アメリカの次期大統領は・・・よほどのことでもない限り、民主党のヒラリー・クリントン氏だろう―――いささか早いですが、そう予想しています。対抗馬となるのはおそらく共和党のドナルド・トランプ氏(?)でしょうが、これまでの言動等から、同氏は有色人種層や女性などの支持を十分に得られず、クリントン氏には勝てないように思えるので。
で、「ヒラリー大統領」になったら日米関係はどうなるか、ですが・・・あくまでも現時点の情報から判断すると、日本の政策「アベノミクス」にとっては緊張感のあるものになりそうな気配があります。
まずは日米間の貿易について。先月、地方メディアへの寄稿でクリントン氏は、日本が中国などとともに過去数年にわたって自国通貨を対ドルで安価に保つことで意図的に輸出価格を抑制してきた(kept their goods artificially cheap for years by holding down the value of their currencies)とわが国を名指ししたうえで、これら不公平な為替操作(currency manipulation)と戦うため、アメリカは関税などの実行力のある新しい対抗措置を講じるべきだと主張しています。
さらにクリントン氏は、環太平洋連携協定(TPP)についてもネガティブな見解を示しています。昨年10月、同氏はPBSテレビのインタビューでTPPに関して「わたしが設定した高いバーに見合うものには思えない」(I don’t believe it’s going to meet the high bar I have set.)と述べています。同氏はTPPを推進するバラク・オバマ現政権の国務長官を4年間(2009-2013)にわたって務めていたため、TPPの締結には基本的に前向きと考えられますが、いっぽうで通商協定は、アメリカ人の雇用を創出し、賃金上昇をもたらし、安全保障を向上させるものでなくてはならず、それらこそが満たされるべきバーである、といった言い方もしています。ということは、同氏はTPPのいまの内容には満足していない?
以上からすると、来年発足するであろう(?)ヒラリー・クリントン政権は日本、とくに安倍政権(黒田日銀)には厳しいスタンスを取ってくる可能性がありそうです。アベノミクス(≒日銀の「異次元緩和」)とは文字どおり為替操作的な「円安誘導」政策だし、同政権はクリントン氏が必ずしも高く評価していないTPPを積極的に進めようという立場だから、なわけですが・・・