点 検討ない―東京の緊急事態宣言」の見出し記事。現在、岸田政権の新型コロナ対策の首脳は、後藤厚労相、堀内ワクチン担当相、そして松野官房長官。ワクチン3回目接種が非常に遅れている日本だが、能力不足とも指摘されてもいる堀内担当相などの存在感は残念ながらまるでない。岸田政権下でのコロナ対策の緊迫感や危機感が伝わってこず、とても薄いという印象だ。2月6日付朝日新聞には、「3回目接種なお低迷 政府"2月が勝負"高齢者2200万人が対象/モデルナ敬遠 不安解消に躍起」の見出し記事。

 2月4日公表のワクチン接種率は全体で4.8%。OECD(経済開発協力機構)加盟38カ国の中で最低となっている。政権内からもマスコミでもよく、この3回目の接種の遅れについて「モデルナを打ちたがらない人が多いからだ」との声を聞く。確かにそれもあるようだが、そもそも接種が遅れた最大の要因は、2回目からの接種間隔を前倒しするという判断が岸田政権下で大きく遅れたことにある。

 11月になりオミクロン変異種が出現し、欧米など諸国は2回目までのワクチンの効力低下の問題もあり、次々と迅速に前倒し(6カ月間間隔)判断を行ったが、日本では特に後藤厚労相などの「8カ月間間隔順守」論などが強く、堀内ワクチン担当相も「6カ月は例外(医療関係者や施設入居の後期高齢者など)的な措置」と強調していた。これらの主張があったことやファイザー製ワクチン在庫の問題などもあり、日本での3回目接種の間隔前倒し判断は遅れに遅れてくることとなる。11月半ば以降、専門家や自治体、全国知事会などから前倒しを求める声が続出し始める。

 しかし、岸田政権はこれらの前倒し要望を採り入れず、結局実施したのは、「12月から、日本への入国を当面全面禁止する」という諸外国の中でも異例の措置の発表だった。これを国民の多くは果断な行動と評価し、支持率も上昇したのだが‥‥。しかし、オミクロンコロナは、感染対策フリーパスの米軍基地のある沖縄や岩国(山口)などから急速に感染が拡大し始め、1月以降は超爆発的に日本全国で感染が広がっていった。「頭隠してお尻隠さず」「米軍基地からのオミクロンコロナのダダ漏れ」ということとなった。

 ようやく3回目ワクチン接種の前倒しを政府が発表したのは12月17日。厚労省のワクチン分科会が「医学的に前倒しは了承できる」との報告を行ってから1カ月間も過ぎていた。さらに1月13日になり、高齢者の接種間隔をさらに縮め6カ月間に、64歳以下の一般の人も前倒し(※65歳以上の一般の高齢者は6カ月間に、18歳から64歳の一般人は7カ月間)にすることを発表した。この発表を受けて、各自治体は事務的連絡などの作業にようやく入ったので、65歳以上の人に接種券が届いたのは1月下旬~2月上旬となった。届いてから1週間~2週間後に、自治体から接種券が届いた人は予約開始をすることとなった。

 69歳の私の場合は、昨年の6月13日に2回目接種完了だったので、6カ月間隔ならば、政府の判断が迅速だったならば12月中旬には3回目接種が可能、年内には接種が終ることとなってもいたのだった。しかし、政府の判断の大きな遅れにより、今のところ私の接種は早くて2月21日以降となっている。実に2カ月以上の遅れとなる。

 また、予約方法だが、「①集団接種の場合はモデルナ製の接種。2月7日から市の予約センターの受付で予約開始。接種は2月14日以降。②個別医院で接種の場合は、ファイザー製を使用。個々人が個別の医院に予約を申し込む。予約開始は2月14日から。接種は2月21日以降。」と、予約券と同封された説明書には書かれていた。

 私の場合は基礎疾患に加えてアナフェラシキー反応の恐れがある体質なので、1・2回目に接種したファイザー製はその反応がなかったので、3回目もファイザー製を希望している。市の方針は、「それぞれが個人で予約し、接種してくれ」と、予約や接種に関しても1・2回目のようなサポートしてくれる体制にはなっていないので、特にファイザー製を希望する人の予約はなかなか難しそうだ。市(行政)側の接種に関するやる気が、1・2回目の時と比べてあまり感じられない。これも、政府の姿勢が反映しているのだろうか…。集団接種の会場も、前回のような小学校などの体育館ではなく、わりと大きな病院に変更された。

 接種できても、オミクロンコロナのピークアウトの時期以降?ということとなる。3回目ワクチン接種に関しては、この岸田政権は取り返しのつかない大きな失敗をしたこととなった。

 2月5日付「日刊フジ」には、「宣言検討放棄 ワクチン後手—思考停止—」「感染"10万人"、ワクチン遅れ‥゛政府の無策で招く"2月危機"/吉村知事が"思考停止"と批判」の見出し記事。この記事によれば、吉村大阪府知事は「国全体が思考停止になっていて、いつかピークアウトするだろうという考えになっていると指摘批判をした」などの記事内容。

 2月7日付朝日新聞には、「第6波 妊婦感染相次ぐ」、「タクシー厳冬の第6波 大阪の繁華街 客待ち2時間でもワンメーター」などの見出し記事。現在、日本では50万人超の人たちが自宅療養中だ。また、飲食店などのように休業・時短補償金もないタクシー運転手などは、生活的に困難な収入状況のようだ‥。現在、妊娠中の人たちの感染に対する不安や恐怖感も大きなものがあるだろう‥。妊婦が感染し、出産する場合は、医療スタッフへの感染を防ぐため帝王切開出産を全国的に実施と記事には書かれていた。

 2月6日付「赤旗日曜版」には、「コロナ急拡大 検査できない ブースター接種も大幅減」、「ワクチン接種・検査 遅れ深刻/国の方針が接種を妨げた」、「岸田政権は知っていて放置—米軍の"検査なし入国"/在日米軍司令部"昨年9月には伝えた"」の見出し記事。この記事によると、在日米軍司令部は、昨年9月には「日本に入国する前の兵士たちの事前のPCR検査は行っていない」ということを日本政府に伝えていたことがわかる。感染している米兵たちが日本に入国し、基地外にも出ていたため、オミクロン株の感染が急速に蔓延していった。何のための「12月からの外国人入国禁止」の実施だったのか意味がなくなってもくる事実だった。このことは、朝日新聞にも最近掲載されていた。

 2月4日付毎日新聞の一面と二面には、「令和鎖国 世界が抗議—入国希望者、団体結成/留学生"日本にも損害"」、「扉あけぬニッポン 留学生 韓国にシフト/経団連公然と政府を批判―首相参院選見据え」という見出し記事が掲載されていた。

 この記事によると、日本の日本語学校や大学、大学院などに入学が決まっている外国人留学生のほとんどが、日本の「外国人入国禁止」の措置が長く続き、日本に渡航できないままとなっている実態が書かれていた。(オンライン授業などを海外に発信している学校や大学なども一部にはあるが‥)昨年の10月~11月にかけて渡航をようやく認める措置をとったのだが、岸田政権下、12月から再び入国禁止措置(より厳しい)となった。

 私が勤務する閩江大学の学生たちも、昨年の9月中旬には、広島大学に3人、神戸松蔭女学院大学に3人、1年間の交換留学の予定で来日を希望していたが、この時点では、「入国禁止」措置がまだ解除されておらず、その解除を待っていた。ようやく、10月に入り解除措置が決まり、12月上旬に来日するための手続きをしていた。しかし、岸田首相の「入国禁止措置」のために来日できないままだ。(※留学生が来日する場合、来日の2日前にPCR検査の陰性証明を受けて来日できる。そして、2週間のホテル隔離をされる。米軍の陰性証明なし入国、隔離なしとはまったく状況が違うのだ。)

 この入国禁止措置は今年の2月いっぱいまでは続けると政府は発表しているが、それ以上に延長し続ける可能性は高い。なぜならば、3回目のワクチン接種政策で大きな失政を行っている中、国民から一時的にせよ、「岸田首相よく決断した」というこの入国禁止政策を評価された余韻までなくしたくないからだ。ここまで日本のあらゆるところでオミクロンコロナが爆発的感染拡大している中で、「日本への外国人入国禁止」措置は、世界にも例がなく、また、ここまで感染大爆発が起きている中、感染対策として意味のないのに加えて、貴重な「日本に留学したい」という外国人の怒りまでかっているからだ。

 立命館大学大学院に2020年9月から入学した閩江大学卒業生の一人は、「入国制限」のために来日できず、ずっと中国でオンライン授業を受け続けている。昨年の10月に一時的に入国制限が解除されたので、12月には日本に渡航するための手続きを始めたが、結局、来日はかなわなかった。今年の4月には立命館大学の新学期に間に合うように3月中に来日を希望しているが、解除されるかまだ分からない。彼女は、ずっと来日できないまま、今年2022年9月には大学院を修了してしまうこととなる可能性も高い。

 現状においては、岸田首相は政権維持のために「外国人入国禁止」の措置を続けているにすぎず、世界からもこの政策は非難を受けている。中国の「ゼロコロナ政策」とともに、世界コロナ感染症対策の中でも二大特異政策となっている。

 今日2月7日付朝日新聞には、「入国停止 受験できず 外国人失望/日本留学1年半準備したのに」という見出し記事が掲載されていた。