彦四郎の中国生活

中国滞在記

12月1日からの20日間で、すでに感染者数2億5000万人推計(中国衛生健康委員会)とも—春節に向かい、都市から地方にさらに感染大爆発か

2022-12-24 15:38:13 | 滞在記

 「燎原(りょうげん)の火」のごとく新型コロナウィルス感染爆発が広がっているとされる現在の中国。PCR検査所に貼りだされた模造紙には、「結果がでなくても、理由を聞かないでください」などと書かれた貼り紙が掲示されているところも。薬局には、「コロナ陰性・陽性」を検査するキッドや風邪薬や解熱剤なども売り切れて買うことができず、高熱が出ている人々はPCR検査に行ったり、全国5万箇所余り急設された「発熱外来」に行き、感染を確かめてもいる。この発熱外来には、大勢の人が詰めかけ、平均4〜5時間待ちだとも伝わる。そして、陽性反応が出ても、ほとんどは自宅療養となっている。まさに、「自己防衛」のコロナ対応の中国の今。

 昨日12月23日のBS・TBSの「報道1930」には、東京財団政策研究所主席研究員・静岡大学教授の柯隆氏がコメンテーターのとして出演していた。その報道によると、11月27日の中国政府のコロナ感染者数発表は、(無症状者4万52人・有症状者2000人余りの、合計4万2050人余り)。この日をピークとして、感染者発表数は崖を下るように減少している。12月7日には、「症状のある人のみ」のPCR検査となり、12月14日には無症状者の陽性者の発表を停止した。また、12月20日には、「コロナ患者の死亡定義を変更し、"糖尿病など他の基礎疾患を持っていたコロナ患者"をコロナ死亡者から除外する」とした。これらの政策・発表変更もあり、12月21日の新規感染者数は2966人、死亡者は0人との政府発表だった

 だが、この1か月間、中国国内では、燎原の野原のごとく、感染爆発が起こっているというのが実際のようだ。「このままでは、今月から来年1月にかけて死者数が約100万人に上る予想(香港大学)と、同番組では香港大学の発表を伝えていた。

 同番組の報道は続く。「世界で最もコロナ免疫を持たない国」が中国だと言う。中国の国民の免疫率は0.13%、イギリスは35.8%、アメリカは29.7%、日本は22.0%などと報じられていた。「世界のコロナワクチン有効率」では、中国製篠ファームは68.7%(不活性ワクチン)、米国製モデルナ94.1%(メッセンジャーRNAワクチン)。中国は、欧米製のメッセンジャーRNAワクチンを今も認可しておらず、中国産のメッセンジャーRNAワクチンを開発&使用を目指していると伝えられる。(過去に、米国やカナダの会社と、技術提供を含むメッセンジャーRNAワクチン購入などの契約が一旦成立したが、ワクチンナショナリズムにより、この契約はなくなった。)

 コロナワクチンの中国国内での接種率は、成人(1回目接種)の接種率は90%だが、2回目接種の追加接種率は、成人57.9%となっている。特に、80歳以上の追加接種率は42.3%と、とても低い。これは、ワクチン接種を18歳~59歳までの成人に重点を置いていて、60歳以上の接種に重きを置いていないためと伝えられる。日本のコロナワクチン年齢別接種優先方針とは逆になっている。つまり、中国では労働年齢層の人を優先接種するということだ。

 同番組、「中国の"感染拡大"で世界は?—中国"感染爆発"警戒される、"新たな変異種"」と題され、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、「〇各国の感染状況を見ると、中国で2億人〜3億人の感染者がでてもおかしくない。その中から新たな変異株が出る可能性が高く、世界にとっても新たな脅威になりかねない。〇来年のコロナを悪化させる最大の要因は中国かもしれない。」とコメントしていた。

 同番組、中国の人々にインタビュー。「PCR検査をしていないが、みんな症状がある」「家族全員が感染した。同じマンションの50人くらいは感染している。」「薬飲んで 何日か休めば治るんでしょう(明るい表情で)」などのインタビューに対する中国国民の回答が紹介されていた。

■今の中国で、「感染(ganran)了吗(le ma)?(感染した?)」というのが、挨拶言葉にもなっているとも伝わる。

 昨日23日のNNN(日テレ)の報道番組では、「中国・ゼロコロナ政策大幅緩和"急な発表"に市民の反応は—不安感じる人も」と題されて中国の今を報道していた。同番組で、上海市内の病院に勤務している友成暁子医師は、次のように語る。「医療者の感染がかなり広がっている。数日前の段階では、うちの(私の)病院では、7割のスタッフが感染。医療従事者は感染していても出勤可能なら出勤するようにという通達が当局から出ている」として、中国各地の病院では、コロナ陽性でも出勤できる状況にあると伝えていた。看護師の1人は、「夜勤を終えて2日間これから休みがありますが、今、熱もあります」と話していた。

 同番組では、「診察中に医師倒れる」「心から尊敬します―点滴をしているのは患者ではなく医師」などのテレップ。点滴を自身に施しながら、医療活動をしている医師の動画が報じられていた。

 医師か薬剤師か、はっきりわからない人が1人だけ勤務している(看護師はいない)診療所。私も一度だけこのような中国各地にたくさんある「診療所」で点滴処置をしてもらったことがあった。今、コロナに感染した人たちは、体力をつけるためにもここで点滴処置を受けている人がとても多いようだ。狭い一室だけの診療所にはとうてい入りきらず、屋外の道路わき歩道100m余りに張られた洗濯用紐に吊るした点滴液パックで、点滴を受ける人々の映像も。

 12月24日(本日)付朝日新聞には、「中国の風邪薬不足—日本にも余波・都内買いだめ 購入制限の店も」の見出し記事。日本在住の中国人が、中国の家族や親せき、知人たちに風邪薬や解熱剤や湿布を送るために大量購入。このため日本の薬局・ドラッグストアーの薬が店舗が不足し始めているようだ。数日前に私がいつも行っているドラッグストアーの「キリン堂」に常用している風邪薬を買いにいったらないので、店員さんに聞くと、「申し訳ありません。その薬は当分入荷しないかもしれません。中国の人らしき人たちが、大量購入していくことが最近多くなってきていますので」とのこと。

 同日の朝日新聞には、「中国感染 20日間で2.5億人?内部会議で指摘"あくまで推計"」の見出し記事が掲載されていた。この記事内容は、今の中国のコロナ感染状況がかなり分かる内容だった。記事では、中国の国家衛生保健委員会(中国の感染問題と対策を直接指揮するセンター)の12月21日の会議で報告されたコロナ感染者推計の資料が明らかになったというもの。「中国国内で、12月1日から20日までの20日間で、2.5億人がコロナに感染したと推計される」という内容だ。

 これが中国のSNSで拡散した。この情報について、朝日新聞は当局に確認したところ、朝日新聞社に対して「感染者数や各都市の状況は、あくまで推計としてだされたものだ」と回答し、情報を否定しなかった。今現在、中国当局がほぼ正確な感染者数や死者数の発表を不問にしているため、この推計は、かなり貴重な今を知るための情報だった。それにしても20日間で2憶5000万人推計とはすごい感染者数だ。(人口14億人の約17.8%にあたる) これによって、かなりの人がコロナへの免疫力がついたことになるだろう。中国の人々のコロナ免疫率は急上昇してもいるかと思われる。

 12月23日、中国山東省青島市当局は、新型コロナウイルスの感染者が1日に50万人前後に上っているとの統計を明らかにした。今後さらに増加する見通しだと、地元メディアは伝えていた。この日、中国政府が発表した22日の新規感染者数は約3700人だった。

■中国ではこの5月~6月ごろに、「オミクロン変異種株への新型コロナ感染流行の世界的置き換わりの状況下、世界の国々で、中国以外はwithコロナに政策を転換している。オミクロンは致死率が低いので、中国の"ゼロコロナ政策の緩和"を検討してもいいのではないか」という論調が一部医学研究者からだされた。しかし、それに対しては、中国政府はは厳しくその言論を抑え、排除、それらの一部研究者や医学者らを孤立化させていった。そのような「ゼロコロナ緩和」への転換を一貫して論評していた数少ない医学者の1人が、張文宏医師だった。彼は、上海医療専門家のリーダーであり、復旦大学附属病院感染科の部長職にあった。この12月中旬以降、中国のインターネット報道やテレビ報道では、彼のことを評価する記事や報道が多くでるようになってきている。

■中国では、この12月23日から、「中国の大学院入学試験」が一斉に始まっている。「2023年全国修士研究生招生考試臨考」だ。中国での大卒生の超就職難の状況を受けて、昨年は、1100万人余りの大卒生のうち400万人余りもが、大学院進学を希望していた。大学院に合格できるのは(定員)100万人くらいだった。今年も大学院進学目指す大学4回生は多いと予測されている。私の教えている4回生の学生たちも大学院志望者は3割以上にのぼる。コロナ感染爆発下、この試験に臨む学生たちは、コロナ感染者は別の教室で受験が可能と報じられていた。

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■日本も、この年末から年始にかけてコロナ感染者が急増すると予想されている。この2週間余りは、全国で1日の新規感染者数は17万人〜20万人と報道されている。12月23日、吉村大阪府知事は、コロナ医療現場が50%以上の病床使用率となったと発表、大阪府独自の赤信号に言及している。

 12月21日付朝日新聞には、「日本 コロナ致死率 低下続く」の見出し記事。その記事によると、厚生省は次のことを発表したとのこと。「①デルタ株(第5波—2021年7月~10月)の致死率1.34%、②オミクロン株初期(第6波—2022年1月~2月)の致死率0.70%、③オミクロン株(第7波—2022年7月~8月)60代・70代の致死率0.18%」と。

■新型コロナへの感染確率は、①2mの距離で会話—マスクなしだと、オミクロンで60%、デルタ株で40%、②50cmの距離で会話—マスクありだと、オミクロンで30%と報告されていた。