Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

民主主義の死。辺野古本体工事着手。

2015-10-29 | Weblog
どうしてこんな理不尽なことができるのか。それが許されると思うのか。いや、絶対に許してはならない。ここしばらく強まるばかりだった国家権力の横暴は極まった。
沖縄の皆さんだけでなく、多少なりとも沖縄の現実に関心を持ち、あるいはその現場を思って過ごしてきた人は、誰ひとりとして、今日この日の屈辱を忘れないだろう。

政府は27日、翁長雄志知事が名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消したことについて、「承認になんら瑕疵(かし)はない」として、地方自治法に基づく「代執行」手続きの開始と、行政不服審査法に基づく埋め立て承認取り消し処分の「効力停止」を、同時に打ち出した。
安倍政権は沖縄の「新基地建設反対」の民意を無視した。10万人規模の配備反対県民大会も、全41市町村長が撤回を求める「建白書」も黙殺された。

政府は前日の26日、名護市辺野古の新基地建設予定地に近い久辺3区の代表を首相官邸に招き、2015年度から県や名護市を通さず直接、振興費を3区に支出する考えを伝えている。区長は公職選挙法に基づく選挙で選ばれるわけではなく、公金の管理や使途をチェックする議会もない。ほとんど町内会である。今年度分は3地区で総額3千万円程度、防災備蓄倉庫の整備などに使うという。公金の配分が政治的意見の相違で判断されることは不正以外の何物でもない。政府は「基地と地域振興はリンクしない」と言ってきたが、まったくの嘘だった。財政の支出ルールを無視、「ご褒美」を与えたわけだ。こんな見え見えのことをして、恥ずかしくないのか。

そもそも行政不服審査法は公権力に対して「私人」が不服を申し立てる制度で、「国民の権利利益の救済」を目的としているはずである。国に不服申し立てをする資格などない。
防衛省(沖縄防衛局)が行政不服審査法に基づいて国土交通相に審査請求と取り消しの効力停止を求め、国交相はその通りの結論を出した。「私人」たりえない「お上」どうしの出来レースである。

効力停止の決定理由として国交省が挙げたのが、「飛行場周辺の住民らが被る危険性が継続するなど重大な損害が生じる」「一日も早い危険性の除去」。そうか。日本復帰から四十三年、1996年の日米合意からさえ19年が経過している。それを放置してきたのはどこの誰だ。
小学生の少女が米兵に暴行されたあの怒りの日から二十年、その決着がこれだというのか。
「唯一の選択肢」などではない。在沖米海兵隊は撤退計画が何度も立ち上がったが、日本政府に懇願されて居残ってもらったことは、誰もが知っている。ラムズフェルドでさえ、沖縄撤退を考えた時期があるのだ。
普天間の危険性云々を言うなら、安倍晋三首相が仲井真弘多前知事に口約束した「5年以内の普天間基地運用停止」について、忘れたふりをさせていいのか。

そして今日である。
10月29日朝。日本政府が独断で「米軍普天間飛行場の移設先」と決めつけた名護市辺野古で、沖縄防衛局は沿岸部の埋め立て本体工事着手に踏み切った。
当日の工事は現場近くにあるアメリカ軍キャンプ・シュワブ内に、石材やコンクリートブロックなどの仮置き場を整備するための整地だという。
許しがたい。

一方、菅義偉官房長官は28日、政府が米軍普天間飛行場所属の米輸送機MV22オスプレイを使用した米海兵隊の訓練拠点を佐賀空港に移転配備する計画を見送る方針を肯定し、「地元の了解を得ることが当然だと思う」との考えを示したという。翁長雄志沖縄県知事は、この佐賀空港での訓練見送りについて、「当然全部沖縄で(現状通り)訓練することになるのだろう」「話くゎっちー(話だけでうまいことを言っていた)」と批判した。
沖縄の負担軽減のための訓練移転という触れ込みだったが、本土で反対に遭うと言うことを聞く。あからさまな沖縄だけへの負担押しつけである。

少なくとも裁判での決着に向けて踏み出したのが国の側であるなら、司法判断が出るまで作業再開は認められないはずではないのか。
このまま辺野古移設に向けた埋め立ての本体工事を強行することは、民主主義の否定であり、そこには何一つ公平性、公正性は見当たらない。

あまりにもひどいことをされると、茫然とするしかない。
しかし黙っていてはいけない。発言し、伝え続けなければならない。
怒りの火を鎮めるのは、その怒りの理由を断ち切るときでしかないからだ。
策はないのか。

皆さんの感じている怒りは、正当なものだ。
大切な人たちの言葉に耳を傾け、一言でも多くを語り、繋がっていたい。
遠く離れて非力な身であるが、能う限り心を確かに、一歩も譲らず、向き合ってゆく者たちの仲間でありたい。
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