逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

日本だけの特権的談合組織『記者クラブ』の開放

2009年09月30日 | 政治

岡田克也外相は9月29日の定例記者会見から、外相と外務副大臣の定例記者会見を『原則として、すべてのメディアに開放する』との方針通り、同日から外務省記者クラブ加盟社以外の記者にも出席を認めた。
岡田外相は、『(記者クラブのみ記者会見に出席できる)従来のやり方を続けると、それ以外の記者と国民の知る権利を奪うことになるので、本日から開放に踏み切ることにした。』と語った。
クラブ加盟社以外で出席したのは「JanJan」「ニコニコ動画」「ビデオニュースドットコム」、フリージャーナリストの上杉隆氏など約20名。
上杉隆氏の質問、
『記者会見は記者クラブ主催なのか、それとも岡田大臣の主催なのか?』
『記者クラブ主催ということであれば記者クラブという任意団体がどうして国民の財産である外務省の施設を使えるのか、その法的根拠は?』と質問。
岡田外務大臣の『どうなっているのか』の対して、外務省の三上報道課長は、
『霞クラブ(外務省記者クラブ)と話し合って進めているが、記者会見は基本的には外務省の主催』と答弁。
フリージャーナリスト畠山理仁氏が『記者クラブの部屋は賃貸契約なのか?』と質問。
(外務省側が答えに窮した)
記者クラブが公共施設に居候し、行政の負担で電気や水道まで無料で使っているが、行政施設の建設費や光熱費は税金で賄われている。
外務大臣記者会見開始30分で三上報道課長が『そろそろ時間ですのでここら辺で…』と締めにかかったが、岡田大臣は『いや、まだ時間があるから続けましょう』と報道課長を制し質疑応答を続け約50分間にも及んだ。




『鳩山民主党の公約だった記者クラブの開放』

政府の記者会見をめぐっては、情報公開の観点から開放する方針を掲げていた民主党側と既得権益を守りたい『記者クラブ』との間で応酬(バトル?)があった模様だ。
ある民主党議員によれば、大メディアから平野博文官房長に『記者会見を開放すると内閣記者会としては協力できませんよ』と一種の脅しがあった。
平野官房長官としても発足したばかりの民主党政権の(鳩山総理の献金問題など)あげ足を取られたくない。
平野官房長官は『内閣記者会と全面戦争になることは今は避けたい』と本音を漏らした、という。
その結果9月16日の初めての首相官邸記者会見は、鳩山総理の約束は破られ今までどうりの『記者クラブ主催』形式で行われ、雑誌やインターネットメディアやフリー記者が締め出された。
内閣記者クラブという談合組織は、脅迫まがいの手口を使ってでも既得権益を守る心算のようだが、民主党政権交代で何処まで公約(既得権益への挑戦)を守りきれるのか。
官僚と記者クラブの連合軍と鳩山政権の戦いの勝敗は、ひとえにこれからの世論の動向にかかっているだろう。



『首相公式記者会見は開放されず』

この民主党の公約破りは、『平野内閣官房長官の一存』と報道されている様ですが、内閣記者クラブと官房長官との出来レースではないでしょうか。?
未だ日本だけに残る悪弊(奇習)『記者クラブ制度』ですが、この制度は関係者全員が得をするように出来ている(日本の古くからの伝統である)一種の談合組織である。
排除されるフリーや雑誌、政党機関紙の記者が損した分、この制度によって『記者クラブに所属する記者』側と取材される内閣側の双方が利益を得ているのです。
昨今問題になっている公共事業の官製談合とまったく同じ原理が働き、記者クラブ制度のために記者会見が取材側と取材対象の談合の場になり、ごく内輪の関係者は全員が得をする分、長い眼で見れば結果的にレベルダウンは免れず、社会全般広い意味では損をする仕組みである。
確かに韓国では前ノムヒョン政権によって記者クラブ制度が廃止されましたが、同じように記者クラブを廃止した長野県の田中康夫知事と同じように(特権的な利権を失った)地元マスコミの総攻撃を受けて選挙では敗北する。
平野官房長官の判断は、長期的な政治戦略では大マイナスだが、短期的戦術としてはプラス?とも解釈できます。

『記者クラブ開放』の民主党の公約破りは、平野官房長官の独走(暴走)が原因らしいが、なにやら昔の関東軍の故事を思い出させる事件である。
ようは、出先(部下)の先走りの事後に中央政府が何の注意もせずに暴走を追認するか。?
それとも中央政府の意向を曲げず、暴走した獅子身中の虫である関係者(関東軍参謀&平野官房長官)を処罰(注意)して筋を通すか。?
何れになるか(鳩山首相などの帰国後が)面白い。多分この事で民主党の今後の方向がどうなるか。?大体占えそうです。
それにしても自民党右派よりも右よりの旧民社党系の民主の議員は質が悪い。
核武装やテロを煽っていた西村信吾も民主党の現職の国会議員でしたし、現内閣の文部大臣も旧民社系です。



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22 コメント

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前途多難 (Runner)
2009-09-30 23:44:52
まず、「記者クラブ問題」という問題の存在を、マスコミは詳しく報道したがらないわけですから、自ずから日本国民の関心も低いです。
また、世論調査でも相変わらず日本人の7割はマスコミを「信用している」と答えていますし、残りの3割も「左翼偏向しているのでマスコミはけしからん」などという自作自演のマスコミ批判にひっかかった右翼系市民が多く混じっているでしょうから、日本人のメディアリテラシー度は極めてお寒いです。
このような状況でマスコミと対立しても国民のサポートは得られにくいと考えるのが普通でしょうし、田中康夫さんの例を見ていれば、ビビるのは当然でしょう。

それに、もう与党になったわけですから、必ずしも民主党の利益に反する存在ではなくなりました。むしろ、「悪く報道すると記者クラブを廃止するぞ」などと脅しのカードとして持っておいた方が得策だと考えても何ら不思議ではありません。
産経ニュースがよく書いてありました (散策)
2009-10-01 00:38:24
こんにちは。 西村真悟さんは、お父さんが民社党委員長だったんですね。ご子息の件は本当に可哀想でした。今回選挙は、改革クラブで落選と。
掲題ですが産経ニュースが結構書いていたのでご紹介。
ttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090929/plc0909292123017-n1.htm (頭h抜き)
オンタイムで見られなかったのですが、外務省ホームページで映像をみました。国会傍聴記by下町の太陽の宮崎信行さんの質問を朝日新聞が記事にしていました。
ttp://www.asahi.com/politics/update/0929/TKY200909290285.html (頭h抜き)
談合組織としての記者クラブ (逝きし世の面影)
2009-10-01 09:14:14
Runnerさん、コメント有難う御座います。

>「記者クラブ問題」という問題の存在<

既得権益とか談合とかキャリア官僚問題は国民の多くの皆さんが良く知っている。
しかし、これ等3者が複合した大問題である『記者クラブ』問題は、『これが問題である』こと自体、知っている人は関係者以外では実に少ないです。
確かに新聞などでは各社が談合がばれないよう紙面の編集に実に良く気を使い、それぞれの新聞社が別々であるかの様に装って成功していますが、いかんせん、時間に制約がある映像メディア(テレビ)では完璧に同じ。
こんな明白な事実に視聴者は何故気が付かないのでしょう。
朝日とサンケイの違いなど、皆さん小さな違いばかりに目が行って同じ事実に気づきにくいのでしょうか。?
あれは産経と朝日が良い警官と悪い警官の役回りで実は同じ事を(実質的には)やっている。
新聞では毎日が一番質が高いでしょう。
(『新聞が』ではなく毎日が一番外部の識者の投稿記事が多く、時たますばらしい書き込みが見られます)
それにしても何処を回しても近頃のテレビニュースの横並びは度が過ぎている。
全く同じ内容を流していて実質的に国民の知る権利を侵しているのみならず完全な洗脳期間であるピョンヤン放送の日本版で報道の名に値しない粗悪品です。
其れも北朝鮮は一つしか選べないから北朝鮮市民は報道ではなく宣伝広報のたぐいであると良く知っているのに比べ、日本は一見沢山並んでいて自由に選べるように見えるがユニクロの店内と同じでサイズや色が違うだけで客(視聴者)は全くユニクロ一商品しか選べない。
違うのは色とサイズだけで中身は一緒だが店内に山と積まれているために、客が選んだように錯覚させる実に悪賢い商法です。
『新聞(テレビ)は嘘をつかない』マスメディアの信用度が格段に高い日本では、市民レベルのメディアリテラシーでは日本の現状は可也危険な状態であると思われます。
あれっ(笑) (kaetzchen)
2009-10-01 09:37:46
ブログ主さんにしては珍しいミス.

>其れも北朝鮮は一つしか選べないから

北朝鮮には主要新聞だけで4つほどの「政治新聞」がありますよ.ゴミ売りのようなタブロイドのスポーツ新聞もあります.

大都市だとどうしても右翼系は読売と産経の2つがある,なんて発想が出てきてしまうかなと思うのですけど,私のように地方に住んでいる人間から見ると,こちらの方がはるかに「北朝鮮」状態ですよ(笑) 何せ,中国新聞が8割以上,残りを朝日と読売が入れ食い状態,正論を書く毎日はページ数が少ないせいもあって,公の場所でしか閲覧できません.

以前,名古屋の話をしたと思いますけど,あそこも中日新聞が9割,残りが朝日.読売はダンピングのせいで公取によって排除され,駅の売店でしか入手できませんでした.

いわゆる政令指定都市でさえこれですから,例えば福島の読売系2地方新聞に洗脳されている福島県人は「北朝鮮状態」であると言えるでしょう.先日の総選挙でも金沢の森氏は記者会見を地元の北陸新聞と(中日系の)北陸中日新聞の2紙のみしか相手にしませんでした.これは石川県民に対する洗脳のためです.
付け加えますと (kaetzchen)
2009-10-01 09:40:42
実は私は "The Japan Times" の購読者です.ただ,視力が追い付かなくて,そろそろやめたいなって思っているんですけどね.< 朝日の販売店が届けてくれる
kaetzchenさん、コメント有難うございます (逝きし世の面影)
2009-10-01 10:38:02
『北朝鮮は一つしか選べない』の意味は映像メディア(テレビ)の事ですね。
一般の市民にとっての最も大きい影響力は新聞雑誌書籍などの活字ではなく、テレビなどの視覚情報なのです。
眼や耳から入る情報の方が内容(活字)よりも相手に対してより重要な影響を与えます。

人は見た目が9割「メラビアンの法則」(2008年02月09日 | 政治
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/59ebc8a38557844abf46a771216e4915

この調査によると、相手の顔の表情(身だしなみ・仕草・表情)が55%で、声の質(高低、質、大きさ、テンポ)38%だった。
話す言葉の内容はたったの7%らしいですよ。

亀井静香によると小沢一郎は『顔立ちが悪い』らしいですよ。(だからトップは無理)
あの人相の悪い亀井静香に『顔立ちが悪い』と言われるようでは絶対に無理ですよ。
同じ理由で自民党のトップ(総裁)に枡添では成功しないだろうと予想しています。

昔はテレビチャンネルはダイヤルを回す仕組みになっていて、これが故障の原因の一番である事は良く知られていて、誰も彼もやたらにチャンネルは回さなかった。
ところが今では簡単にボタン一つ。(中には二つの放送を同時に映すテレビまであるそうです。)
ニュースの時間に全ての放送を見て周り、リサーチすれば、丸々同じだと誰でもが分かります。まさにサイズと色だけが違うが中身は一緒です。
散策さん、コメント有難う御座います (逝きし世の面影)
2009-10-01 10:45:30
岡田克也外相の『原則記者クラブ開放』の同じ事実でも、それぞれの立場が違うと違って見えてきます。

既得権益を奪われた記者クラブ所属の産経記事では、
>『岡田氏の方針に対し、外務省記者会は賛否も含めた各社の方針などを伝えたが、大臣は明確な見解が示されなかった』<
>『外務省記者会は18日夜に代表者会議を開き、(1)十分な説明もないまま、方針を具体化する形で外相の会見時間が(夕方に)設定されたことは残念(2)外務省として(記者会見などの)情報発信をどう考えているのか-などとした文書を外務省報道課を通じて岡田氏に提出した。』<
と報じています。

対して今まで締め出されていたフリーランスの記者の報道や外務省側は、
岡田外相が記者クラブ側に回答するよう質問したが、
『クラブから記者会見の開放そのものについての明確な見解は示されなかった』
岡田外相によると、、記者クラブからは、
『開放するということに関しては、意見の一致を見ることができなかった。引き続き、加盟社や上位組織の話し合いを見守りながら、検討していくこととする』と記者クラブ開放に(消極的に)反対と回答している。
しかし、『従来のやり方を続けるとそれ以外の記者の取材の機会を奪うことにもなりかねず、国民の知る権利にも関わる』として開放する。

記者クラブを形成する既得権メディアが経営幹部から一線記者まで動員して、さまざまなルートで民主党の各層に働きかけを行っているようです。
鳩山由紀夫代表に直接、電話を入れた大手新聞社の首脳や秘書や側近議員の籠絡を担当した記者もいたとか。
『新聞、テレビなどのメディアを敵に回すと政権が長く持ちませんよ』と恫喝したらしい。
包括的にやることです (Runner)
2009-10-01 19:14:50
今回、1年ぶりにネットの書き込みを回覧してみた限りでは、1年前、さらには2年前に比べると、左翼系ブログでかなりマスコミ批判が増えてきたように感じました。これがどれだけ広がり、かつ定着するかがカギだと思います。
昔はひどかったですからね。「朝日とサンケイは猿芝居をやっていて、左翼系市民を管理し誘導するのが朝日の役回りなんですよ」と説明したって、ほとんど理解してもらえなかったですし、「オレはえらいのでテレビなどという低俗なものは見ない。ガハハハ」などと自慢する人がいっぱいでした。
情報化社会に対応できてない人は指導的立場からさっさと退いてもらわないと、明日はないですよ。

さて、どうすればよいかですが、たぶん、現状で記者クラブ廃止だけをやれば、民主党に勝ち目はないでしょう。
その時、起こる事態を想定すれば、それらに対処するためにも、もっと包括的なマスコミ改革をやる必要があります。
反論権の法制化は必須でしょうが、法改正をしなくても、詐欺罪やPL法を報道に適用することは今すぐにでもできるはずです。
それらを、「メディア民主化担当相」を置いて国民にわかるようにやることです。
それができないのなら、今、無理に記者クラブ廃止だけをしなくてもよいと思います。
まあ、神保さんや上杉さんは文句を言うでしょうけど、彼らには民主党を守る力はありませんし、これといった策もないでしょうから。
電波メディアも似ていまして (kaetzchen)
2009-10-01 20:20:20
これが十大都市になると,ほぼ東京や大阪と同じだけのテレビやラジオの電波が視聴できるんですが…….(^_^;)

広島は一応テレビは5波入りますけど,民放ラジオは中国放送だけ.FMも1波だけです.

隣の山口とか島根になるともっと悲惨で,民放テレビは3局とか2局だったりします.

下関だけ特別に北九州の電波が入るので,民放テレビは8局に民放FMが3局だったりします.

そういう意味では下関と門司だけが例外的に東京や阪神のような感じと考えると良いかも.

レーダーを見ると,今夜から激しい雷雨になりそうなので,NHK第一放送をつけたラジオをつけっぱなしにして,PCや電話関係の電源を全部オフにして寝ようかなと考えているところです.(だから他のブログで書いている,今夜21時の台風情報はお休み)
記者会見の馴れ合いと記者クラブ (逝きし世の面影)
2009-10-02 10:18:47
Runnerさん、コメント有難う御座います。

しかし、この問題で既存のメディアは報道しませんね。(産経ニュースなど、ネット配信だけはしていますが)
ネット情報を知らない市民層は『日本だけに特殊な利権団体(談合組織)の記者クラブがある』などとは全く知りません。
その代わりに話題になっているのが民主党政権の事務次官などの官僚トップの記者会見の中止問題です。
政治主導を進める為に今まで恒例だった記者会見を禁止した事を『知る権利の侵害だ』と噛みついている。
これらの行為は、押尾事件を隠蔽する為に行った異常極まる酒井法子報道の様にも見えます。

一番不思議なのは今まで記者クラブに入れてもらえない政党機関紙赤旗の記者の発言(赤旗紙上の記事)が無い事です。
赤旗はアメリカのホワイトハウスでオバマ大統領の取材は出来るが、日本国の麻生太郎首相に対しては直接取材が出来ない。当然今回の鳩山首相が記者クラブ開放をしなかったことを批判すると期待したが何にもなし。
其々の記者会見の内容は通信社から買うか当該官庁の報告を読めば間に合うので参加していなくとも不自由は無い。
記者クラブ加盟の特権は記者会見での質問権といわゆる『ぶら下がり』が出来る事ですが、どちらも赤旗は然程価値を見出していないのでしょうか。?それにしても不思議です。

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