Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「さよなら」を言うのがいやだから、黙って消える

2011-10-16 | Weblog
斎藤憐さんの葬儀。近しい人たちでお送りする。憐さんの声や表情や仕草があまりにも鮮明に思い起こされるので、まだまだほんとうの意味では実感が湧かない。何人かが言っていたのは、シャイというのとも微妙に違う独特な感覚の持ち主である憐さんが、「さよなら」を言うのが好きではなく、いつも別れ際には、黙ってすっといなくなっておられたということだ。確かにそうだと思う。

He leaves us behind without saying anything because he doesn’t like to say “Good-bye”.

I went to Ren Saito’s funeral. We had it with people who had close relationship with Ren-san. I can’t understand what happens to him really since I can still recall his voice, facial expressions and his gestures very clearly. I remember that every time when Ren went home, he didn’t say anything on the spot but just left without saying anything; He didn’t like to say “Good-bye”. That’s exactly true.
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『ユーリンタウン』再演はじまる

2011-10-15 | Weblog
館長不在の座高円寺1でプレビュー。前田さんの振付、大野さんの衣裳参加などにより、パワーアップ、というか、ミュージカルらしくなった。初演の「天国席」「地獄席」九十度違いの段差客席プランは私のアイデアで、搬入口も使うし、客席の下から俳優たちがなだれ込んでくるものだった。今回は通常客席使用により舞台が広くなり、そのぶんしっかりとミュージカルらしい動きが増えた。初演の猥雑さは若干消えたかも知れないが、やりやすい手の内でなく、チームの成長を視座に入れた流山児氏の方針は納得できる。前へ、前へ、なのだ。別所ロクスッポは大柄さ、チャーミングさで攻めてきた、なるほど。それにしても、自分で書いておいて何だが、やりたい放題の日本語版台本である。……かつてこの演目は座高円寺のこけら落とし公演だった。憐さん、流山児氏とこうして仕事の上で交叉できたことは、ほんとうに、私にとっては大切で、ありがたいことだ。

A return of the performance “URINETOWN”

We had a preview performance at THE KOENJI, where we don’t have the superintendent any more. The performance itself became more powerful or what should I saybecame more like a musical. I made the seating plan for the first performance; they set up “heaven seats” and “hell seats”, whose seats had 90 degrees difference. Actors came under the seats and used carry-in entrance, too. This time, a normal seating plan was taken in and they could use more space on the stage. That’s why actors could act more like a musical. Even though the performance became less bawdy, I can understand Ryuzanji-san’s decision considering the growth of the team, not just making it more understandable. He is going forward and forward. Actor Bessho became bolder and more charming. This is the Japanese script that I wrote, but I have to say that this Japanese script is very wild. THE KOENJI was opened with this performance two years ago. I cherish this memory that I could work with Ren-san and Ryuzanji-san.
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シンガポールの水際

2011-10-14 | Weblog
際限なく思い出されることばかりだが、昨日から甦ってきて、なかなか消えない記憶がある。憐さんと、通訳・翻訳を担当してくれた志磨真実さんと、三人で、シンガポールでの<ランドマイン・プロジェクト>合宿に参加した、十年前の夏。海外の参加者もいたが、十日間近くを、かなりの時間、三人で過ごした。その時に憐さんが書いたのが、「村の物語」であったり、私も憐さんも実名で登場するコメディだったりした。私が書いたのが『だるまさんがころんだ』の中の「セントラルパークの地雷」と、合作のエピローグになるはずだった劇詩「じらいくじら」、後に「村の物語」の姉妹編を書いた。だいたい夕方は三人で水際の店で食事した。中華が多かった。憐さんの蘊蓄付きである。あの、豊かで、親しく、密接な時間は、確実に存在していたし、そこにあり続けているという実感が、胸の中にある。八年前、真実さんが亡くなったのは、同じ10月12日だった。
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さようなら、斎藤憐さん

2011-10-13 | Weblog
ありがとうございました。
今は言うべき言葉は他にない。
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世田谷に毎日通う身としては

2011-10-13 | Weblog
報道によれば、東京都世田谷区は12日、同区弦巻5の区道で、国際放射線防護委員会の基準などを基に区が独自に算出した安全の目安とする空間放射線量(毎時0.23~0.25マイクロシーベルト)の約11倍にあたる最大毎時2.70マイクロシーベルトを測定したと発表。区は「通行するだけでは身体に影響はない」としているが、住民の不安に配慮し、周辺を立ち入り禁止にする緊急措置を取ったという。労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則では、外部放射線と空気中の放射性物質による実効線量の合計が3カ月間で1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域は、放射線管理区域に指定するよう定めている。1時間当たりに換算すると毎時2.60マイクロシーベルトで、通常、原子力施設などではこの値が管理区域に設定する基準となっている。……「東京に住めなくなるかもしれない」という予感はじわじわと現実に近づきつつあるのか。
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外国人一万人を航空券付きで日本に招待?

2011-10-11 | Weblog
観光庁は、東日本大震災後に激減している外国人観光客の回復を狙い、次年度に全世界から、旅費無料で1万人の一般観光客を日本に招待(往復航空券を提供)する方針を固めたという。日本国内の滞在が安全・安心であることを口コミで世界的に広げる効果を見込んでいるのだそうな。事業費11億円。もっと有効な金の使い道があるのではないのか。……放射能がらみで、特に保険会社が日本に渡航した場合を対象外にするとかで、海外の方が日本に来る企画が幾つも頓挫している。確かに仕事がらみでない限り、日本に「わざわざ来る」ことはないだろう。高級ホテルが半額ダンピングをしているという実態もあるらしいのだが。……ハードな移動と睡眠不足、各方面の課題の進行遅れで、かなり消耗している。だが稽古は始まる。
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犬島

2011-10-10 | Weblog
一時間しか眠れず早朝、宿を出る。宿の朝食開始時刻より前なのでローソンでサンドイッチ買う。クルマで宝伝港まで送ってくれたF.Mは高校の後輩、今は岡山の舞台芸術を牛耳る(?)「アートファーム」メンバー。かつて私が作った八ミリ映画のヒロインでもある。天満屋デパート外の非常階段で彼女を絞殺するシーンをモノクロ撮影したが、文化祭での上映を職員会議で禁止されたのである。70年代の話だ。ここらの事情は『天皇と接吻』にも変奏されて出てくる。……朝早いが犬島に着くなり、「アートファーム」ボス大森さんと怒濤のようにあらゆる話をしながら犬島を一周。全周四キロの島である。合間に維新派公演の時にはスルーした精錬所跡の展示を初めてちゃんと見る。移動演劇『地球四周分の歌』を観て、また島内一周。終えて、本州に戻り、F.Mが牛窓の現在の私の実家まで送ってくれる。すぐに発ち、赤穂線で岡山駅へ、終電一つ前の新幹線で帰京。……犬島での密談陰謀、ともあれこれからが楽しみである。
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すし詰め新幹線自由席の頽廃

2011-10-09 | Weblog
風邪気味なのか午前中ダウン。いろいろなことが捗らない。申し訳ない。……座高円寺へ。武内氏の舞踏。『ユーリンタウン』稽古はほんとに一瞬覗いただけ。「すごい構成の戯曲ですね」と、今回初めてロクスッポ巡査部長を演じる別所哲也氏。その通り。私は日本語を出鱈目にいじっただけなんだよ。……新幹線最終で岡山へ。十一時五八分に着く。なんだか疲れる。他者同士がけだるい無意識をまき散らす車中の密度に? ……もうプログじゃなくてツイッターやfacebookの時代だという人も多い。そうなのか? とにかく私はツイッターだけはやらない。携帯の小さい画面をずっと覗き込んでいるのがいやなのだ。隣席の見知らぬ女性が抱え込むように目の前に異常接近させて据えている(咥えているようにも見える)紫色の携帯電話ボディの鈍い反射が、一瞬位牌のように見えてしまう。……「3.11以降、切実な題材を見出しえない、夢中になれるものがない」「原発事故の悲惨、苦しむ人々が大勢いる現実の中で、芸術や表現は無力だ」と言う人たちが、被災地以外に多くいるようだ。個々の感受性を云々するつもりはないが、被災地で直接的なダメージを受けても気を取り直して意識転換している人は少なくない。もちろんほんとうに打ちのめされている人だっているだろう。しかし「思考停止して当然」という印象を既成事実のように前提化してしまえば、「戦争は止められなかった、芸術や表現は無力だった、そういう時代だった」と過去を述懐する人たちと同類になってしまうかもしれないことには、いいかげん気づいてほしい。少なくとも現実に目の前には相変わらず、放射能汚染のことをいちいち考えていられないくらい、しんどいことや辛いことは、いっぱいあるではないか。そこにいるあなたも私も、自分自身と他者が交わるゆえの不条理を抱えながら、それでもこの世界にながらえようとしているではないか。
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『風景画 東京・池袋』

2011-10-08 | Weblog
やることが多すぎる。ほとんど徹夜でへろへろながら、夜は池袋で維新派『風景画』。ビルの屋上とはいえ野外は素敵である。借景も成功。意外と寒いのでこれから観に行かれる方は一枚多めに着てゆかれるがよろし。初日なので久しぶりに演劇業界の方々と顔を合わせる。松本雄吉兄、大阪からいらした小堀さん日高さんらと一緒にいると、ここがどこだか一瞬わからなくなってしまうのだが。
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ジョブスと一郎

2011-10-07 | Weblog
テレビつけるとジョブス氏死去と小沢一郎裁判のことばかり。比べちゃ失礼か。「apple」の先進性とオリジナリティは二十年以上前から歴然としていた。私も一貫してマックユーザー、Windows等のマウスにボタンが二個あるのがいまだに解せないくらいMacどっぷりである。それにしてもジョブス氏の有名な言葉「Stay hungry、stay foolish」の「foolish」は、どう訳せば一番適切なのだろう。
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ZABADAKの夜

2011-10-06 | Weblog
雨の日、雑務に追われるうちに夜。息子に晩飯を作ってから出かける。旧知の吉良さん、公子さんのZABADAK 25th. Anniversary Vol.3 BEST盤発売記念LIVE 。久しぶりの六本木スイートベイジル。素敵でした。たいへん楽しみませていただきました。ありがとう。
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世界のあちこちで

2011-10-05 | Weblog
ほんとうに冗談でなく一日雑務に追われる。思いがけないことが世界各所で起こっている。対応していくしかない。台本を書く時間を確保したい。
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ここは日本だが

2011-10-04 | Weblog
日本に帰ったがいつもにくらべて日本に帰ってきたという気がしない。一人で海外に行くとこんな感じじゃないのだが。つまり今回のツアーは大所帯で行ったりあれこれたいへんだったせいもあって、そもそも外国に行ったような気がしないでいた面があるのだろう。それで帰国しても何かがリセットされた感じが持てないのだ。とりあえず広島風お好み焼きを鉄板にヘラで食べて日本を感じようとする(?)が、広島出身劇団員tenkoがドイツでケバブを手づかみでぱくついている姿が屋台のお好み焼きを丸めて食べているようにしか見えなかった記憶が災いしてか、妙な持続感は消えないままなのだった。
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帰国便

2011-10-04 | Weblog
時差七時間スキップで一日が終わる。……帰国十時間の空の旅。例によって移動中もなるべく少しでも多く資料的な本を読む。飛行機は導入されたばかりの最新型のものということでぴかぴかしている。隣席は空席で個人用のライトはLEDで、焦点も絞れているので、遠慮なく本を読めるが、重い記録文ばかりの読書はなかなか捗らない。目の前の液晶画面の解像度はずいぶんアップしていて、カメラ三台で飛行機の周囲を違うアングルで映した映像も見られる。どういう需要かわからないが、きっと見たいという人がいるのだろう。
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タールハイマーだった

2011-10-02 | Weblog
劇場撤収作業すべて終了。……今後のためやらねばならないことも多々あり迷ったが、夜は市立劇場で『メアリー・スチュアート』、シラー作。事前情報を眺めることもなく、皆が観るというのでせっかくだからと珍しく消極的に観始めるが、ああこれから言葉のわからない長台詞に長時間つきあわされるのか、と思いきや、この手法はひょっとして、と開演20分後くらいにチケットを確かめると、やはり演出家名はタールハイマーだった。確認前は、彼に影響を受けた演出家の仕事だったり、このスタイルがドイツの趨勢になっているとかいう可能性も考えたが、正真正銘本人の演出。しかし、極めてシンプルな作りなのに舞台を観ただけでその人の仕事とわかるだけの個性というのは、たいしたものである。ある意味、いつも同じパターンということでもあるのだが。さいたま芸術劇場で観た『エミーリア・ガロッティ』以来、ベルリンに行けば必ずタールハイマーの舞台を観ることにしていたが、こんな形で最新の仕事に触れられたのはなんだかすごく得をした気分だ。
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