抜かない歯医者のひとりごと

歯の健康は全身の健康につながる。渋谷で開業中の保存学認定医が、なるべく歯を抜かない治療にまつわるトピックを語ります。

私は【専門バカ】にならないように…。

2012-05-31 | 歯科治療

 私は、歯を残す専門医ですが、私の専門は、歯科の保存学といいます。

 他に、入れ歯、被せものなどは補綴(ほてつ)、子供の治療の小児歯科、歯並びを直す矯正、そして、口腔外科ですね。

 私は、前にも記したように優れた《技術-スキル》を持った臨床医を目指していたので、専門医の研修、博士号の研究の傍ら、10年以上、入れ歯、外科、小児歯科等、しっかり修行しました。

 ただ、矯正だけは、個別の修行がかなり必要なのと、別個の設備が必要なので、私は矯正歯科は標榜してません。

 多くの人も、お知りのように、矯正だけは、『矯正歯科』のみで診療しています。(矯正もしていると標榜している診療所は、矯正の専門医にバイトので形で手伝ってもらってるか雇っているのです。)

言うまでもなく、大学病院は、それぞれ教授を筆頭に専門医が詰めているわけですが、まだ若い助手等は、当然、修行中で専門医ではありません。

そして、更に私がここで、改めて強く記して置きたいのは、大学病院には、ただ大学に籍を置いてるだけで専門医でもない【年取った年輩の歯科医師】も結構居るのだという事です。
 年輩の大学病院の歯科医師は、多く講師という肩書きで学生を指導しています。
 もちろん優秀な人もいます。教授と合わず、出世を阻まれ、万年講師に甘んじてる人もいます。運もありますからね。

 ただ、事実として、こういう【万年講師】は、自分の所属している科の診療以外は出来ません。

 入れ歯の科にいる人は、入れ歯を作るだけで、虫歯の治療も出来ず、歯も抜けません。子供の治療も出来ません。

 医科でも専門があるのは言うまでもありませんが、…。

しかし、《歯科》と標榜している限り、多くの患者さんは、大学病院には、その専門医が詰めているとは言え、大学病院の歯科医師も、一応、其なりに、入れ歯の専門医も虫歯の治療はでき、子供の治療もできて、歯も抜く事が出来ると、大方、思っているのではないでしょうか…?

実際は、大学病院に長くいると、本人の余程の努力がない限り、【歯科】と標榜して、開業など出来ないのです。

私の専門の教授は、だから、私に学者にならないのら、専門バカにならず、あらゆる歯科の技術を習得し《修得》しとけと、強く指導し言ってくれました。      「俺は虫歯の治療以外、難しい歯は抜けないし、入れ歯も作らんけどな…。」

 まあ、この教授はもう亡くなって10年以上たちますが、歯科界では有名で実績があり、英語の教科書も論文もスラスラでした。ただ、自分が優秀なせいか、優れた後継者は育ちませんでした。

さて、話を若干戻して、大学病院の歯科医師の話を続けます。

だから、大学病院の歯科で治療すると、それぞれ、分けて治療するので、時間がかかります。時間はいいとしても「木を見て森を見ざる」という事になりがちです。

 医科もそうですが、歯科は特に、大学病院に行く時は《かかりつけの医師》の紹介で行く事が必須ですね。


 《飛び込み》で、大学病院の歯科に行くのは《絶対、愚の骨頂》です。正直、何をされるか…。(居るんですよね。大学病院なら間違いないと思い込んでる愚かな患者さんって。)

 私は、万年講師で大学病院をやめたり、時世柄、やめさせられたりした人達を何人も見ています。


やめて、新たな働き先をさがそうにも、 たとえ専門医でも総合的な治療が出来ないのです。
 誰も雇いません。
 勿論、中には、専門医でない人も居るのです。ただ、大学で学生を教えてだけの。(博士号など何の役にもたちません。)

 結局、国家試験の予備校の講師や、バイトで食いつないでいるのです。

 自殺した人もいます。
 アルコール中毒、薬漬け。中には、犯罪に走った人も居ます。

 40歳位なら、相当の(それも本当に余程の修行と)努力をすれば、総合的な治療の出来る歯科医になれますが…。
50歳にもなると、まず、万年講師で、大学の甘い汁を吸ってた人では、今更、臨床医など到底なれません。教職も学者も駄目。肉体労働も駄目。まあ、まさに、先のない落ちこぼれです。


改めて、専門医である私自身はというと…。
 私は、英語も苦手でスポーツもゴルフもしません。ギャンブルもやりません。(麻雀、パチンコすら全く知りません。)
 女の人にもモテません。

 まあ、ただ、映画評論家を目指してた時があるので、それは詳しいかな?文学賞も貰った事もあります。

 酒は好きです。それもあり、車の運転もやめました。

 まあ、女房と息子、娘と平凡な生活です。

 ただ、インプラントのやり直しも含め、遠くからも《歯を抜きたくない》《歯を抜かれた》《歯を残したい》
 《大学病院でも抜くと言われた》
 等々の患者さんを多く治療してます。
 ただ、私に言わせると、大学病院だからこそ歯を抜くと言われたんだとも思うのです。

 私は大学院時代、「ごく普通の歯医者なら1~2ヶ月で終る虫歯」を、若い大学病院の歯医者が歯を削り過ぎて痛みが取れず、次に【万年講師】が神経を抜き、それでも治らず、専門医の助教、教授が、最後に出てきて、「どうもこの歯は悪い。抜きます。」

 大学病院です。教授の鶴の一声です。患者は文句は言いません。感謝です。

 こんなの、正直、ザラです。

 大学病院の設備が不可欠な病気は当然あります。
 その的確な診断とアドバイスの出来る《かかりつけの医師》を医科でも歯科でも作っておくことです。

 《肩書き》には真実もあるでしょう。
 だけど、《肩書き》を失っても実力が本物でなければなりません…。

 それは会社でも何でもそうでしょう。
 医科、歯科の世界だけの事ではありません。

「大学病院に通院してたのですが…。」と誇らしげに言う患者さんの口を見て、ビックリする程、悪くなってる時がしばしばです。

医科も歯科も《飛び込みでは》大学病院には行かない事です。

 私自身が診療できる患者さんは物理的にも限られています。
 私は《専門バカ》の専門医ではありません。

 相性もあります。

 私はいささか《つむじ曲がり》です。

だからこそ、また繰り返します。

 《飛び込みで大学病院には行かない事です。》
 そして、更にはっきり言わせてもらうと、《飛び込みで大学病院に行く患者さんには》患者さんの方にも愚かな、病識のない人が多いですね。

 きちんとした真面目な人は「かかりつけの医師、歯科医師」に、まずは通院しています。

 私は、アドバイスだけでも、セカンドオピニオンしても、
 優れた相談も、誠意を持って、できます、します、敵えます。

但し私は本当にいささか、《つむじ曲がり》です。

 相性もあるでしょうが、例え、今現在、全く歯がなくても構いません。

ただ、その反省もしない人、健康には歯は医学的にも、全身に及ぶのだと思ってない人。
 要するに、「歯なんか…。」と、思っている人へのアドバイスは御免です。

 そうでなければ、患者さん知識の有無など関係ありません。
プロとして、誠心誠意、《時間外》でも応じます。
  • (長くなったので、稿を改めますが、私はそこらの精神科よりも、ずっと、そっちの方の知見もかなりあります。多くの精神科は【金儲け】もあって薬漬け。治さない方が儲かるもんね…。)

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

改めて、歯科医師会に見る日本。

2012-05-03 | 歯科治療

 4~5年前の事です。突然、近くの歯医者から電話が来て、「今、

変なハガキが来てね。《私は歯を抜かない歯医者です。抜くような患者さんが居たら、私に廻して下さい。サイトウ歯科。》って書いてあるんだ。全て宛名までワープロで、君の住所も電話番号も名前も書いてない。要するに、君に対する嫌みな怪文書だな。…君がこんなハガキ出すわけないし。一応、君にこの馬鹿げたハガキ送るよ。」
と言うのです。

 で、そのハガキを見ると、サイトウ歯科とだけで、確かに私の住所も電話番号も名前も有りません。宛名もワープロで、相手の歯科医院名だけで院長名は記してません。要するに、筆跡は不明にしてるし、極めて不備なハガキなわけです…。一応、友人の弁護士に相談はしたのですが…。

 ただ、何とこの事で驚き呆れたのは、その後の事だったのです。

 当時の渋谷歯科医師会の会長からの電話でした。
 「…あっ、斎藤先生ですか?あのう、変なハガキがね。何枚かありましてね…。」
 で、私は、「そうなんですよ。馬鹿げた話で私もそのハガキ見たんです。」
 と、会長に言ったんですね。
 そしたら、何と!会長は、こう言ったのです。

 「患者が欲しいのはわかりますが、なるべくああいうハガキは出さない方が…。」
 此処で、私は絶句です。

「会長、ハガキをきちんと見たのですか?!」ファックスで見た。と言うんですね。

 「会長、あんな馬鹿げたハガキ、私が出すわけないでしょ!自分の住所も電話番号も名前も書いてない、あんな全てがワープロだけで、あんな不躾なハガキを…。先日、仲間からも君なわけないし、と言われ友人の弁護士にも笑われた位で…相手にしなかったのです。
 会長という人が、はなから、確かめもしないで、私が出したものと思い込んだのですか?…失礼ですけど、呆れますし、私も心外ですよ!ガッカリです!」

すると、会長は、慌てて、口ごもり、 「あっ、君が出したんだではないのですか?…失礼しました。あっ、では後日、また……。」
 と、言葉を濁し、電話を切りました。

 その後、会長は勿論、渋谷歯科医師会の執行部からも音沙汰無しです。

 日本歯科医師会の結構、上の人で親しい先輩に伝えたら、まあ、わかった。近いうち、会おうという事でした。

その先輩は雑談の後、暫くしてこう言ったのです。
「斎藤、どこの世界もそうかもしれないが、医者、歯医者がジェントルマンだなんて思うなよ…。」

 永田町の常識が、国民から解離してるように、官僚にもサラリーマンでも、組織の中に居ると、組織の常識が、普通の社会常識を歪め、社会常識から解離しているのは、確かに日常よくある事です。

 太宰治は言っています。
「徒党というのがある。多数決が優先され、多数決で決まる。政治というのはそういうものだ。…私は、その論理では救われないのを救うのが文学だと思う。
 第一、自分の最も憎んでいる人間は、その徒党の中にこそ居るものである。自分が本当に信頼している人間は、案外、徒党の外にこそ居るものだ…。《友情》、《信頼》、というものを、私は徒党中に見た事はない。」
 さすがに、《人間通》、太宰治だと思います。

 歯科医師会は、最初の新規入会時には100万円近くかかります。その後、年間20万円位の出費でしょうか。会員になると、いろんな勉強会、医学情報等、懇親会、地域医療への貢献等、役に立つ事は多いものです。

 でも、金がかかると言って、入会しない人も沢山います。

 その歯科医師会の役割のひとつに、何よりも会員同志助け合う事というのが当然大きくあるのです。

しかし、私の周りには歩いて10分圏内にゆうに十軒を越える歯科医院が有ります。私は自分の自由に丁寧な治療をしたいからこそ、私ひとりの診療所を築いたのですが…、
 正直、《出る杭は打たれます。》
シャカリキに患者を診ると、皆に合わせろと言います。
だからといって、患者が少なく悩んでも、患者が増えるよう頑張れとは言いません。適切なアドバイスもしません。

 私の欧米の友人は、日本は三代世襲の政治家が沢山居るけど、北朝鮮と変わらないんじゃないの?民主主義が根付いてないよなと、皆言います。

 何か新しい試みをすると、協調性がないと、《打たれます》。

 で、病気、事故等で、診療を休まざるえなくても、特別、歯科医師会は助けてはくれません。

 まさに、歯科医師会に限らず日本の縮図ですね。出る杭は打たれるのです。


しかし、断じて 《出る杭は》《打たない》で欲しいですね。

 《出る杭》は、決して、協調性がないのではありません。
私は(私も)、《協調性のある出る杭》のひとりなのです。

 さて、ここでまた稿を改めますが、NHKでインプラントの注意をまた報じてます。私も電話主宰を受けました。

 インプラントを勧められた人、自らしようと思っている人は、私のように医学的にもきちんと勉強している《インプラントをやらない歯医者》の診察を受けてからインプラントをした方がいいですね。

 私は、再三言ってるように決してインプラントを全否定はしていません。

 ただ、安易に大学病院にも行かない事ですね。大学病院は、責任は取ってくれますが、《実験台》にされる怖れが多大にあります。

 あと、週刊誌、月刊誌等に大きく宣伝を載せている所でも、インプラントをしない方がいいですね。
(普通の社会常識を越えた広告費を払っています。)

週刊朝日を始め、インプラント事故があっても、個人攻撃しかせずインプラントそのものの危うさを報じないのは、インプラントは大切なスポンサー(広告収入)だからです。
 TVも同様。
 その点はNHKが客観的な気もします。

 実際、しかしNHKも含めメディアは、インプラントの細かい不備、怖さ、危うさはほとんどその実態を報じてはいません。

 個人攻撃を受けている歯科医師は、インプラント云々以前、医師以前の人ばかりです。
 これでは、多くの真面目な医師、歯科医師には大迷惑です。

 繰り返します。インプラントをしてもらおうとしている人は、私の親友の銀座で治療している《噛み合わせ》の専門家の井出 徹先生のような名医の診察をまず受ける事が肝要です。(銀座に限りませんが、銀座もまた、とんでもない医者も多いですね。場所柄、まさに玉石混淆です。)

インプラントについてはまた稿を改めます…。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする