中国の爆買いが消えて、焦っている小売業界の話が出ていた。中国政府が、メンツのために様々な規制をかけたのも一因だ。(タテマエは国内技術振興や外貨流出防止だろうが)何しろ、見栄、ハッタリが命の国だから、「爆買」などと言われたことがシャクに障ったのだろう。
逆に言えば、そう言って蔑視する日本人の態度こそ、愚かだ。
店では慇懃無礼にふるまいながら、店の裏で「豚に真珠だ」と話しているのを聞いたら、だれでも頭にくるだろう。
とりあえず、爆買いの熱気は冷めたが、中国の需要が無くなったわけではない。
買い出し客が消えても、日本企業は中国需要をつかむために、「アリババなど中国通販に積極参加して、売り上げを伸ばしている」と、経済評論家が紹介し、評価していた。
あ~あ、また、これだ!
生産と流通の形が変わり、今まで幅を利かしてきた「問屋業」は衰退したが、代わって、AmazonやGoogleなどのIT企業が、生産を牛耳るようになってきた。これにいち早く注目した中国は、人口メリットを活かして、アリババや百度など、独自の模倣システムを展開し、国内に確立した上で、世界に進出しようとしている。
これに対し、日本ではソフトバンクや楽天があるものの、スケールにおいて比べ物にならない。
敗戦後、大躍進した日本の経済力は、実直な「ものづくり」に拠るものであり、金融でも取引でもなかった。重工業からハイテクに至る、世界のハードを築くことで繁栄できたものの、技術の飽和はニーズの停滞をもたらす。情報、流通による技術の消費の時代に入ると、日本は活力を失った。
替わって出てきたのが、中韓のような功利主義の国であり、白でも黒でもネズミ(金)さえ穫れば良い猫は、草食動物を狙う肉食獣だ。
しがない町人
日本では、猿蟹合戦のカニは良いヤツで、サルはとんでもない悪者だが、中韓の論理では、サルは賢く、カニは支配されるべき、愚か者になるだろう。
買いに来てくれなくなったから、相手方の流通ルートに入れて貰って、製品が売れると喜ぶ日本企業。
これは、各地の生産業が問屋に売って貰い、問屋業が生産と消費に決定的な主導権を握る、従来の権力構造と何も替わらない。「商」の天下だ。
売らせて下さいと、合弁会社で参入し、技術を提供して後のシェアを奪われる、侵略ビジネスの餌食だ。
日本から技術提携を受けた韓国企業が、何が何でもこだわったのは「シェア」であり、悪貨であろうと、「シェア」が良貨を駆逐することを知っていたからだ。
今、その本家である中国がスケールメリットを武器に、職人の日本を呑み込み、傘下に入れようとしている。
米中の覇権争いは、この「商」における、「問屋」の争いだが、有り体に言えば、ヤクザの縄張り争いだ。しがない職人の日本は、どっちの「親分さん」の縄張りで商売を「させてもらう」かを迫られている。
重商主義の幻影に惑わされた日本は、アメリカの親分さんに楯突き、指を詰められて傘下に入り、「民主組」の縄張りで繁盛させて貰ってきた。
今、「売れさえすれば、私らは幸せです」と、もみ手をしながら近づく「全体組」は、絶対服従の恐竜脳の世界だ。ひとたび呑み込まれたら、対等の会話をさせて貰えるような相手ではない。
韓国が「商」における中華の舎弟であったように、北朝鮮は「統治」における中華の舎弟だ。何れも中国の本質を恐ろしいほどに具現している。しかも、朝鮮半島と違い、中国は巨大だ。
中国の賭場の誘いで、最初に勝たせて貰って喜んでつぎ込むと、身ぐるみ剥がされ、家の登記簿から娘まで奪われ、スリランカのようなことになってしまう。
それでも、「商」の本質を心得ない、馬鹿正直な職人の日本企業は、良い商売をしているつもりで、中国親分の賭場に参加させて貰おうと日夜、苦労腐心している。
正直者の日本人には、「泥棒に追い銭」も、美談としか見えないのだろうか。