「民主に賛成の官僚以外クビ」鳩山氏、政権奪取後の構想(読売新聞)
民主党の鳩山幹事長は9日、大阪市で開かれた関西経済同友会の会合で講演し、民主党政権での政府人事について、「(各省庁の)局長クラス以上に辞表を提出してもらい、民主党が考えている政策を遂行してくれるかどうか確かめたい。それくらい大胆なことをやらないと、官僚の手のひらに乗ってしまう」と述べた。
民主党政権が実現した場合、中央省庁の局長級以上の幹部にいったん辞表を提出させ、民主党の方針に賛成する官僚のみを引き続き採用する考えを示したものだ。
幹部公務員の政治任用制の拡大は民主党の基本政策の一つで、2007年参院選公約にも盛り込まれている。03年に当時の菅代表がまとめた政権構造改革案では「各省庁の局長級以上で新内閣の基本方針に賛同しない官僚には辞表を求める」と明記している。
官僚ってのはその国の"Constitution"に仕えるものだと思っているのですが、日本の場合"Constitution"が意味するのは有名無実の日本国憲法ではなく自民党政府のことでした。官僚とは自民党に仕えるもの、実績から定義するならそう見ても間違いではないでしょう。
さて、ちょっと古いニュースですが(同様の主旨の発言はテレビではよく見るのですが、意外にテキストで報じられているものが見つけられなかったもので)、民主党の鳩山幹事長がとんでもないことを口にしているようです。ハトより頭が悪いかに見えた弟の方が珍しくまともな仕事をしている昨今ですが、こうなると兄の方がむしろ出来が悪いようにすら見えます。
曰く「中央省庁の局長級以上の幹部にいったん辞表を提出させ、民主党の方針に賛成する官僚のみを引き続き採用する」とか。踏み絵ですね。ブラック企業が正社員をクビにするためにこういう手段を使うとも聞いたことがありますが、それを政府公認でやろうというのだから恐れ入ります。まぁ政権が変わればスタッフも入れ替わるのはスポーツの世界でもあることですが、どうも手口が嫌らしく感じられてなりません。なんとなく「日本が嫌なら出て行け」とか言い出す人と鳩山氏が被って見えるのです。
そもそも、官僚の方が政府閣僚より入れ替わりが少ないとするなら、官僚機構には昔年の自民党的体質によく適合した組織が残されていると考えられます。そして政策面で昔の自民党に近いのは、今の自民党よりも民主党ではないかとも思うわけです。官僚との対立を強調した小泉カイカク路線に同調するならいざ知らず、その見直しを訴えるなら、むしろ「抵抗勢力」こと官僚組織との距離は近いはずです。
で、官僚という「悪い奴」が反対するせいで善政が阻まれている、世の中が上手く回らないのは官僚という「悪い奴」がいるからだと、端的に言えばそんな風な図式がいつの間にか刷り込まれているのではないでしょうか。実績からすれば官僚機構は"Constitution"=「自民党」の手足として働いてきたはずですが、いつのまにか役目が変わってしまったようです。
事実問題として、どれだけ官僚が政治を動かせるのか、巷で言われるように官僚が全てを牛耳っているのか、それとも自民党政府の下部組織に過ぎなかったのかはさておくにしても、官僚のクビを切れば世の中が良くなる、政治/社会が変わるかのような幻想を持つこと/持たせることは非常に危険です。たしかに昨今の公務員叩きの飽くことない盛り上がりを見れば、これに迎合するのが有権者の歓心を買う必須要件、国民と一緒になって官僚叩きに邁進すれば票は集まるでしょうけれど、それをやるなら小泉や橋下と変わらないのでは?
上手く行かないのは官僚のせいだ、こういう責任転嫁は受け容れられやすいものです。国民は官僚が嫌いですから、バッシングのきっかけを提供すれば大歓迎されます。もし政治が機能しなくても、それは官僚のせいにしてしまえばいい、政府はやるべきことをやろうとしているが、官僚の抵抗で実行を妨げられている、だから世の中は良くならないのだ、そう言い繕うことが出来れば政府は悲劇のヒーロー、責任は全て官僚に帰せられます。行政の長は責任を取らなくて済む、実権を握っているのは官僚であると、そう見せかけることさえ出来れば、責任の所在も転嫁できるわけです。
民主党が政権を取ったとして、まぁ今の自民党政権よりはマシになるでしょうけれど、かといって何もかもが上手く行くはずもないでしょう。その時、自分が責任を取るか、それとも誰か嫌われ者のせいにするか、民主党はどちらを選択するのでしょうか? 民主党内閣は国民のために働いているが、官僚の抵抗があるために結果が出ないと、そういう方向に話を持っていくようであれば、それは小泉政治と変わりありません。公務員叩きに走ったり、官僚の権限を殊更に強調するような政治家/政党には、自ら責任を負おうとするのではなく、悪者を用意することで自分を正当化しようとする傾向があると、そう見ておく必要があります。
鳩山(兄貴)さんも優秀な人間ではありますし、イデオロギーでは合致しないところが多いですが、私もそれなりに認めてはいるのですが、ちょっとこのようなことはねえ。ただ、記事を読むと鳩山さんの考え以前として民主党の政策がそのようなことを打ち出していますよね。政権交代の可能性がかなり高くなってきた現状を鑑みると、その際には「クビ」なんて事態はないか最小限であってほしいものです。
先日も小泉による麻生批判の尻馬に乗って、あとから言い繕ったりしてましたし、軽薄過ぎます。
なんであんなんが党代表クラスにいるのか。まあ言ったら自民だって森や安倍ですけど。
昨今の自民が坂を転げ落ちるように失態を増やしているのは、官僚叩きを盛んにし始めた時期と一致する気がするんですがね。
普段は政治家の私物みたいな扱いをされヨゴレを引き受けているのに、いざ立場が悪くなればスケープゴートにされ、昨日まで尽くしたボスから罵られる、そんなことで人心が掌握できるはずがないですから。
組織内でもトップ級などで政治家と一体でその流れに乗ったらオイシイ人々もいるのでしょうが、組織のモチベーションやモラールが保てなくなっても当然でしょう。
政府と官僚の間で無用な対立があっても困るわけですが、かといって「従わないならクビを切れ」では先行きに不安を感じさせるものですよね。自民党と対決する都合上、小沢一浪あたりはその辺を上手く抑えている印象ですが、元より民主党の政策は小泉以降の構造改革路線に近かったことを鑑みるに、色々と懸念されます。
>Gl17さん
小泉と麻生が微妙に対立しているわけですが、そこで民主党が麻生政権への批判と称して小泉サイドに迎合してしまうような虞もあると、私は思っています。場合によっては鳩山が小泉路線の継承者になるのではないか、ここで取り上げた公務員叩きを前面に押し出してくるようなら、その可能性ありうるかもしれません。
それと同じことだい!
それに、自民党作ったのはうちのじいちゃんだぞ!
孫の僕ちんがマネしたっていいだろ!」
(以上、腹に力が入ってない調子で)
はしもと「(半泣きで)何も僕のグルーピーの前で僕のパクリやることないでしょ!
国会議員が田舎知事をパクって何が嬉しいんですか!」
なんだかんだ言って自民党出身者ですからね、小沢一郎もその点は同じですけれど、古い自民党的体質も半分くらい残している小沢と比べると、鳩山は小泉以降の自民党に近いところがある気がします。見ようによっては橋下と同じ方向性にも見えますが、「人気があるものは正しい」という感じなんでしょうかね。
職業の性質上、腐敗が絶対に避けられないから自浄作用が必要なんですよ。
だから、鳩山のやってることは生温いとすら言える。
ドサクサに紛れて何故か社民党が政権入りしそうですし、小沢氏の景気対策もテレビ評論家の思いつきをいきなり採用したりと、本当に真面目に考えているのかよく分かりません。元々心臓に持病があって激務に耐えられる健康状態ではなさそうなので、最初から首相に就任する気は無いのかも知れません(ネクスト総理大臣は未だに小沢氏の名前が載ってますけど)。
何が仰りたいのかわかりません。誰も公務員の人間性など無関係です。仮に腐敗が避けられないとしても、「逆らう奴はクビ」にすることで問題が解決するはずもありません。単に公務員憎しで動いているだけの言動は実に貧しいものですね。
>橘さん
まぁ小沢なら麻生、小泉、鳩山よりは確実にマシですから、自民/民主の党内有力者から選ぶのなら小沢しかないでしょう。とはいえ民主党の傾向からすれば「今の」民主党の方針に反対の議員も多いので、その辺が党を内部から蝕むことは大いにあるでしょうね。
単にアメリカの猟官制(スポイルズ・システム)みたいにしたいだけではないかと。
いくら政権を取っても官僚が思うように動いてくれなければ政策は実行できないのですから、それなりの合理性はあると思います。
そうですかね? 19世紀の遺物にしがみつくのも結構ですが、それに国民の歓心を買う以上の意味はあるのでしょうか。民主党が政権を取っても世の中が良くならないのは、官僚が思うように動いてくれないからだと言い訳をするには格好の手段ですが、それを良しとするなら干涸らびるまで小泉の失敗を繰り返していなさいとしか言えませんね。