運転無用

高齢ドライバー問題を見ていると、事故を起こす高齢者は、痴呆以前に、日常的に自分の足として車に乗っているドライバーだ。
おそらく、慣れすぎていて、凶器に乗るという緊張感が無いのだろう。衰えに気づかず、昨日と同じつもりで歩いて転ぶ高齢者のように、ちょっとした操作を誤り大事故を起こす。
高齢ドライバーには、是非、バイクをおすすめする。二輪車は、緊張無しでは乗れない。しかも、体力が衰えたその瞬間から乗れなくなる。止めるか死ぬかだ。

高齢者が増えれば、高齢ドライバー事故も増加する。一方で、若年ドライバーの保険が高いのは、若者の事故率が高いからだ。
人口比率や事故の種類の比較上で、どちらが危険なのか、本当のことはよく解らない。
しかし、高齢者の激増という、これまで経験したことのない社会背景の中で、これまで無かったような事故が増えていることは事実だ。

若者、高齢者と、一律に定義するのはおかしいが、若者に関しては、統計的に結論が出ているのだろう。だが、高齢ドライバーは状況証拠とセンセーショナルな事故が目立つ割に、客観的な数字が少ないような気がする。結局、それだけ、新しい事態ということだ。

こうなると、何よりも急がれることは、自動運転だが、Uberやカーシェアなど、車の使い方が変化し、「運転する車を個人に売る」ビジネスモデルそのものが、大きな転機にさしかかっている。

これからの自動車
この先、自動運転車が出回るにしても、もはや、個人が車を所有する時代は終わるだろう。かと言って、移動手段はますます必要になるから、ビークルが減るわけではなく、概念が変わるのだ。
例えば、参道の階段を歩いて上がっていた時代から、駕籠屋が現れると、お金のある人は駕籠に乗って上がる。そのうち駕籠が増え過ぎると、金のかかる割に、混雑して事故やトラブルが増える。やがて、技術が進めば、階段そのものをエスカレーターにしてしまう。
自動運転車の出現は、このエスカレーターのようなものだ。エスカレーターは無駄な混雑やトラブル、高い運賃を無くしてくれる。

誰もエスカレーターに運賃を払わないが、エスカレーター会社はちゃんと成り立つ。設置者が別のルートで費用をまかなうからだ。
つまり、これからのビークルは、基本的に社会インフラとして、公共やスポンサーによる乗物になる。
バスや電車だけではない、利用料による個人使用もこれまでの自家用車以上の数や種類があふれ、当然、大量の乗物はシステム制御でなければまかなえなくなる。もちろん、個人所有もあるが、それも、コントロールシステムに組み込まれなければ、動けない。
移動する際は、目的地と経路を告げれば、勝手に運んでくれる、もちろん自由に変更もできる。
これが、何年後のことになるのか、わからないが、現在の激変状況を見ていると、意外と早そうだ。その時は、高齢ドライバー事故も若者の無謀運転も無いだろうが、それはそれで、また別の問題が起こる。その頃にはバーチャルと通信の発達で、誰も、どこにも行きたくなくなっているかもしれない。

融通無碍

これまでも、何度か、九星の一白について書いたが、一白について考えれば考えるほど、人間の業（ゴウ）や性（サガ）というものを思い知らされる。

一白の定位置は「北」であり、人体部位では股間、生殖器で、「穴」を表す。したがって、本命星と呼ばれる自分の生まれた年の九星が一白の定位置に巡ってくると、「穴に落ちた」ような状態になる。闇の中で何も見えず、妄想ばかりが駆け巡る。眠りと夢の世界だ。
夢の世界は融通無碍（ムゲ）で、全てが可能になり、思いは時空を超えて去来する。

一白は「水」を表すが、おおもとになる陰陽五行論では水は体の水分と神経系であり、聴覚と脳、腸、生殖器に関係する。「水」は生命の原点だが、頭の巡り・知恵もあらわす。この巡りが良い人は頭も良いが、一つ狂えば、悩みや「水回り」の病気になる。また、中には、巡りすぎるために、正攻法でいけるときでも、わざわざ悪知恵に走り、策士策におぼれる事もある。

脳が肥大化した人間は、元来の五感を超えて智の海に生きており、それはまた煩悩の海でもある。これが妄想の色即是空であり、逆に、在るものが見えない空即是色も、また水の観念世界だ。
水は生命の根源であり生殖も司るが、人間の性は知の妄想とともにある。人間の性衝動の大部分は、性文化に触発されるものであるために、性の形も、多様に変化する。

欲を出すことを「色気」を出すと言うが、色即是空の「色」に惑わされることを指す。それは本来の生命欲を超えた、知的衝動を伴った欲望のことで、この中には当然、性欲妄想も含まれるから、いつの間にか、もっぱら性欲を色気と言うようになった。「色気がある」と言うのは、性文化の価値観を体現している人のことであり、精神の反映が無ければ、姿形が優秀なだけでは色気とは言わない。
また、知的レベルの高い人同士では、性欲を超えて、知的体現力のある人のことを「色気がある」という。これは文化的な色気、「粋」や「洒落」を体得している人のことで、知の到達点として、性の色気と基調を同じくするもので、ともに精神活動の賜物と言える。

水の一白は幻
水である一白は、知の世界、観念の世界の人だ。一白が素早いのは「知と思い」で事を進めるからで、いわば「融通無碍」の観念世界にいるからであり、何物にも束縛されず、一気に目的が達成できると信じているからだ。常識に囚われた人が思いもつかないことや、不可能だと思っていることの、隙を突いて通り抜ける。まさに、気体、液体、固体に変幻自在の水なのだ。
しかし、一白の無限の能力は、あくまで、観念の世界に根ざしたものであり、人の心を動かすのは得意でも、物理的現実そのものは全く動かせない。そのため、現実の壁に遭遇するたびに心因性の病気を患い、持病持ちであることが少なくない。

一白は小説家や、サービス業、アダルト、癒やし産業の人だが、それのみならず多くの世界で成功している。しかし、現業の世界で成功する場合、それは既に組織や事業が固まっているものを任されたときであり、自分が起こしたものではない。そして大成功する場合は、そこに、多くの人材があり、その人の心を操って成功する。
ゴーンの大成功も、日産やルノーという巨大な産業と人材を任されたからであり、それを遣り繰りして、滞っていた知財を「巡らせる」ようにしたからだ。

リクルートの創業者、江副浩正は、一白の「スキ間」産業の雄だが、高度成長社会があったからこそ、起こせたビジネスだった。
しかし何と言っても、人心を操る仕事の最たるものは、政治家だ。
政治家のなかでも、人を扇動して大きなエネルギーに変えるのはヒトラー、プーチン、オバマのような三碧だが、日本のようにがんじがらめの村社会や、調整と遣り繰りが重要な停滞社会では、一白の「お為ごかし」が成功する。

一白の得意とすることは、人の心のスキ、固定概念をくすぐって、波風を立てず「気分良く」させることだ。波風を立てないために、固定概念を刺激する言葉を使わず、外来語や難かしそうな単語、無意味な数字を並べて煙に巻き、おべんちゃらを乱発する。そして、基本的に声を潜めて話すか、聞き取りにくい音声で話す。つまり、基本的に、無自覚なごまかし精神が働いている。とにかく、障害をくぐり抜けたい。突破するのではない。

いまだに、人気の衰えない田中角栄の「まー、そのー・・・」は、そればかり耳について、一体何を言っていたのかは、あまり印象に残らない。
政策は日本列島改造論を始め、その場しのぎで盛り上がるが後は知らない、飲み屋の女将のようなものだった。こういう席で会計の話をすれば、野暮とはじき出される。そして日本中が気分良くなった。また、やはり一白の中曽根政権下のプラザ合意は、日本中をバブルのドンチャン騒ぎに巻き込んだ。

人の心をくすぐる一白は、贈り物も多用する。したがって、受けるのも寛容であり、これが、命取りになることが多い。
安倍政権の最大の贈り物は、金融緩和だが、出口で苦しむのは他の政権になるだろう。
あちこちに波風を立てたくない一白政権は、消費税を前に引くに引けなくなり、消費税を上回る減税策を出してきたが、これも、芸術的なごまかしだ。
原発存続のために、安定供給電源とは言わずベースロード電源とカタカナ語を使い、日米貿易個別交渉をＦＴＡとは言わず、ＴＡＧと言い換えて本質を逸らす。国民総背番号をマイナンバーと呼び、消費増税対策と称して、キャッシュレス化でさらに個人資金を把握する。やることなすこと、高利貸しや女衒のような「お為ごかし」のワナであり、国民大衆はそれを喜び、とにかく人気する。

歴代一白政権は大人気で終わった。そして、支払勘定は国民が払ったが、誰も恨んでいる人はいない。
「♪バカだなあ～、バカだなあ～、だまされちゃ～って」でも、恨まないのが女のサガ、大衆のサガなのか。

角栄逮捕

日産ゴーン会長逮捕！・・・こりゃあ、仕方がない。必然だ。
世相的には木星・射手座で、自動車を表す双子座が「対人関係」の騒ぎに巻き込まれる時。
木星は「増える」ことを意味するから、第七室の婚姻に来れば、未婚の人は結婚し、既婚の人は離婚話が出る。ゴーン会長は、ルノーから来た日産の婿のようなものだが、さらに三菱にも婿入りして、難しい三家のバランスとりでタガが緩み、ボロが出た。

ルノー、日産の縁戚関係が一気にゴタつき始めた訳だが、これは既に、土星が射手座の４、５年前から始まっており、今回の木星で明るみに出たと見るべきだろう。
収入をごまかしたとする直接の容疑は、おそらく、多額報酬にうるさい日本の世論を配慮しただけのことで、単純に考えて、本人は不本意だったのではないかと思う。
むしろ、三家の思惑や感情のずれが、「婿」を追い詰めたのだろう。

ゴーン会長、個人で見ると、一白、魚座の戌亥空亡。またしても一白の不可解な「裏話」。安倍総理と同い年の一白だ。（ロッキードの田中角栄、リクルートの中曽根も一白）
戌年に思いがけないドンデン返しに合った戌亥空亡。さらに、木星・射手座で不安定なところに、火星が魚座に来て、ついに　「It‘s　Gone！」
今回逮捕の容疑は、何れも本人の意思というより、周囲の忖度の方が大きいだろう。一白の「裏・秘密」の事件は、何れも、本人の欲というより、「情と素早さ」の行動原理が、周囲に「とにかくスムーズに」事を運ぶことを優先させるようになるからだ。疾走する車は、石ころ一個でも大事故につながる。角栄逮捕のような衝撃だ。

嵐の中で

2017年の始め「2017年は2018年の原因になる年」 と書いたが、2018年も終わろうとしている。今年2018年に起こったこと、進行中のこと、どうもやっぱり、去年が原因だ。
2017年は、トランプ大統領、文在寅大統領の出現。米中首脳会談、難民の増大とテロ、北の制裁、南シナ海軍事拠点化・・・
色々あったが、特に大きな動きにはならなかった。

これに対し、2018年は目に見えて大きな動きが起こった。米中対立、中国の掌返し、欧州の混乱、米朝首脳会談、韓国の北走と日韓関係の破綻・・・これらは何れも今後のエポックになるようなことばかりであり、天王星・牡牛座時代の始まりを告げる事柄だ。
年末になって、日露交渉も動き出した。
世界劇場に、「風雲急を告げる」激動のドラマが幕を上げた。
８０年前、日本はメインキャストだったが、今は演出家にならなければならない。

誰も譲れない世界の中で
中国の「やりたい放題」が無ければ、トランプの「America First」は、口に出せない言葉だった。ところが、理想主義者の批難を尻目に、世界中にミニトランプが次々と現れる。
トランプの逆手をとろうと、張本人の中国が「反保護主義」を叫べば叫ぶほど、その白々しさで、協調主義がさらに無意味なものに見えてくる。
中国のかき乱した世界の秩序は、もう収拾がつかなくなって、舞台は主役も脇役も声を上げる大合唱になってきた。外交も経済も、「自分だけは生き残ろう」と激しい動きが始まった。同盟も協定も生き残りのためであり、信頼や共感とは無縁の、その場しのぎだ。状況次第で1945年のソ連のように平気で裏切る。

もう、誰も他人のためには動けない。こんな時こそ、仲介役が必要になる。ただの平和ボランティアではない。仲介役こそが、主役になれるのだ。
日本は大国でもなく、発展途上の小国でもない。恐れられることもなければ、馬鹿にされることもない。最も話しやすい立場にいる。
仲介は縁談仲人のように双方に都合の良いことを吹き込むのでもなければ、問屋のように、一方に圧力をかけ他方をごまかすのでもない。双方の最も望むものを探り出し、双方が妥協できる交換条件を発案して説得する。
両者の妥協が生まれれば、仲介者も、その利得に預かることができる。結局、両者が削り合った損失は仲介者の利得になる。物理的利益もあれば、信頼という無形の利益もある。

日本が心がけることは、腕力を高めて誰かの加勢をすることよりも、交渉力を高める人材を育成し発掘し、世界の仲介者や仲裁役になることだ。国連に期待するより、自らその役目を果たす存在になる。
中国は自国の生産力を高めるために、海外に留学生を送り込んだが、日本は、官民一体になって、使命として半強制的に学生や新入社員を海外に送り出さなければ、間に合わない。海外で学び、人脈をつくることは、必ず国にも企業にも還元される。海外人材採用も良いが、日本の若者を国際人材に育てることこそ重要なことではないか。

あそび心 ２

「あそび」の無い、目的意識の鮮明な組織は、短期決戦には極めて強い。一代で国を興した古代の中華皇帝は目的に沿わない思想を排除した。しかし、それでも広大な中国には「あそび」があり、やがて文明文化が復活、開花した。
単一目的で現代中国を統一した中国共産党は、経済復興をしても、覇権の目的は変わらず、さらに、「前進、前進」と、結果的に侵略の道を進んでいる。

世界が、そろそろ民主化してはどうですかと呼びかけても、「いやいや、わが人民はまだその段階ではない」と、手に入れた資金とハイテクを駆使して、人民を拘束し、監視し、外に向かっては、侵略行為を増大させている。
古代なら、土地の広大さそのものが「あそび」だったが、現代の行動範囲と、情報技術のもとでは、単一目的の統制が簡単に可能になった。ローマ街道、アウトバーン、そして高速鉄道は、文明の象徴であり、同時に、軍事と管理のツールでもある。
このままでは、共産党が内部崩壊しない限り、「あそび」は生まれない。共産党は、自由主義に禅譲しない限り、行くところまで行く。

もし、中国共産党が改心し、中国が自由主義国になったら、その時は、中華文明が世界を覆い、日本も、ともに享受することになるだろうが、見通しは暗い。
現在見られる中国の醜態は、中国人が劣等だからではない。中国共産党という「あそび」を知らない、「育ちの悪い」連中が中国を支配しているからだ。
第二次大戦の混乱に紛れて正規軍を排除し、戸籍制度で農民を奴隷化し、冷戦のパワーバランスにつけ込んで正当性を乗っ取り、お人好しの恩人が停滞したとみるや侵略を試みる。親切そうに高利貸しをし途上国を奪う。人民から巻き上げた金で私腹を肥やし海外に隠す。あまつさえ、チベット、ウイグルの人民、文化の抹殺を企て、パンダを盗んで戦略道具に使う・・・さながら中華史のダークサイドを凝縮したような、悪行三昧。
桃太郎侍も、喉が枯れんばかりの行状だ。

村八分
この暴走を止めるには、エネルギー源（資金）を絶つしかない。北朝鮮は悪で、中国は徳治だと思ったら大間違いだ。子は親の鏡、中国こそが親であり、本体だ。北朝鮮を説得できた国はあっただろうか。力しか信じない野獣は、付き合うことは出来ても改心させることは出来ない。もし、あるとすれば、ミトコンドリアの共生のように、己を捨て相手の中に入り込み、内部から変えることだろう。
中国が表向き日本に求めるものもそれだが、共産党政権が消滅しない限り不可能だ。
「あそび」の無いシステムは単一目的であり、他の原理を受け入れるゆとりはない。同化か死しか認めない。

北朝鮮を改心させるために、結局、国際社会は力の行使、経済封鎖を選ぶことになった。残るのは直接攻撃しかない。
親玉の中国とは戦争することはできないから、経済封鎖で、エネルギー源を奪うしかないが、かと言って、第二次大戦前のようなことをすれば暴発しかねない。
一番良いのは「相手にしない」ことだ。これまで４０年、温かく受け入れてきた付き合いを止めて、枠の外に追い出すか、みんなでほかの公園で遊ぶことだ。

これは、もっと早くやるべきことだった。そうすれば、ここまで喧嘩腰のことにはならなかったが、戦前のチェンバレン政権同様の、世界のおざなり政治家達が見逃して、事態を悪化させてしまった。
初めてメスを入れたのは、綺麗事政治の反動で現れたジョーカー、トランプで、世界の良識を自認するメディア、ジャーナリズムは、その行儀の悪さを攻撃するが、では一体、中国の暴挙をどうするのか、何も答えない。

あそび心 １

中国のイノベーションが注目されている。アメリカが貿易戦争を仕掛けた理由の一つは、アメリカの焦りとも言われる。
実際、莫大な国家予算投入が行われ、長年の戦略通り、帰ってきた海外留学生や、ヘッドハンティングの海外技術者によって、中国版のシリコンバレーが熱を帯びている。
しかも、次々と、先進国の技術を凌駕していく。

大中華復活を夢見る中国では、古代の四大発明のように、中国から画期的な発明が出てくると信じられているようで、何か先進技術が中国内に普及するとすぐ、「新四大発明だ！」の声が上がる。
確かに、先進国ではあり得ないないスピードで、技術拡散やビジネス・ムーブメントが起こる。しかも、そのスピードからは考えられない精度もある。
先進国では、もう１０年もすれば中国が世界のリーダーになるような論調が主流だ。

だが、本当にそうだろうか。古代中華帝国に周辺諸国が追随したように、世界は中国発を崇め慕うようになるのだろうか。
中国が解放施策を始めて４０年。日本で言えば戦後４０年はバブルの、まさにジャパン・アズ・ナンバーワンともてはやされた頃だった。しかし、中国との決定的なちがいは、日本はそれまでに、江崎ダイオードを始め、多くの「日本発」を発信し、創意と工夫によるブランドが多く生まれていたが、中国の企業は他国で生まれた技術やアイデアを手広く売りまくっているだけで、未だに、オリジナリティーによるブランドが無い。

「あそび」は知のゆりかご
これは、中国人が頭が悪いのではない。興味の方向性、価値観がまるで違うからだ。
中国人の現実感、功利主義はよく知られるところだが、「食うため」、「儲けるため」、「功名のため」以外のものに、時間や労力を使うことは、とことん念頭に無い。日本や欧米の文化と比べ、「あそび」が無い。「あそび」とは、哺乳類が「無駄な行為」で生き方を学ぶ方法だが、文明における「あそび」は、その文明の成長の力になる。
文明の中の「あそび」は、「芸術」や「基礎研究」など、直接、生産とは関係無い分野であり、様々な知的試行錯誤として、人々の感性と認識を高め、文明全体の能力を高める。

こうした文明の「潜在力」が端的に表れるのは、高層ビルや軍艦よりも、ファッションや娯楽であり、先進的な活力のある社会からは、常に新しい「センス」の流行が生まれてくる。流行さえも他国を模倣しているうちは、文明の生命力は生まれてこない。
中国のめざましい「発展」は、今のところ、何から何まで、移入と模倣だ。
中共政府はこれを逆に模倣される側に替わろうと政府主導で、アニメのような文化に至るまで、様々な分野に、大量資金を投じ、先進国も、これが必ず成果を出すと恐れている。

だが、中共政府が求めるものは、殖産興業、富国強兵であり、国民をコントロールする洗脳ツールとコンテンツだ。世界をリードする日本アニメを排除して、大量に資金投入した中国のアニメ産業は、技術が追いついてもコンテンツが生まれてこない。アニメは「子ども向け」産業の固定概念と、金儲け、国策重視のためだ。
これは、利益と覇権しか思いつかない中国の功利主義者が指導しているからであり、中国版シリコンバレーがどんなに素晴らしい提案をしたとしても、利益と覇権につながらない反社会的「愚劣」な「あそび」と見なせば、封印されるだろう。

おそらく、中共版イノベーションはいびつな発展により、高速鉄道事故のように自動的に墜落する。目的だけに特化した「あそび」の無いシステムは、あるとき必ず自壊するものだ。
少なくとも日本には、敵性言語を禁じた頃の、記憶に新しい教訓があり、くだらないものを楽しむゆとりがある。中国では「精神日本人」と称する人が逮捕されるが、日本で「精神中国人」だと言っても、誰も捕まらない。

木星来る

木星は今１１月８日に射手座に入るが、サソリ座での一年を振り返ると、木星の働きがよく解り、これから何が起こるか何に注意すべきかが、自ずと理解できるだろう。
木星が来るとサソリ座に、慶事が起こる。そして、消耗する。
サソリ座の場合、既に天王星が牡牛座にかかっていたので、相手の問題で、良いことが起こったと思えば、突然悪いことに変わったりする。婚約したら破談になるとか、商談が成功したと思ったらサギだったり、良いことが大きければ大きいほど災いも大きい。

サソリ座と言えば朝鮮半島だが、この一年の朝鮮半島は、まさにドタバタで、
防弾少年団とやらが海外で受けたのはご愛敬だが、南北の婚約騒動で、外交も経済もガタガタになっている。
あまりの異常さに、ふと思ったのだが、韓国の国旗には天地水火（乾坤坎離）の易卦があしらわれている。

現大統領の文在寅を易の卦に見立てると、文は離火を表し、寅は艮土を表す。寅の名付けは出生時の暦とはあまり関係ないようで、年月日の支に寅は無いし、旧暦でも１２月生まれだから、寅とは関係ない。
寅の意味は「控えめ」「慎む」「丁寧」だが、虎と同義にも使うので、おそらくこれだろう。
在は「ある」「である」だから、「虎である」の意味か「慎み深い」、あるいは定番の名前で、特に意味など無かったのかも知れない。
ともあれ、現象として、現在の韓国には「離艮」の大統領がいる。離艮は易卦で言えば、「火山旅」または上下逆にして「山火賁」となる。
「旅」は楽しい旅行とは違い苦難を表し、「賁」は飾りを表し中身が無い。
韓国の太極旗は陰陽、乾坤、終始を表し、すべて整う目出度い旗だが、物事には完璧はなく、むしろ乱れの始まりを暗示しているとも言える。そこに、苦難とも空虚とも言える大統領を投ずれば、現状のようなことは必然としか言い様がない。

惑星による現象は、それが起こる前に環境が生まれている。惑星は引き金のようなものだ。木星が来て、サソリ座の朝鮮半島に和解、解放、祝賀のムードが広がったのは、それまでの難題が、来るところまで来ていたからだが、そこに「離艮」の大統領が投ぜられ発火した。この一年、朝鮮半島は花火のように華々しかったが、火が燃え尽きると、燃えカスが残るか火事が発生する。木星の好事は決して手放しで喜ぶものではない。良い時こそ保守的になるべきなのだが、離艮大統領は、もっと燃え上がらそうと、有りっ丈のものを投げ込んでしまった。

射手座は始まっている
韓国から学ぶ教訓は、次の射手座に役に立つ。射手座の場合、サソリ座のように天王星の影響はないので、むしろ良いことだけが起こるが、それでも、進んで事を始めるのは要注意だ。準備が出来ていたことなら、木星がくす玉や打ち上げ花火のように、景気づけになるので、何かしたくなるが、準備が何にも無いのに引き金を引くと、後始末だけが大変になる。
今、既に起こっている射手座現象は、何よりも、韓国の「司法」の暴走だが、「ジャーナリスト」の解放や、インドネシア機の墜落や台湾の列車事故等の「運輸」関連、アルゼンチンＧ２０の米中露対話や、中南米からの難民の群れなど「スペイン」語圏の話題などがある。
射手座の人のみならず、双子座、魚座、乙女座の人も、そわそわし始める頃だ。