らんこ先生は毎年卒業式近くのホールの時間に、よきサマリア人のたとえとよばれるお話をホールの時間にします。
ある人が旅をしていたら強盗にあって、持ち物を全部取られて、お洋服も取られて、いっぱいなぐられて、傷だらけになって、大きな声も出せない体で道に倒れていた。
あんまり人が通らない道。やっと一人通りかかった。ところがその人は知らんぷりして通りすぎる。しばらくしてまた一人通りかかったけど、近くによらないようにして行ってしまう。3人目の人は、近くに行って、その人を助けて自分の泊まる宿屋さんまで連れて行って傷の手当てをしてあげる。
大人の人に話すならもっといろいろなメッセージを含んでいるたとえ話なのだけど、幼稚園の子どもたちがわかるように、困っている人がいるのに知らんぷりする人になっちゃいけないよというメッセージに絞っている。
今回の大地震の日、地震の後で、津波が来るかもしれないとビクビクしながら、寒さにふるえ、そして遠くに避難するのも難しい人たちがいるのを知った。
幼稚園の建物は他の建物より丈夫だし、もし津波が来ても屋上まで上がればいい。
だからいつも幼稚園の子どもたちが遊んでいるホールにその人たちを入れてあげることにしました。
その時は無我夢中でとっさにしたことだけど…
今思う。もしあの困っている人たちを受け入れなかったら、蘭子先生は子どもたちの前で
良きサマリア人の話を語ることはできなくなっただろう、と。3番目の人じゃなくて、知らんぷりした1人目2人目の人になっちゃう。
困っている人がいたら助けてあげようね。そう言えなくなっちゃう。
ちなみに3番目の人はずっとおケガした人のそばにいたわけではなくて、次の人にお願いして、自分はふだん通りの生活に戻っていく。
そのように今日から幼稚園はふだん通りの幼稚園に戻ります。