あなたの後ろ姿に そっと別れを告げてみれば
あなたの髪のあたりに ぱっと明かりがさしたよな
裏の木戸をあけて 一人夜に出れば
灯りの消えた街角 足も重くなるけれど
僕の遠いあこがれ 遠い旅は捨てられない
許してくれるだろうか 僕のわかいわがままを
解ってくれるだろうか 僕のはるかなさまよいを
裏の木戸をあけて いつかつかれ果てて
あなたの甘い胸元へ きっともどりつくだろう
僕の遠いあこがれ 遠い旅の終わるときに
帰るその日までに 僕の胸の中に
語りきれない実りが たとえあなたに見えなくとも
僕の遠いあこがれ 遠い旅は捨てられない
小椋佳作詞作曲歌の「木戸をあけて」である。
副題に「家出をする少年がその母親に捧げる歌」とある。
とても美しい旋律を、小椋さんが見事に歌い上げていたが、流行らなかった。
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正月のTVで塩野七生女史と五木寛之先生が、「ローマ帝国の興亡史」について語り合う面白い番組があった。
番組の本筋からは離れ、五木さんが例の憂いを含んだお顔で深刻に、「近頃の日本はどうなってしまったんだろう。自殺、苛め、親子兄弟殺し..........」、と始めたら、塩野女史ニヤリと笑って、
・戦後60年、平和が続いた対価ですよ。
・苛めは昔からあった。私も、私の子供も苛められた。世界中に苛めはある。
みんながひ弱になったのよ。
・戦争が始まれば、自殺を考えてる暇は無い。親子で殺しあうことも無いわ。
・死に値することなんか、何も無い。
と、五木先生を軽くいなしてしまった。
お二人は昔からの仲良しのようで、五木先生、ちょっとたじろいだが、結局塩野女史の話に合わせていった。
塩野女史、言いも言ったり、である。流石に勇気がある。
抗議のファックスが沢山届いたろうが、森男は塩野女史に同感だね。
ニュージランドでホームステイした韋駄天さんも大賛成だった。
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さて、親子兄弟夫婦、家庭学校会社で行き詰まったらどうするか。家出をすればいいのである。特に扶養家族が無い若い人には、家出をお勧めしたい。
理由は「木戸をあけて」の中にある。
「花はさくら木」の作者の辻原登さんも、10代から20代にかけて、何度も家出をした、と話していた。
理由は歌の中のようなことであった。
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家出をするには体力が必要である。
学校の勉強や、会社の仕事よりも、ノロウィルスにも負けない体力が必要である。
渡り鳥になるのだから、鳥インフルエンザにも負けない頑健さも必要だ。
また、自分の気持ちを整理して他人に伝え、他人の気持ちを理解するには、話し方、聞き方、読み方、書き方を身に着けておく必要がある。
外国ならその国の言葉である。まあ、外国はともかく、日本各地の放浪をお勧めする。
奈良の高校生も、渋谷の歯学部受験生も、家出をすればよかったのである。
夫をバラバラにした妻も、家出すれば、別の生き方がみつかったはずだ。
マスコミは家出文化を流行らせるべきである。
暖かくなったら、皆、どんどん家出しよう。
後のことなど、構うものか。
■老人だって家出する。(2/28追記)
ロシアの文豪トルストイも家出をした。御年82歳で。
理由は「悪妻」ソフィアにうんざり、という説が流布されているそうだが、ソフィアは「貞淑な良妻」だったとする説もあり、かって、正宗白鳥と小林秀雄が論争したこともあるそうです。
この度、シンガポール在住のふみ子・デイヴィスさんが、群像社から「トルストイ家の箱舟」という本を出版。
どうも、森男には難しくてよく分からないが、この本では小林秀雄説の「心が《人生に対する抽象的煩悶》で燃えていなかったらば、山ノ神を怖れる要も無かったであろう」に、軍配を上げているような、いないような........。
立派な本ですが、これを全部読まなければならないなら、森男も家出したくなります。
まだまだ春秋に富む貴兄は、どうぞご一読を。