非国民通信

ノーモア・コイズミ

別に日本叩きではないのですが

2010-10-10 23:02:25 | ニュース

シー・シェパード 「日本たたき」強化 太地町に幹部常駐、寄付金集めで標的(産経新聞)

 反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」が和歌山県太地(たいじ)町に団体幹部を長期派遣し、地元のイルカ漁に圧力をかけている。太地町は、隠し撮り映像でイルカ漁を批判し、今春、米アカデミー賞を受賞した映画「ザ・コーヴ」の舞台。SSは日本に狙いを定めた活動で注目を集め、多額の寄付金を得るようになったことから、今回も知名度の高い場所で存在感を示し、勢力の拡大を図るのが目的とみられる。SSは12月にオーストラリアから抗議船を出し、再び調査捕鯨を妨害することも宣言、“日本たたき”の姿勢を強めている。

(中略)

 一方、太地町で9月にいけす網が切られた事件で、かつてSSメンバーだったオランダ人らが今夏、設立した団体「ザ・ブラック・フィッシュ」が犯行声明を出した。これは、SSから分派した「シー・シェパード系過激団体」が本家のやり方を踏襲、日本を標的にし始めたことを意味する。

 ご丁寧に「SS年間報告書などから」とするグラフまで添付されているのですけれど、シーシェパードの年間報告書って、どこまで信用していいものなのでしょうか? あたかも個人献金が大量に集まっているかのごとく装っておきながら、本当は実家のカネでしたみたいな政治家もいるわけですが、シーシェパードの場合はどうなのでしょう。シーシェパード側としては賛同者が急増しているように見せたい、その賛同の証としての寄付金の額も大きく見せかけたいものと推測されるだけに、多分にハッタリも含まれているような気がします。主催者発表を鵜呑みにできるほど透明性の高い団体でもないと思うのですけど。

 ましてやシーシェパードを敵視する産経新聞からすれば、なおさらシーシェパード側からの発表など信頼できないはずです。にもかかわらずシーシェパード側の大本営発表そのままの寄付金額を伝えようとするのは、それだけ脅威を煽りたいからなのかも知れませんね。たとえば近隣諸国を敵視、侮蔑している人ほど、その国の軍事力に関しては大きく描きたがる傾向はないでしょうか。中国なり北朝鮮なりを日頃は悪く言う一方で、軍事的脅威としては現実以上に大きなものとして評価する人が少なくないわけです。仮想的の脅威を煽りたいがために、相手側のハッタリを真に受けてみせる色々とご苦労な人がいる、この場合の産経新聞もその類と言えます。

 ようやく沈静化しつつある領土問題と並んで、不思議と議席を持っている政党の間でほとんど方向性が一致しているのが捕鯨問題でもあります。これに関して明確に国際協調路線を取る政党は見当たりませんし、何かと天下りにはうるさい政党も鯨研に対しては口出しをした形跡すらありません。世論レベルで見ればそこまでの一致が見られるものとも思えませんが、とりあえず政治家の間では現行の捕鯨体制を維持することに異論はないようです。そうした状況も反映してか、とかく捕鯨(イルカ含め)に対する批判=日本に対する批判と扱いたがるメディアも目立ちます。ゆえに今回の記事でも、イルカ漁への抗議がすなわち日本叩きであるとして報道されるわけですね。

 まぁイルカ漁なんて、どう見ても衰退産業と言いますか、いずれは採算割れと後継者不足で滅びる運命にあるようにしか見えないのですが、シーシェパード側はその辺をわかっているのでしょうか。私が太地町の漁業関係者だったら、これ幸いと政府の庇護を求めるところです。どれだけ赤字を垂れ流しても税金での補填が約束され、事業仕分けの網にも掛からない調査捕鯨と同じようなポジションに食い込む絶好のチャンスですから。いずれイルカ漁なんて商業的には存続できなくなる、それでも存続させるためには公金を投じ「調査」とでも称して継続させるしかないわけです。捕鯨への批判が日本叩きであると取り違えられている、単なる民間団体の抗議が外圧か何かのように扱われている今だからこそ、与野党共に捕鯨やイルカ漁へ懐疑的な目は向かわない、予算確保にはまたとない好機でしょう。



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10 コメント

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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2010-10-10 23:15:09
かなり前のエントリーで管理人さんもおっしゃっていたかと思うのですが、いっそのこと反捕鯨団体は捕鯨を放置するいうのが案外有効ではないかと思うのですよ。勝ち負けにこだわる世論が相手であれば今は「負けるが勝ち」とばかりに引いたほうが長期的には望む結果(採算ベースに乗らず消滅)が得られそうです。正直捕鯨への批判を日本叩きととらえている人の中に鯨肉を本気でおいしいと思って食べる人がどれほどいるか、と考えると案外少ないのではないかな、と思うわけですね。
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確かに (Bill McCreary)
2010-10-11 00:22:42
非常に怪しいグラフですね(笑)。

>まぁイルカ漁なんて、どう見ても衰退産業と言いますか、いずれは採算割れと後継者不足で滅びる運命にあるようにしか見えないのですが、シーシェパード側はその辺をわかっているのでしょうか。

将来性がないっていいますか、イルカなんかとったってねえ、という以上のものではないと思うんですけどね。ついでながら「ザ・コーヴ」は個人的には面白い映画でした。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-10-11 01:02:03
>ノエルザブレイヴさん

 必要性ではなく、反動的なものから捕鯨への支持が高まっている側面も強いですからね。むしろ国際的な批判がない方が国内での関心も薄れるでしょうし。他人の不幸は蜜の味とも言いますが、捕鯨及びイルカ漁を嫌がっている人がいるからこそ鯨肉を美味しいと言い張っている人も少なさそうです。

>Bill McCrearyさん

 地元の人だって、若い人はイルカの肉なんて食べたがらないんじゃないかという気がしますが、その辺はどうなんでしょうね。現地の古老からは食生活の欧米化だなどと嘆かれているとしたら、ちょっと笑えます。一連の騒動で初めてイルカ漁の存在を知った人の方がずっと多いのではない過渡すら思えますし。
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クジラ肉はもういいっす (白髪仙人)
2010-10-11 06:44:12
シーシェパードのやり方についてはは置いておいて
現在の日本人って、そんなにクジラ肉が食いたいんでしょうか
食わされた経験から言うと、やっぱり高価だった牛豚肉の代用だったと思うんです
噛み切り難い筋のある切り身や塩漬肉とか白い皮?のようなものを、子供の歯で必死に食べていたので、
普通に牛豚肉が手に入る今では、ことさら食いたいとは思いません、中にはノスタルジーがわく人もいるのかな。
今の子供のアゴは弱くなっているといいますし噛み難いのは嫌われると思います(カツ等に加工すれば別でしょうけど)

今の日本でクジラが食いたいから捕鯨に賛成している人ってどれくらいいるんでしょうか、
特に若い人は食べた経験も少ないと思います
調査捕鯨をするならマーケッティングとして国民の需要の方も調査した方がよいと思うのですが。
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そのうち (ローリー)
2010-10-11 11:34:01
捕イ研とかの財団法人が出来て農水省の天下りの席が確保されるんですね(笑)
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-10-11 12:26:16
>白髪仙人さん

 自発的な意志から鯨肉を食べたがっている人は少ないでしょうね。単に国際的な非難や環境保護団体への反発から鯨食を擁護しているだけで、これまた税金を投じて需要拡大が図られているにも関わらず消費量は増えずに在庫がだぶつくばかり、商業捕鯨が解禁されたとしても水産会社は捕鯨を再開するつもりはないと回答している有様ですから。

>ローリーさん

 今がまさに、そのチャンスですよね。国民や政府筋の非難を受けずに天下り先を作るには絶好の機会でしょう。北朝鮮のミサイル実験で安倍内閣の支持率が跳ね上がったとき、麻生太郎は「金正日に感謝しないといけないな」と言いましたが、捕鯨関係者はシーシェパードに感謝しないと……
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キリンが好き (kurosuke)
2010-10-11 15:38:49
南アフリカのコイサン族(ブッシュマン)の人たちが、まだ狩をしているのかどうか私は知りません。仮にまだしているとして、その狩を取材して、キリンを殺すところを見て「残酷であり、”非人道的”だ」と騒ぐ団体はまず、ないでしょう。(私はイルカと同じくらいキリンが好きです。どちらのこともよく知りませんが。(笑 )

日本のイルカ漁だって、将来性も規模も似たようなものじゃないんですか?

本当に「生物多様性の維持」とか、「持続可能な世界」とかを考えるなら、他にやるべきことがたくさんありそうですが、そんな事とはあまり関係のないところで派手なパフォーマンスをしたい人たちが居て、その人たちを(対立する立場からでも)利用したい人たちが居て...

自然なんかどうなろうと そういうつまんないところで、人間って生きていくんですね。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-10-11 18:59:44
>kurosukeさん

 いや、キリン狩りだったらかなり嫌な目で見られると思いますよ。少なくともイルカや鯨を殺すことだけが非難を浴びる行為ではないのですから。シーシェパードの戦略はあまりクレバーではありませんが、それを単なるパフォーマンスと片付けるのは一面的に過ぎるのではないでしょうか。
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Unknown (シトラス)
2010-10-11 22:09:17
シーシェパードがテレビで取り上げられるときに、調査のために日本人を殺そうとしようとする番組が取り上げられます。
しかしあれはオーストラリアにおける電波少年のようなもので捕鯨だけでなく様々なものをネタにする番組であることは触れられませんね。
あの番組に比べれば、「おばさんコーラス」なんて温すぎます。
ただ白い恋人事件のように、鯨肉の需要はこの騒動のせいで逆に上昇しているとも聞きます。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-10-11 23:10:28
>シトラスさん

 その番組は見たことがないのですが、外国のジョーク番組を現実と混同している日本人がいると言うことでしょうかね。何かと都合良く事実を取捨選択してしまう人も多いですから。
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