国家公安委員長に中野氏=江田氏が法相-菅再改造内閣、今夕発足(時事通信)
菅直人首相は14日夕、菅再改造内閣を発足させる。これに先立ち、官房長官に決まった枝野幸男民主党幹事長代理(46)が閣僚名簿を発表。岡崎トミ子国家公安委員長(66)が退任し、後任に中野寛成元衆院副議長(70)を、古川元久官房副長官(45)に代え、藤井裕久元財務相(78)をそれぞれ充てることとなった。再改造内閣の顔触れをみると、法相に起用された江田五月前参院議長(69)を含め新任4人、横滑り2人、11閣僚が留任で、小幅の改造にとどまった。参院議長経験者の入閣は初めて。
(中略)
岡崎氏に関しては、野党からテロに関する警視庁の内部文書が流出した事件の責任を問う声が上がっていた。新任は中野、江田、枝野の各氏のほか、たちあがれ日本を離党して経済財政担当相に起用された与謝野馨元財務相(72)。中野氏は拉致問題と公務員制度改革も担当する。
海江田万里経財相(61)は経済産業相に、大畠章宏経産相(63)は国土交通相に玉突きで異動。仙谷氏と同様、参院で問責決議を可決された馬淵澄夫国土交通相(50)は閣外に去った。前原誠司外相(48)、野田佳彦財務相(53)、民主党政調会長を兼ねる玄葉光一郎国家戦略担当相(46)、国民新党の自見庄三郎金融・郵政改革担当相(65)、民間出身の片山善博総務相(59)ら他の閣僚や参院の福山哲郎(48)、事務の滝野欣弥(63)両官房副長官は続投することとなった。
この内閣改造で早くも支持率が上昇に転じたという話も聞きますが、遠からず元に戻るでしょう。それでも内閣改造というカンフル剤に頼る辺りは、ますます以て末期自民党政権と似てきたように思います。まぁ内閣改造と言いつつ留任や横滑りが多く、新任は4人と意外に小幅な改造ではありますが、どの辺から突っ込んだらいいのか迷うところです。
まず官房長官が仙谷から悪しき隣人である枝野に変わりました。枝野のアホだけは勘弁してくれ、と思わないでもないが、冷静に考えてみれば枝野以外の誰が起用されようと最悪であることには変わらない気がするのでなおさらどうしようもありません。まぁ仙谷は小泉カイカクを右から批判していた輩で、その官僚嫌いも合わせて本来ならみんなの党辺りとよろしくやっている方が自然な人物、沖縄に向けて米軍基地を甘受せよと説くなど左派からすれば決して容認できない政治家ではあります。その実質的な罷免は歓迎できなくもないですけれど、そこに至るまでの流れはどうなんでしょう。フィクションと現実の区別が付かない人々からサヨクと設定されて嫌われていたようですけれど、そんな脳内設定に基づく批判に応えるような形で政治家がポストを追われるというのは、何とも呆れる話です。学生運動をやっていた時期があるからサヨク、その仙谷を重用する菅内閣は左翼政権というのなら、共産党活動歴のあるナベツネは今でもコミュニスト、読売新聞は共産党機関誌と言うことになりそうなものですが。
もう1人、フィクションと現実の区別が付かない人々から嫌われた閣僚であった岡崎トミ子氏も任を解かれ、後任には旧民社系が入ることになりました。法相としての適性が皆無だった旧民社の柳田氏が先だって閣僚を辞したこともあり、旧民社系の政治家にポストを与える必要もあったのでしょう。まぁ拉致問題担当のポストに右派が据えられるのは既定路線で、岡崎氏の起用の方こそ気の迷いだったのかも知れません。ちなみにこの人事異動の結果として新内閣の女性閣僚は蓮舫のみとなりました。鳩山政権発足時から一貫して、民主党政権は女性閣僚の起用に消極的に見えます。単に女性の頭数を増やせば済むものではないにせよ、こういうところにも民主党と自民党の同質性は窺えるはずです。
目新しいところでは与謝野馨の入閣があります。菅首相自らが明言したように菅と与謝野の考え方は共通性が高い、それは私も同意するところです。とはいえ昨今では政策の共通性よりも政治家同士の好き嫌いや党利党略の方が優先されるだけに、かなり意外な結果にも感じました。たとえば新官房長官の枝野がみんなの党に秋波を送っては肘鉄を食らうような一幕もあったわけです(参考)。確かに、みんなの党と枝野の政策的な距離は非常に近いでしょう。しかし「民主党なんかと組めるか!」という感情論が勝った結果として連携は拒絶された、落ち目の与党に付くより与党批判の受け皿であり続けた方が党利に叶うという判断が勝った結果として連携は拒絶されたのではないでしょうか。民主、自民、みんなと似たような政策の党が幅を利かせているからこそ、政策論議ではなく「我こそが真の改革者だ」と訴えるような不毛な主導権争いや与党の不祥事をつつくようなことしかできなくなっている点は否定できないはずです。そんな中でも好き嫌いや損得勘定を抜きにして、政策的な共通性から入閣を選んだ与謝野の決断は政治家として筋の通ったものだと思います。政策的には何一つとして賛同できる相手ではありませんが、政策本意で行動しているだけでも今時は貴重ですから。
参考1、無能な経営者の考えそうなこと
参考2、デマに媚びるな
参考3、悪いのは相手だとしても
ちなみに新官房長官の枝野を端的に評するなら、「考えが足りない人」と言ったところでしょうか。前任の仙谷が菅内閣の「サヨクという脳内設定(曲解)に基づいて批判される」という一面を代表する人物であるとすれば、枝野は菅直人の「ええかっこしい」の部分を象徴しているように思えます。あまり物事を深く考えない、というより政策的な芯がない、その場その場でウケの良さそうな、とりわけネット世論に受けが良さそうな言動を選んでしまう傾向があると言えるでしょう。中国を声高に非難すればウケは良いけれど、その結果までは考えない、公務員を叩けばウケはよいけれど公務員削減の影響までは考えが及ばない、それが枝野です。しかるにネット世論に近い立場を取りながら、菅や仙谷のようにサヨクと設定されてネット上では叩かれる、そういう憐れな末路を枝野も辿るような気がしないでもありません。
そしてこの論理を適用するなら、安倍政権も左翼になりますよね(笑)
官房長官だった塩崎が学生運動にかなり積極的に参加していたのは有名ですし。
しかし仙谷をサヨクと呼ぶのに必死な人たち(一部週刊誌なども含む)が安倍政権をサヨクと呼んだことは全くなかったですが。
結局、実態を見るより先に願望を投影してしまう人が多いのでしょう。漫画とかゲームではなく、実は政治分野こそ現実とフィクションの区別が付けられない人が大量発生していて、そんな人が脳内イメージで政府への賛否を決めている気がします。
>ルーピーさん
安倍だって好き放題言ったらどうなるか、その結果を考えた末の親中路線だったと思うのですが、枝野はそこまで頭が回らないようですから困ったものです。野中だって褒められた人物ではないにせよハト派には違いありませんし、何より政治を破綻させないための調整能力がありましたが、枝野は保守本流時代の自民党政権よりも格段に右より名民主党においても屈指のタカ派にして、ただ言いたいことを言うだけの能なしでもあります。決して権力を持たせてはならない人を起用しているように思えてなりません。
官僚・公務員側に問題視すべき点はないとまで思いませんが、マスコミが過剰に官僚機構は悪の組織だと煽った結果がこれですよ。
橋下とか河村とか阿久根の竹原とか、公務員さえ叩いておけば何でも許される風潮すらありますからね。政治家としての評価=公務員(官僚)への悪意になりつつあるような気がします。
結局、現実とフィクションの区別が付かない人が多い、美輪明宏も例外ではないと言うことなのでしょう。日本がとんでもない金持ち優遇税制になっている現実からは目を背け、役人の利権のせいで世の中が上手く回らないのだというフィクションにしがみつく、そういう人が多数派として世論を左右しており、政治もまたそこに媚びている気がしますね。