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【銀行が国債の多くを売却】日銀「異次元緩和」が終わっても国債暴落は起きない①

2014-08-01 00:04:03 | 日本

 ここのところ長期金利(10年物新発国債金利)が非常に低い水準で推移しています。7月末時点では0.5%台前半と、過去10年でもこの1年でみても最低レベルです。これを別な言い方で表現すれば、国債価格がそれだけ高いということになります。

 で、その理由のひとつはいうまでもなく日銀による大量の国債買いです。インフレ年率2%の達成をめざし、昨年4月に開始された金融政策「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)のもと、この1年あまりにわたり、日銀は新規発行国債のじつに7割ともいわれるほどの国債を市場から買い入れてきました。これが国債の価格を押し上げるとともに利回りの低下を促し、長期金利のほうも一段と引き下げたということでしょう。

 この「異次元緩和」によって国債の保有者とその割合に大きな変化が生じています。以下のグラフは2013年3月末(異次元緩和開始直前)と今年3月末の国債保有者別の保有比率をみたもの(出典:日銀資金循環統計)ですが、これをみると、(まあ当然ですが)まずは日銀の国債保有比率が顕著に上がっていることに気がつきます。対前年比で57.2%もの急激な伸び、金額ベースでは128兆円から201兆円へと約73兆円もの大幅なアップです。これによって国債の全残高に占める日銀の保有率は13.2%から20.1%に上昇しました。それにしても1年という短期間でこれだけの量の国債を買い入れてマネーを市場に供給したわけだから、その是非はともかく、間違いなくこれは「異次元」と呼ぶにふさわしいスケールだといえそうです。

 日銀がこれほどの国債を買っているのだから、一方では国債の売り手がいることになります。上記のグラフでわかるとおり、それは国内の金融機関。その保有割合は対前年で7.3%のダウン、金額では633兆円から587兆円へと約46兆円もの減額となりました。このため本邦金融機関の国債の持ち分比率は65.3%から58.8%へと下がりました

 なお同じ金融機関でも業態によってこの1年間の国債の保有動向にはかなりの違いがあります。このうち保険会社の国債保有額は対前年比0.3%の微増となっています。これに対してかなりの量の国債を売却したのが国内銀行です。銀行の保有額は対前年で18.1%もの減、保有額では30兆円近く減って約130兆円となりました。

 その他、政府(一般政府・公的金融機関)、そして気になる外国人の国債保有額の対前年増減率はそれぞれマイナス1.1%、プラス2.5%と、この1年では大きな変化がないことがわかります。この間、為替レートの円安・ドル高がずいぶんと進みましたが、日本国債の外国人保有率は昨年も今年も8.4%程度とほとんど変動はありません

 ちなみに家計の保有額は24兆円から21兆円と約13%もの減・・・まあこれだけ利回りが低ければ家計にとって国債は資産運用対象としての魅力が乏しいということなのでしょう。

 以上のようにみてみると、鳴り物入りで始められた(?)日銀の「異次元緩和」で起こった現象は、少し極端ですが「国債:金融機関→日銀」「マネー:日銀→金融機関」という動き「だけ」だった―――ように思えるわけです。

(続く)


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