扇田昭彦著「井上ひさしの劇世界」(国書刊行会)。ここしばらく、時折り頁を捲り、何日かかかってようやく読破。多くの井上作品が出てくる。既に観たり読んだりしているものとそうでないものがある。扇田さんの井上作品への愛着、同時代人としてのエールとそれゆえの厳しさ、ある意味で、まさに同志といえるつきあいだったのだろう。「笑い」についての言及は、井上作品を離れた扇田氏自身の主張とも重なるのではないだろうか。今、このタイミングで読ませていただき、とてもためになった。読み終えるのが惜しいほど楽しくもあった。ありがとうございます。……そして、井上ひさしさんが幻の遺作で向き合おうとした「沖縄」とは何だったのか。ここ数日考えている。……そんなこともあってか、夜、渡辺美佐子さんと打合せしているときも、つい井上さんの話をしてしまう。……沖縄県民大会の記録映像を観る。最後の、旧知の加藤弁護士の挨拶、「高江の空にもオスプレイは飛ばせません」に、あらためて胸打たれる。高江ヘリパッドの国が住民を訴える不条理裁判の控訴審で、福岡高裁那覇支部は、国がヘリパット反対運動の高江住民を提訴した法的根拠などに疑問を呈した。そもそも「住民弾圧」が目的だから論理なんかなかったのだ。裁判所が国に求めた釈明事項では、「提訴したのは人間ではない〈国〉という抽象的な存在」「その〈国〉が〈 通行〉するのを〈物理的な方法〉で妨害するのは不可能で はないか」ということ。まるでトンチだが、前進といえる。とはいえ、長引く「国家との裁判」で消耗させられるのは市民の側だ。……慌ただしく、やることがいっぱい。いろいろなことの判断をつける時期。
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