Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

燐光群新作『天使も嘘をつく』、あす初日

2016-11-17 | Weblog
いつの間にか時間が経っている。もう明日が初日である。

昨日は場当たりの合間に座高円寺の佐藤信芸術監督が登場(写真)。ご本人も本当に久しぶりに戯曲を執筆中だという。
「自分で書いていて、「芝居の本みたいだな」と自分で思ったら嫌だよな」という話で盛り上がる。

以下は、当日パンフレットに掲載される私の文章というか、ごあいさつ。

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『天使も嘘をつく』は、『チェックポイント黒点島』『3分間の女の一生』に続く、竹下景子さんとつくる演劇となる。設定は毎回違うが、三回とも同じ「クリモトヒロコ」という役名である。もちろんそこに積極的な意図がある。話が繋がっているわけではない。私たち作り手側の覚悟のようなもののあらわれと思っていただけると、一番しっくりくるだろうか。
いってみれば、「クリモトヒロコ」は、「戦後民主主義」を体現する者である。
過去から七十年にわたって積み上げられてきたはずの「戦後民主主義」は、現在、どのように認識されているのか。あるいは無視され、なきものにされようとしているのか。

海沿いの町で映画を撮影しようとする人々を描くことは最初から決まっていた。舞台となるのは、日本西南端の島々の一つだ。
この劇ではドキュメンタリーの監督でもある「クリモトヒロコ」が、劇映画については「冷戦期のアメリカB級表現に於ける核恐怖」というテーマに関心があるという設定になっている。
「冷戦期」のアメリカB級SF映画には、片田舎の街が、未知の力や未確認生物に支配されるという展開をとるものが多い。人体が宇宙からの生命体に乗っ取られる場合もある。「共産主義という名の全体主義」や、その対立を象徴する「核兵器」への潜在的な恐怖心が、そうしたストーリーを引き寄せたのだ。
核兵器そのものを描く『渚にて』を経て、『ブロブ』『マックィーン絶対の危機』『遊星からの物体X』『ボディ・スナッチャー』『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』等が該当する。
私の世代は、生まれたときには既に、アメリカとソビエトを中心とした対立の時代にいた。両者の「宇宙開発競争」でさえ、その対立の顕れだった。私たちの「戦後民主主義」にも、常にバックグラウンドには「冷戦」と、それに対する潜在的な恐怖があったといえるだろう。
ベルリンの壁が崩壊、東西の対立がなくなり、「冷戦」は終結した。しかしその時代があまりにも長すぎたために、人々は意識下にその恐怖心を抱えたままでいることに対する奇妙な安定感がすり込まれているのかもしれない。もとよりアメリカに対する依存心を自らのアイデンティティーとしてしまった日本という国は、「恐怖の対象」がなくなったこと自体が不安であるかのように、「次なる脅威」を自ら作り出す時代に突入してしまっている。
私たちが大切だと思う「戦後民主主義」の要素が、「新たな冷戦期の恐怖」を作り出す想像力に打ち克つことができるかどうか。それがいま問われている。
この劇の物語は、そうした現実の推移をなるべくそのまま取り上げようとしたものである。そして、私が今年初めて訪れた島々から触発された要素によって、はっきりとピントが合った。
ほんとうに多くの人たちに出会った。そこで見聞した内容は、これまで詳しく知らなかったことを後悔するものばかりだった。
創作の過程でお世話になった皆さま、困難を伴う現場を動かしてくださっているスタッフ・キャスト諸氏に心から感謝すると共に、ここから何が始まるのか、自分自身も一人の登場人物であるという思いで、体現していきたいと思う。




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燐光群新作

『天使も嘘をつく』


世界を変えられる映像を撮れるなら、魂だって売る。
『天皇と接吻』に続いて「映画」と「民主主義」を問う、竹下景子×燐光群の最新作!

戦争や破滅の先にしか、「新しい時代」は見つけられないのか。
「未来」に向かう途中経過ではない、「いま」を生きる。

『チェックポイント黒点島』、そして『3分間の女の一生』から6年、クリモトヒロコ=竹下景子の、新たなる冒険。

竹下景子 馬渕英里何 円城寺あや 中山マリ
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
樋尾麻衣子 杉山英之 武山尚史 東谷英人 荻野貴継 
百花亜希 田中結佳 宗像祥子 秋定史枝 大浦恵実 塩尻成花

作・演出○坂手洋二
照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○橋本慶之
美術○じょん万次郎
演出助手○大河内直子
衣裳○小林巨和
文芸助手○清水弥生 久保志乃ぶ 桑原睦
宣伝写真○姫田蘭
宣伝意匠○高崎勝也
協力○アイ・バーグマン ホリプロ 浅井企画 DULL-COLORED POP (有)スタッフ・テン
制作○古元道広 近藤順子 
Company Staff○桐畑理佳 山村秀勝 脇園ひろ美 鈴木菜子 番匠郁 松岡洋子 根兵さやか
   福田陽子 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ
主催○有限会社グッドフェローズ
後援○杉並区
提携○NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺 

東京公演
11月18日(金)~ 27日(日) 座・高円寺1
開演 平日夜7時 日曜・水曜は昼2時のみ 土曜・火曜・木曜は昼2時・夜7時の二回公演  

アフタートーク

11/21(月)ジェイムズ八重樫(シアターアーティスト)
11/22(火)福島みずほ(参議院議員・社会民主党副党首)
11/25(金)永田浩三(武蔵大学教授・ジャーナリスト)

いずれも夜の部です。本公演のチケットをお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。

http://rinkogun.com/tenshi.html



【全席指定】 
◇一般 4,200円(なみちけ使用可)
◆劇団特別割引(劇団予約・燐光群オンラインチケット扱いのみ) 
■一般 3,800円  ペア 7,000円 
■U-25(25歳以下)/大学・専門学校生2,500円 高校生以下1,500円 ※U-25/学生券は前日迄にご予約の上、当日受付にて要証明書提示。 
<なみちけ>
座・高円寺の劇場回数券「なみちけ」もご利用いただけます。
「なみちけ」とは、4枚綴りのチケット引換回数券です。座・高円寺で上演する主催・提携公演であれば、お一人1枚1ステージにご利用になれます。ひとつの公演に何回足を運んでも、お友達と一緒に使ってもOK。
一般用12,000円(1シート3,000円×4枚)、学生及びシルバー用10,000円(1シート2,500円×4枚)です。詳細は座・高円寺チケットボックスまで。

【前売扱所】
◆座・高円寺チケットボックス(月曜定休) 
■03-3223-7300(10:00〜18:00)  窓口(10:00〜19:00)■オンライン予約 http://za-koenji.jp/
◆F/T チケットセンター
■03-5961-5209(12:00~19:00 定休日あり)■オンライン予約 http://festival-tokyo.jp
◆燐光群オンラインチケット(U-25/ 学生券を除く) http://rinkogun.com 
■24時間いつでもホームページ上でご予約頂き、セブンイレブンでチケットをお受け取り頂けます。
■お支払いは現金(セブンイレブン)、またはクレジットカードとなります(手数料はお客様負担)。
■※会員登録(無料)が必要です。

◆ご予約・お問合せ
■燐光群/(有)グッドフェローズ 03-3426-6294■ticket-rinkogun@ee.alles.or.jp
■①<お名前/電話番号/希望日時/チケットの種類と枚数>をお伝え下さい。こちらからのお返事を以てご予約とさせて頂きます。
■②当日、開演の10分前までに受付にお越し下さい。代金と引換でチケットをお渡しします。
■ この時間を過ぎますと、あらかじめご用意しておりましたお席にご案内できない場合がございます。
■※キャンセル・日時変更はできません。 

◎以下のサービスは劇場で承ります 
お申込・お問合せは座・高円寺チケットボックス 03-3223-7300まで

*車椅子スペースをご利用の方は、前日までにお申し込みください(定員あり) *障がい者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックスでのご予約に限り1割引きになります。 

*託児サービス(11月19日・22日・24日・26日 各14時公演/定員あり・対象年齢1歳~未就学児・1週間前までに要予約)料金:1,000円

○座・高円寺
〒166-0002 杉並区高円寺北2-1-2 03-3223-7500
JR中央線「高円寺」駅 北口徒歩5分
※土・休日の中央線快速は高円寺駅に停車しませんのでご注意ください。
※駐車場はございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。

前売開始○10月9日(日) ※劇団での販売は11:00〜

【国内ツアー】
[岡山]11月29日(火)岡山市立市民文化ホール
[名古屋]12月1日(木)・2日(金)熱田文化小劇場
[津]12月4日(日)・5日(月)津市芸濃総合文化センター 
[伊丹]12月8日(木)〜 11日(日)AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
コメント
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