松岡農水相が自殺した。彼は本当のサムライだった、と都知事が言っている。
部下の大失敗や自分の重大な過失で自殺するなら、サムライと言っていいかも知れないが、農水相の場合は全く違い単なる卑劣漢である。
安倍氏が例によって鉋屑に火が付いたようにペラペラと話をする。自殺に追い込んだ責任者であろうに、と思う。
選挙まで慰留して政権のいかがわしさを体現して欲しかった。その点で、自殺は残念である。
阿弥陀堂
久し振りにTVで映画を観た。「阿弥陀堂便り」である。
300人もの最期を看取った優秀な女医が、流産をきっかけに心を病み、夫である売れない小説家の故郷の山村に住みつく。
豊かな自然と穏やかな村人に接し、医者としての自信を次第に取り戻す。
再び身ごもり、山村での医療を決意する、という粗筋である。
麗しい四季、静謐な人々の交わり。悪人が一人もいない。
悪意、嫉妬、疑念、憎悪、企みなど全く無しの淡々とした地味な映画だが得るものは多い。
人々の短く朴訥な言葉が饒舌よりも深い意味を伝える、と感じた。
美しい風光とさりげないしぐさで、感動を誘う映画だった。
「美しい国」は阿弥陀堂辺りの山村にあり、永田町には望むべくも無い、と思った。
女医役を主演した樋口可南子の知的な美しさが際立っており、大女優の仲間入りを果たした。
堂守である北林谷栄の存在感や、香川京子の抑えた悲しみが印象的だった。
香川が亡夫の位牌を阿弥陀堂に納め、悲嘆にくれるのを、北林が慰め励ます遠景は、全く無音ながらも胸を打つ場面だった。
また、見事な映像と素朴な音楽も素晴らしかった。
生老病死について、また、考えさせられた。
長く、心に残る映画である。