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日銀の金融緩和は万能薬にあらず②

2012-05-03 00:03:38 | 日本

(前回からの続き)

 それでは今回の金融緩和の狙いは何か。現状ではほとんどひとつしかありません。「円安効果」です。日銀の金融緩和によって米ドルなどの外貨に対する円のマネタリーベースを増やすことで円安(ドル高)を促し、輸出企業の収益拡大を支援するというものです。

 しかしこれも効果は不透明でしょう。今後も外貨のほうに金融緩和、つまりマネーを増刷せざるを得ない事態が押し寄せるため、外貨のマネタリーベースが円に対してどんどん拡大していく(円高外貨安になっていく)トレンドにあると考えられるからです。

 欧州ではスペインなどの財政不安が深刻化し、ユーロが円やドルに対して下落してきています。これを受けて為替相場がリスクオフの様相を強め、日銀の金融緩和にもかかわらず、ドルもまた円に対してジワジワと値を下げ、一時期(3月)の1ドル84円台から80円台まで円高が進んできています。

 そうしたなか、早くもユーロやドルには追加緩和の憶測が飛び交っています(つくづく欧米経済はわが国よりもずっと深刻な状況だなと感じてしまいます)。

 ユーロ圏では、資金調達に苦しむスペインを救済するため、ECBが同国国債の買い取りを始めるか、昨年12月と2月に行った3年物資金供給オペを再開するかもしれません。

 そして米FRBも、先行き不透明な景気の後押しをするために、6月に終了する予定の「ツイストオペ」(長期国債を買い取る替わりに短期国債を売却して長期金利を下げようとするオペレーション)に替わる追加の緩和策を実施する可能性があります。

 そうなれば、またもや円高・外貨安となってしまうでしょう。

 もちろん円高になるたびに、あたかも外為市場で「円売り(ドル買い)介入」をするかのように金融緩和を繰り返して為替を調整するという手もあるかもしれません。

 しかし、こうしたやり方は本来の金融緩和の目的に沿ったものではないし、一方で円高ファイアウォール(インフレに対する防火壁)の効力を落とすことにもなるので、世界的なマネー散布の影響で高騰している原油などの輸入物価の急上昇を招いてコスト増をもたらし、景気に悪影響を与えてしまうおそれもあります。

 また、一般市民の立場からみても、金融が緩和されたところで、多くの市民にとっては収入が急に増えるわけではないし、一方でガソリン価格などが円安の影響で上がるため、そのメリットはほとんどないはずです。それどころか物価高の影響で暮らし向きがむしろ悪くなったと感じる人々が増えることでしょう。

(続く)


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