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安倍自民党と日銀のつばぜり合い:日銀の独立性を考える①

2012-12-23 00:02:43 | 日本

 今月18日、自民党の安倍総裁は2%のインフレ目標を目指し、新政権と日銀とのあいだで政策協定(アコード)を締結するよう日銀に要請しました。これを受けて19~20日に行われた金融政策決定会合の結果、日銀は国債などの買い入れ基金を10兆円増やして総額101兆円とするほか、現行の「物価安定のめど」(物価目標)の見直しを検討して次回1月の同会合で議論することを明らかにしました。どうやら次期政権を担う自民党からの政治的な圧力に抗しきれず、「物価の安定」を標榜する日銀もまた(FRBなどのように)マイナス金利政策に踏み込もうというのでしょうか・・・。

 先日も書いたとおり、インフレ率2%を掲げる過激な金融政策は給与所得の増加をともなわないインフレや金利の過度の上昇などのネガティブな影響を国民生活に与える可能性が高いことから、個人的には現状程度の穏当な金融政策(実質ゼロ金利を下限とするもの)を維持しつつ、デフレ脱却には公共事業拡大を骨子とする財政政策で対処すべきと思っています。

 ところで、安倍自民党の日銀に対するこのような金融緩和プレッシャーと関連させて、最近は各種メディアなどで「日銀の独立性」という言葉が目に付くようになってきました。

 そもそも日銀を含む中央銀行(中銀)の独立性は現代の資本主義社会ではとても重要な概念と思います。一般論として、中銀の独立性が求められる理由は、政府が中銀を「打ち出の小槌」にしたら必要以上に通貨が発行されてしまい、物価や金融システムの安定的なコントロールが失われてしまうおそれがあるためでしょう。

 歴史を振り返れば分るとおり、これまで数多くの為政者が資金調達や借金負担軽減などのために通貨を大量に生み出してインフレを引き起こし、経済・社会を混乱させてきました。わが国もその例に漏れず、明治維新政府が西南戦争(1877年)の戦費調達のために政府紙幣等を乱発したために激しいインフレを起こしてしまっています。その結果、戦後、通貨価値の安定を図ることの必要性が高まり、1882年に中央銀行としての日銀が設立された経緯があります。このような政治家の通貨過剰発行への誘惑に基づく権力乱用とそれによる弊害を排除する目的で中銀の独立性という考え方が誕生したのでしょう。

 というわけで、中銀の独立性は上記のような通貨管理の失敗を教訓とした意義のあるコンセプトということができるかと思います。一方、この独立性の意義を尊重し過ぎるあまり、中銀に対する政府等の何らかの影響力を無くしたり必要以上に弱めてしまうのも問題です。中銀が持つ「通貨発行権」がきわめて大きな権力だからです。

(続く)

(本日は「天皇誕生日」。天皇陛下のますますのご健勝とご長寿をご祈念申し上げます。)


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