白雲去来

蜷川正大の日々是口実

「冬隣」の歌詞が沁みる。

2019-02-07 10:55:39 | 日記
二月六日(水)雨のち曇り。

今年、と言ってもまだ一月と少しだが、読んだ本のなかで一番楽しめたのが、BSジャパンの「武田鉄矢の昭和は輝いていた」という番組に、度々コメンテーターで出演する、歌手で作家の合田道人さんの書いた『詞と曲に隠された物語-昭和歌謡の謎』(祥伝社新書)である。誰もが知っているヒット歌謡曲が出来るまでの紆余曲折や秘話が書かれていて、読んでいて本当に楽しい。読み終えるのが惜しい位の本だ。先日も、電車のなかで夢中で読んでいて、降りる駅を通り越してしまった。

先日、BSテレ東で「ちあきなおみ魂の熱唱-伝説の名曲20選」という番組があり、録画して見た。それほど彼女に詳しいわけでもなく、ヒット曲以外は、ほとんど知らなかったが、見ていてとても感動した。特に若い頃よりも四十代の彼女がとても良かった。合田道人さんの本の中で知ったのだが、彼女の歌の中に「冬隣」と言うものがある。「冬隣」ふゆどなり、と読む。冬がすぐそこまで来たことを感じさせるような晩秋のたたずまいのことで、秋の季語である。その歌詞がとてもいい。作詞は吉田旺、作曲は杉本眞人。
 
あなたの真似して お湯割りの
焼酎飲んでは むせてます 
 つよくもないのに やめろよと
叱りにおいでよ 来れるなら
 地球の夜更けは 淋しいよ・・・
そこからわたしが 見えますか
 この世にわたしを 置いてった
あんたを怨んで 呑んでます・・・

レコード大賞を受賞した「喝采」の後の曲らしいが、彼女の人生と照らし合わせると、とても悲しい歌だ。そう言えば、ちあきなおみの「新宿情話」の歌詞からとったような、東長崎の「ぽんた」のご主人はお元気なのだろうか。

夜は、盟友らと一献会。おいしい蕎麦屋の後に行った素敵なバーで、『週刊文春』の平松洋子さんのエッセーで知った「雪国」というカクテルを飲んだ。いい一日だった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする