林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

死んだ男の残したものは

2007-03-21 | 歌の翼に

  「12の歌・地球は歌っている」

 武満徹のボップソングCD「翼」を出した石川セリさんは、ご主人の井上陽水さんから、武満の会合に誘われた時、武満の取っ付き難さに気が進まなかったそうだ。
会ってみたら、歌が大好きな楽しい人だったそうだ。
 武満夫人の浅香さんは、折角陽水さんが目の前で歌ってくれるだから、貴方黙ってらっしゃい、と言っても、負けずに歌い出したばかりではなく、陽水さんの歌唱力に嫉妬していたそうだ。

 篠田正浩監督の番組(3/20夜)には、武満の寛いだ笑顔が沢山紹介されて、森男が八ヶ岳の音楽祭で接した取り付く島もない様子からは想像できないものだった。
あの時は、音楽監督はリヒテルだったが、実際は武満。マチネーからナイトキャップコンサートまで、5日間も気配りしていて緊張していたのだろうし、音楽祭には素人の森男たちのヘマ続きに、うんざりしていたのだろう。

 武満が音楽を志したのは、中学生の頃。埼玉県の軍需工場での労働に従事していた時、監督の将兵がこっそり、敵性音楽として禁止されていたシャンソンのレコードを聞かせてくれた時だった。感動で身体が痺れたそうだ。それ以来歌の虜になって、難しい現代音楽を作っている時も、黒澤明監督との仕事でピリピリしている時も、歌を口ずさんで周りを和ませた。

 代表的なポップソングは「死んだ男の残したものは」だと思う。
この歌は「ベ平連」の要請に応えて、親友の谷川俊太郎先生が作詞し、武満が曲を付けた。いわゆる反戦歌である。
「君が代」もいい。アグネスちゃんでもいい。でも安倍晋三さんは、朝起きたら、先ずこの歌を口ずさんで欲しいものだ。美しい国を作るために。

 「水の音楽」(3/18)で、石川セリさんが歌うこの歌に、嫌味を書いてしまった。
TV番組でも、あの厚化粧のセリさんが、少女のように可憐に歌う「明日ハ晴レカナ曇リカナ」や、「翼」を聴かせてくれた。良かったと思う。
だが、「死んだ男の残したものは」は、森男が言うように、森山良子さんが歌った。
これは、セリさんの所為ではなく、ボサノバに編曲して指揮をした服部隆之先生の技巧が勝ち過ぎたためだろう。服部さんなりに武満と格闘したのだ。
森進一さん、梓みちよさん、秋川雅史さん.....。その他多くの歌手が、この歌を歌い継いで貰いたい。

 番組に映った武満や谷川俊太郎先生、陽水、みなみらんぼうさん.......。みんな若々しい青年の風貌だった。武満が好きになった。

   死んだ男の残したものは
   ひとりの妻とひとりの子ども
   他には何も残さなかった
   墓石ひとつ残さなかった

   死んだ男の残したものは
   しおれた花とひとりの子ども
   他には何も残さなかった
   着もの一枚残さなかった

   死んだ子どもの残したものは
   ねじれた足と乾いた涙
   他には何も残さなかった
   思い出ひとつ残さなかった

●「12の歌・地球は歌っている」は武満がギター曲に編曲した愛唱歌集。
演奏庄村清志、随筆谷川俊太郎、絵和田誠という豪華版。
東芝EMI発売番号TA-72039、レコード発売100年記念。
●収録曲
・ロンドンデリーの歌・虹の彼方へ・サマータイム・早春賦・失われた恋・星の世界・
・シークレット ラヴ・ヒア ゼア アンド エヴリウェア・ヘイ ジュード・ミッシェル・イエスタデイ・
・インターナショナル・


いけないブログの僕でした

2007-03-21 | 知ったかぶり

  NHK画面→朝日紙面

 著作権の勉強です。「林住記」も危ないことやってるからね。
 悪意は全く無いし、金儲けも全然考えて無いけれど、少しは考えたい。

森進一さんがよく歌う「おふくろさん」の歌詞を勝手に変えた、怒ってる人がいる。
作詞家の川内康範先生です。▶おふくろさん騒動

著作権法には著作者人格権という権利が定められている。
著者の意思に反して内容を変えられないとされる「同一性保持権」もその一つ。
おふくろさん生みの親、川内康範先生の著作権を管理する日本音楽著作権協会や、半田正夫青山学院大元学長(著作権法)によると、今回の森さんの行為は✖。

森さんが歌うことを差し止めたり、精神的慰謝料を要求出来る。
司会者の曲紹介のように独立していれば問題は無い、と。

著作権には演奏権も含まれる。
日本音楽著作権協会(JASRAC)の仕事は著作権管理事業法に基づいている。
「正当な理由が無ければ、取り扱っているおふくろさん他の利用の許諾を拒めない」とある。
つまり、森さんの思いを正当な理由にすれば歌える訳か。

森さんの応援団も二人いる。

田村義之北海道大学教授(知的財産法)は、川内先生がJASRACからおふくろさんを引き上げない限り、森さんは歌える。

また、著作権法に詳しい福井建策弁護士は、森さんが改変版を歌う危険性が特に高い場合を除いて利用拒絶は出来ない、と。
 
さらに、原曲の著作権がJASRACから引き揚げられても、法律上は、非営利目的で、自らが報酬を受けず、聞き手もお金を支払わない場合なら、森さんは歌うことが「できそうだ」。

一寸曖昧だが「林住記」はセーフです。

◆ところで、パロディについてはどうなのか。
「替え歌メドレー」の嘉門達夫事務所では、作詞作曲者ほか歌詞の中に登場させる著名人に、気分を悪くさせたくないので、いちいち許可を得ているそうだ。
そして「日本ではパロディも無断改変も同等に扱われる」と問題提起。

フランスでは明確なパロディの規定が法律化されており、アメリカでは有名曲を下品な歌詞でラップ化したカバー曲が、「新たな意味や主張を持った作品に仕上げている」と裁判で認められたそうだ。

「林住記」は新たな意味や主張は持っていない。単なるオチャラケです。

それで、大昔に亡くなった雅なお方の作品や、偉人豪傑のお言葉をパロディにしても、ご存命中の方々には慎重にゆこう、と心得たのだった。

  森生はおふくろさんを、いい歌とは思わない。
  めそめそし過ぎている。

  今度こそ、乳離れする森進一さんを応援します。

   パロディタイムス

  パロディイで面白いのは「
マッドアマノのパロディタイムス」です。
  かって、写真家の白旗史郎先生にに白旗を掲げたお方です。
  盗作広告告発の「ソックリ広告博物館」もお勧めします。