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【面積等分方式:線引きラインは択捉島西部】北方領土返還交渉、水面下で進展の兆し②

2014-10-07 00:02:57 | 日本

前回からの続き)

 まもなく戦後70年にもなろうとしているのに、北方領土返還交渉は実質的にまったく進展していません。わが国はこれまで一貫して歯舞、色丹、国後、択捉の4島一括返還をソ連そしてロシアに求めてきました。過去の歴史を振り返れば分かるとおり、ソ連・ロシアの北方領土占拠は国際法上の根拠のない不当なもので、日本政府の要求は至極まっとうなものだと考えています。

 一方、ロシアにとってみれば、4島のソ連・ロシアへの帰属は第二次大戦の結果で決まったことであり、日本の要求は筋違い。まあ日ソ共同宣言(1956年:日ソ間の平和条約締結後、歯舞、色丹の2島は日本に引き渡し、と規定)の手前、歯舞と色丹だけは返そうかな、といったあたりでしょうか。こうなってしまうと両国の主張はすれ違ったまま。事実、これまで返還交渉の具体的な進捗や成果はありませんでした。

 ・・・ですが、以下に綴るような事情から、わが国よりはむしろロシア側に日本との関係改善・強化を図りたいとの思いが強まったことで、ロシアが領土返還交渉を巡る対日姿勢を軟化させてきたように思えるのです。

 その大きな理由がロシア自身の安全の確保。ソ連崩壊後のロシア、とりわけ現在のプーチン政権は自国の安全保障を強化する観点から、近隣諸国との国境画定を積極的に進めてきました。もっとも長い国境線をはさんで隣り合う中国とは2008年に、ノルウェーとは2010年に、そして今年2月にはエストニアと国境画定条約を交わしています。これで、ロシアにとって残るおもな領土係争地は日本との間の北方4島だけになりました

 あとは日本だけ―――ロシアはそう考えているでしょう。大国・日本との国境問題を解決できればロシアにとってメリットは大きいはずです。それによって日本と安保条約を結んでいるアメリカの干渉を弱めることができるし、ロシア極東地域の開発支援を日本から得ることができるし、同エリアにおける日本のプレゼンスを高めることで潜在的な脅威となり得る中国をけん制することもできるからです。

 しかし、だからといってロシアは、国境画定に当たって北方4島を日本に無条件に「譲渡」するわけにはいかないでしょう。そんなことをしたら第二次大戦の上記「成果」をみすみす手放すことになり、国民の反発を招くおそれが高いからです。でも歯舞・色丹の2島返還だけでは絶対に対日交渉は進展しない・・・。で、出てきた案が「面積等分方式」です。

 実際、プーチン大統領は今春の安倍首相との会談で、この方式で決着したロシアと中国、ノルウェー間の国境画定交渉の内容を説明しています。ということは、ロシアは日本に対し、「面積等分方式で『痛み分け』にしようじゃないか」とほのめかしているのではないか・・・。この方式は日本にとっては念願の4島返還の実現が不可能となる一方、ロシアにとっては上記「成果」の半分を失うことになってしまう・・・。互いにツライが、そのかわり、日ロ間の最大の問題が解消される、というわけです。

 で、具体的な等分ラインは・・・択捉島の西寄り(日本寄り)に引かれることになります。そのため日本に返ってくるのは、歯舞、色丹、国後の3島と択捉島の西側の一部分。これが「3.5島返還」といわれる所以です。一方、ロシアが取るのは択捉島の大半のエリア―――中央部から東寄りの部分となります。ちなみに本稿冒頭でご紹介したニュースによれば、ロシア・イワノフ大統領府長官が訪問した空港は・・・択捉島「中央部」の旧・紗那村内にあるようです・・・。

続く

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