魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

ペテン師

2022年06月12日 | 日記・エッセイ・コラム

時間だけで言えば、ウクライナがロシアから離れて約30年だが、ロシアとウクライナは祖を同じくするキエフ大公国の末裔で、言わば身内同士だ。
一方、台湾は中国から離れて約127年だ。しかも、中国大陸の人間が移り住み始めたのは17世紀で、中国に関わりがあるのは実質230年余だから、江戸時代より短い。大唐時代さえ中国は台湾に関心がなかった。

それを、中国が「台湾は中国の不可分の領土」と言うのは、「列島線」と同じ、紛れもない「侵略目標」だ。中国は、台湾も日本も同レベルの傘下たるべき存在と見なしている。違いはただ、手を出しやすいかどうかだけだ。
日本人からすれば、信じられないような話だが、中国人、少なくとも中国共産党は、太古からの中華の感覚でしか世界を観ることができない。アメリカは単純に現代のローマであり、遠ければ貿易相手、近ければ敵国だ。とにかく、雑で荒っぽい思考だが、そのことは却って、現実をよく把握することになる。

法やルールは表面上の飾り、「紙くず」に過ぎない。人間世界を動かすものはサル社会の、力と情念だ。中国は、この身も蓋もない現実だけで動いている。
欧米がルールによる競技をしようとする時も、中国は喧嘩に勝つ方法を考えている。喧嘩にルールなど無い。
喧嘩も競技もしたことがなかった日本は、喧嘩に負けて、競技に専念することになった。令和の日本人は、戦争犯罪をレッドカードだと思うが、中国共産党には「戦時の常態」に過ぎない。ただ損得勘定で、「だからどうした」とは、口にしないだけだ。

内紛と侵略戦争
ウクライナと台湾は全く次元の違う問題だ。
ウクライナ戦争の現実は内紛だが、台湾侵攻は純粋な侵略だ。この二つの問題は、立前と現実が、ちょうど真逆になっている。
建前上の「独立国」ウクライナへの侵攻の現実は内紛だが、建前上「一つの中国」に含まれる台湾への侵攻の現実は、侵略戦争だ。
この真逆の状況を、同じ戦争次元で論ずることは、
「ウクライナは侵略戦争だから悪だが、台湾は内紛だから許される」という中国の論理を、結果的に認めることになる。

ウクライナの関係者は、「プーチンの言うことは全てウソだ」と言うが、「ウソ」は普通の人が言う矛盾だ。だが、ペテン師が話す普通の言葉は、すべて整然とした「本当」だ。ただ、言葉にはない「魂胆」が隠れている。
法やルールを単なる言葉と考える中国には、常に現実的な「魂胆」があり、細かな矛盾や瑕疵より、魂胆の実現だけを狙っている。だから、どうでも良い言葉は、常に立派だ。

ウクライナ戦争で得をしているのは欧米軍需産業だが、漁夫の利を狙うペテン師中国は、もっと大きな獲物を狙っている。
侵略戦争を否定すると見せかけて、上海協力機構で旧ソ連を属国化し、巨大中華圏ブロックの構えで欧米に対抗し、台湾を始めとする周辺国を「内紛」の名目で侵略する。韓国、沖縄は言うに及ばず、日本もその例外ではない。それが「中国の夢」だ。

今、ウクライナ戦争をロシアの侵略として語れば、まさに、中国のペテンに乗ることになる。欧米はウクライナの現実を内紛と認識することで、初めて、中国のペテンを暴露することができる。ペテン師の言葉は道具であり、現実結果が目的だ。

国際社会は、「ウクライナ戦争はキエフ大公国以来の歴史的内紛だが、台湾問題はチベット、ウイグル、モンゴル、に続く、中国共産党の明確な侵略である」と、一つの中国を「紙くず」にし、決然とした立場をとるべき時が来ている。今は戦争最中だ。うやむやは通用しない。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2022-06-13 09:38:19
ペテン師、詭弁家の類ですね。

コメントを投稿