林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

阿弥陀堂だより

2007-05-28 | 拍手

松岡農水相が自殺した。彼は本当のサムライだった、と都知事が言っている。
部下の大失敗や自分の重大な過失で自殺するなら、サムライと言っていいかも知れないが、農水相の場合は全く違い単なる卑劣漢である。

安倍氏が例によって鉋屑に火が付いたようにペラペラと話をする。自殺に追い込んだ責任者であろうに、と思う。
選挙まで慰留して政権のいかがわしさを体現して欲しかった。その点で、自殺は残念である。 

  阿弥陀堂

久し振りにTVで映画を観た。「阿弥陀堂便り」である。

300人もの最期を看取った優秀な女医が、流産をきっかけに心を病み、夫である売れない小説家の故郷の山村に住みつく。
豊かな自然と穏やかな村人に接し、医者としての自信を次第に取り戻す。
再び身ごもり、山村での医療を決意する、という粗筋である。

麗しい四季、静謐な人々の交わり。悪人が一人もいない。
悪意、嫉妬、疑念、憎悪、企みなど全く無しの淡々とした地味な映画だが得るものは多い。

人々の短く朴訥な言葉が饒舌よりも深い意味を伝える、と感じた。
美しい風光とさりげないしぐさで、感動を誘う映画だった。
「美しい国」は阿弥陀堂辺りの山村にあり、永田町には望むべくも無い、と思った。

女医役を主演した樋口可南子の知的な美しさが際立っており、大女優の仲間入りを果たした。

堂守である北林谷栄の存在感や、香川京子の抑えた悲しみが印象的だった。
香川が亡夫の位牌を阿弥陀堂に納め、悲嘆にくれるのを、北林が慰め励ます遠景は、全く無音ながらも胸を打つ場面だった。

また、見事な映像と素朴な音楽も素晴らしかった。

生老病死について、また、考えさせられた。
長く、心に残る映画である。


門主の発言

2007-05-28 | 床屋放談

 

 OBサミットで、ドイツの元大統領ノワイツゼッカー氏が、

 「日本の仏教はこれまで何もしてこなかったことで、世界に害も与えてこなかった」

と発言。
これだけの報道であれこれ言うのはナンですが、同感ですね。

 一般の僧侶は妻帯が当たり前になった。
家族が大切で、葬式に熱心。駐車場を広げ貸家までやっているのは仕方が無い。
誰だって家族に良い生活をさせたい。まあ、月給取りと同じ。
 うちの旦那寺の駅前大本山でも、環境や景観を破壊して墓地を大売出し。伽藍だけが立派になって、修行僧の雲水は減っている。
 わが町の古刹や番外寺も境内整備に熱心だが、参拝客は大嫌い。

 今でも高僧知識と言われるエライ僧侶は大勢いるだろう。
今こそ、生老病死や貧富和戦善悪について、積極的な発言をして、お布施や戒名料のお返しをするのが務めだと思う。
 以前、お寺出身の永六輔さんが、臓器移植について反対していた。喪中年賀欠礼についても反対していた。永さんは勇気がある。

 出席していた西本願寺大谷光真門主が、ワイツゼッカー氏の発言を受けて、

 「怨みに報いるに怨みを以(も)てしたら、ついに怨みの息(や)むことはない」
 「仏教の原理主義者がいたら、武力紛争を招くことはあり得ない」

と発言。
 釈迦の「非暴力」思想を強調し、イスラム原理主義への憂慮を表明したものだそうだ。

 偉いね。流石、西本願寺門主だ。南無阿弥陀仏を唱えます。
こういう積極的な発言を、宗派を代表する高僧知識さんたち、どんどんして下さい。
ほんと、困ってるんだから。

■OBサミット(正式にはインターアクション・カウンシル」)とは
故福田赳夫元首相の提唱で83年設立。各国大統領首相経験者が会員。
毎年世界各地で開催。今回はウィーンで5/21~23開催。シュミット元西独首相、モンデール元米副大統領、各宗教の指導者が出席。主要議題は「宗教指導者との対話」。
門主が引用した釈迦の「非暴力」の教えは大会声明に盛り込まれた由。
(以上、5/26朝日新聞朝刊「文化」欄から)

  ■坊主が吠える 学法独り言
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