***** 子年の展望 No.37 *****
今回の新型コロナウイルスの一件で、
最初の日本に住む日本人患者として発表されたのが、
「奈良」在住のバス運転手の男性でした。
そして、その男性が立ち寄ったと言う
「奈良公園」という文字を目にしたとき、
「やはり最初はここからなのか……」
と古代の様相がぼんやりと浮かび上がり、
奈良という土地の深い因縁に
しばし思いを馳せた次第でございます。
ご存知のように、奈良は古代の都であり、
幾度となく「疫病」の災害に見舞われた場所でした。
東大寺の大仏が建立されたのも、
天平9年(737年)に天然痘(疫病)が大流行し、
当時の政治の中枢にいた藤原四兄弟が
死去したことなどが事の発端です。
その後、内乱や火災、大地震などが
相次いだことから、当時の天皇である
聖武天皇は仏教に深く帰依するようになり、
国分寺建立の詔に続いて、東大寺盧舎那仏像の
造立の詔を出したと言われております。
この「大仏建立」という出来事は、
のちに様々な「弊害」を生むわけですが、
何はともあれ「奈良」という土地で、
「疫病」の兆しが見え始めたことに、
非常に意味深いものを感じるのですね。