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【日本経済を蝕むエネルギー価格上昇】消費税増税デフレを憂える②

2013-09-23 00:03:33 | 日本

(前回からの続き)

 輸入必需品、とりわけ石油、天然ガス、石炭などのエネルギー価格の変動は、わが国の物価に多大な影響を与えます。なぜならこれらはあらゆる経済活動に必須なうえ、日本はこれらのほぼ100%、全量を輸入に頼っているからです。したがって、輸入エネルギーを安価に保つことが国家の経済戦略としてきわめて重要であるわけですが・・・。

 もし現状の経済情勢で昨年並みの為替レートである1ドル80円程度までの「円高」になったとしたら、電気・ガス料金、ガソリン代などがそれだけ下がるため、製造、生産、流通といった経済活動における原価が下がるでしょう。そうなればモノの店頭価格もあらゆるサービスの価格も並行して下がってくるはずです。

 こうした状態では物価は相対的に低位で安定するため、同じ数量のモノやサービスを購入した場合のトータルの金額は増えず、かといって勤労者の賃金は増えていないから個人消費も増えず、よって円建てGDPは伸び悩むということになります。実際、前回もご紹介した上記グラフをみると、ここ数年間、青い線の円建てGDPの伸び率は横ばいから微減が続いています。2000年以降、この伸び率がいちばん高かったのは2010年で、それでも前年比で2.4%の上昇にとどまっています。だから、昨年並み(1ドル約80円)の「円高」が続いていたら、今年のGDP伸び率も1~2%程度であったでしょう(実際、IMFは当初、今年の日本の経済成長率を1%程度と予想していた)。そして重要なことですが、これでは消費税率の引き上げは難しかったはずです・・・。

 ご存知のとおり、そして日々お感じになっておられるとおり、いまはそれとは逆の現象が起こっています。アベノミクスによって昨年終盤から一気に進んだ円安でエネルギー価格が急激に上がっています。以前から本ブログで取り上げている電気料金はその典型。現在、電力会社の燃料費調整価格は高止まりしています。東京電力の料金でみると、標準家庭の今年10月の電気料金は8004円で、昨年同月の7511円よりも6.6%もの上昇となっています。中部電力はもはや燃料費調整制度や経営努力だけではコストを回収できず、政府に申請認可を求める本格的な電気料金の値上げに踏み切りそうです・・・。

 そしてこの電気料金を含めたエネルギー価格の上昇が、ありとあらゆるモノやサービスの価格を押し上げているのはいうまでもないところ。そのあたりを示す代表的な指標が、ほかならぬ日銀が公表している「企業物価指数」です。

 同指数の今年8月のデータ(速報値)によると、国内企業物価は前月比でプラス0.3%、前年比で2.4%もの上昇となっています。下のグラフを見れば分かるとおり、この主因が、日銀「異次元緩和」によってもたらされた円安にともなうエネルギー価格を中心とした原材料の円建て価格の値上がりであることは明白です(「良いインフレ」つまり製品や商品の売れ行きが好調で企業物価が上がったわけではない!)。

 対前月(今年7月)0.3%分の企業物価上昇の内訳は、0.13%が「石油・石炭製品」、0.04%が「電力・都市ガス・水道」と、このふたつ(エネルギー系)だけで全体の上昇のうちの6割近くを占めていることが分かります。それ以外の値上がり項目も多くが輸入原材料系となっています。これもまた円安の影響によるものでしょう。

(続く)


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