抜かない歯医者のひとりごと

歯の健康は全身の健康につながる。渋谷で開業中の保存学認定医が、なるべく歯を抜かない治療にまつわるトピックを語ります。

インプラントについて その3

2010-07-12 | 歯科治療
昔からよく言われている事ですが、『ヤブ医者ほど,儲かる』というのがあります。「治さない、治らない」の方が、何度も通院してもらえるので、治療費をその都度、請求できるだからです。
歯科の場合、更に矛盾があります。歯を抜く方が、歯を残すより、儲かるのです。それは、歯を残すのは、〈歯学〉の分野で、歯を抜くのは〈医学〉の領域なのです。
医学の領域の方が、制度的に、より多く、診療費を請求できるシステムなのです。歯は命には関わらないという幻想がいまだにあるんですよね。
歯を残す=歯学の分野は、その技術=スキルの難しさ、手間、細かな作業の割には治療費は安いものです。麻酔してさっさと抜く方が効率よく(下品な言い方ですが)儲かるのです。
なかには、独自の料金システムを設けて、治療費を請求してる歯医者も居ますが、多くの心ある歯医者は、そのやりがいも含めて、採算を度外視して、その技術=スキルを良心的に駆使しているのです。
自分事ですが、私はインプラントの後始末、抜く以外方法がないと言われた、多くの歯を抜かず、治療する事に、かなりの精力を傾け、その実績もあげています。
歯は抜けば再生しません。骨は再生するのです。その骨の再生力をいかして、いかに歯を残すかなのです。
安易に骨のあるうちに、歯を抜いて、インプラントにするという甘言に、患者さんは言うまでもなく、歯医者ですらも、惑わされている事があります。
歯を残すのはその難しさのストレスの割には、それに見合う、少しの賞賛も収入もないんですよね。
抜いてインプラントー自分の歯ーこの間違っている(金儲けシステム)に、医者、歯医者、患者が巻き込まれてはいけません。
インプラントが素晴らしく、その機能を発揮する事があるのは、確かに本当にあります。しかし、自分の歯のように噛める事はありません。その技術による事は勿論ですが、義歯とたいして変わりませんよ。何度も言いますが、要は、眼鏡とコンタクトレンズとの違いみたいなもの。
自分の目=自分の歯の心地良さにかなうわけがないのです。

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