都青少年健全育成条例改正案:PTA団体など、都に成立求め要望書 /東京(毎日新聞)
都内のPTA団体などが3日、都青少年健全育成条例改正案の成立を求める要望書を都に提出した。石原慎太郎知事は「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」と応じた。
要望したのは、都小学校PTA協議会(都小P、加盟248校)▽都私立中学校高等学校父母の会中央連合会(同246校)など5団体。都小Pの新谷珠恵会長が「児童を性的対象にすることが野放し状態。子供を健やかに育てるため、社会の力を借りないと環境整備できない」と説明した。
一方、学者や評論家らは改正案への反対を訴えて都庁で記者会見した。藤本由香里明治大准教授は「時代物やSF漫画のキャラクターにも現代日本の刑罰を適用するのか。現実とフィクションを区別しない危険な発想だ」と強調した。児童文学者の山中恒さんは「日本の官僚は拡大解釈にたけている」と危惧した。
さて性表現規制の動きが再び活発化してきた昨今ですが、関係者の言葉はどうでしょうか。とりわけ東京都の規制案は創作物への規制に終始しており、実在の児童とは直接的な関係が薄いのですが、PTA会長氏は「児童を性的対象にすることが野放し状態~」と宣っています。フィクションにおける性表現を規制するために実在の児童をダシにしている感も否めませんね。一方、反対派として登場する山中恒氏は「日本の官僚は拡大解釈にたけている」と危惧を表明したとのこと。性表現規制への反対を世間一般の無関心な人にも共有してもらうためには、この辺(実際の運用に当たる警察官僚の思惑等々)を強調するのが有効なのでしょう。とかく良識派を装って性表現には眉を顰めてみせる人が政治家には多そうですが、それ以上に官僚嫌いは多いですから。性表現規制には興味がなくとも、官僚のやることなすこと否定したがる議員はたくさんいます。警察官僚の利権云々がクローズアップされれば、自民党系はともかく民主党筋は概ね反対に傾くでしょう。
で、主役は慎太郎です。他所でも取り上げられているので今さらの感もありますが、相変わらずです。一時期は過去の人になりつつあったのに、いつの間にか盛り返してきたようにも見えます。政権交代後の民主党の失速もあってか浮動票も保守回帰しているフシがありますから、次の選挙も石原慎太郎になってしまう可能性も今や否定できません。そして慎太郎曰く「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている~」だとか。ふむ、反社会的な性的行為を肯定的に描いたものは規制の対象とするというのが今回の条例案であることは周知の通りですけれど、規制推進派の考える「反社会的」の範囲の広さを端的に示していますね。
私からすれば保守派の押しつける「正しい性」などクソ食らえと思うわけで、既存の道徳規範をぶちこわすようなアブノーマルな性表現の誕生を絶えず待ちわびているところです。そもそも石原慎太郎自身も若い頃は作家として既成の性道徳観をぶちこわす役割を担っていたと記憶していますが、どうしたものでしょうね。性表現規制を押し進めるに当たっては、まず慎太郎自身が「総括」を求められても良さそうなものです。にも関わらず、自分のことは棚に上げて表現規制を振りかざす、歴史修正主義者は自分自身の過去の業績をも修正してしまうのでしょうか。
まぁ、今回の条例案は漫画やアニメといった相対的に新しいメディアを狙った規制であり、実写モノや小説は対象外らしく、つまり石原慎太郎の著作や映像化作品は網に掛からないようになっています。一方、セックスヘイターの主張に沿った形で表現規制が杓子定規に適用されているというカナダでは、規制を押し進めてきた人々の著書すらもが性表現を含むという理由で規制対象に含まれるそうです。そうした笑い話のような状況をも是とする人がセックスヘイターには多いとも聞きますが、それに比べると自分の作品をちゃっかり対象から外しておこうとする石原の小物ぶりはなおさら際立つところです。
それはさておき、「テレビなんかにも同性愛者が平気で出る」とのこと。う~ん、多田野は今期2試合しか登板していないので地元のテレビにもあまり出ていないと思いますし、そもそも今シーズン限りで戦力外なのですが、他にテレビに出ていそうな同性愛者って誰がいますかね。たまにBSだとロブ・ハルフォードも見られるでしょうか(別にNHKのために出演しているわけではありませんが)。まぁ一般に同性愛者と知られていないだけの人も、テレビには出ているのでしょう。
↓同性愛者がテレビに出ている一例
……同性愛をネタにした芸人が一時的に流行っていないこともないですが、本物の同性愛者が同性愛者として堂々と表に出られるような状況に、今の日本のテレビが到達しているとはとうてい思えません。日本の自称「保守」が崇める作られた伝統ではなく実在した日本の伝統を鑑みるなら、日本は世界に冠たる同性愛大国のはずなのですが。なかでも衆道は武士の嗜みです。町人の子孫も農民の子孫も、猫も杓子も「サムライ」であれと説かれる現代であるなら柔道や剣道などではなく衆道を必須化してこそ「伝統」への理解も深まろうというものです。にもかかわらず「テレビなんかにも同性愛者が平気で出る」と憤っては規制条例を作り、そこからさらに踏み込もうとする輩もいます。「正しい性」から「正しくない性」への不寛容は絶えることがなさそうです。
一方で空手家の大山倍達は吉行淳之介に「五味康祐によると宮本武蔵はホモだったそうですね」と言われて危うくパンチを見舞いそうになったそうですが、大山倍達(そう言えばこの人も朝鮮出身ですね)にとっては許せないことなのかもしれないですけど当時の武士にとっては同性愛嗜好は「当たり前」とは言えないまでもそれほど珍しくも無い嗜好と考えれば吉行淳之介の話は武蔵の名誉を傷つけるような話でもないよな、と私は考えました。
これらのエピソードは都知事はどう思うのだろう…。
あと、山中恒さんは本能的に国家権力に逆らうコツみたいなものが分かっているのかもしれない、と冒頭の記事を見て思いました。
山城新伍さんが、ラジオで「興行に関係する人はおかまの悪口を言っちゃいけない。」みたいな事を言ってましたね。
彼等(彼女等?)は芝居や興行に良く足を運ぶし、そうしたものを支えてるんだそうです。また、感覚も鋭いんだそうです。
駄文しか書けない奴にはジェラシーの対象でしかないんですかね。
お金持ちのくせに愛人が妊娠したら逃げまくった石原、、、、、、、、、。
こんな奴に人様の事をとやかく言う資格なんて無いと思えますけどね。
お!管理人さん。公約の続編が浮かびそうですね!
一時期、その系統の人達を集めてバラエティ番組もやっていましたし、
あと、はるな愛とかのトランスジェンダーの人も石原枠だと同性愛者ってなるのでは?
それと、ゲイに対して許容度が増えたのか、ドラマやマンガでも普通に出てるのがあり、保守反動連中にとっては、許せない状況なのかと思います。
何にしても、同性愛を犯罪扱いとか、先進国の政治家とは思えない意識の低さだと思いますね。こいつは以前からこうですが。
一般人が同じ事を職場で言うと白い目で見られるような事を、公人で地位も名誉もある人間が口にする。しかもそれを「我々が言えない事をよくぞ言ってくれた」的に指示する人間が少なからずいる。世も末ですね。同じ日本人の知性の劣化の象徴です。
日本で「保守」を自称している連中の多くは、あくまで作られた伝統、とりわけ明治期以降に作られた伝統を信奉しているだけですからね。本物の伝統にはむしろ、拒否の姿勢を示す傾向が普通の人よりも強い気がします。
>最下層公務員さん
異端視があるために公にされにくいだけで、同性愛の人は普通にいますからね。性的なマイノリティもまた普通にこの社会を構成しているのですが、まぁ何かを排除しないと自我を保てなくなっている人もいるのでしょう。
>とおるさん
でもどうですかね、たまたま性的嗜好の面で同性愛であると言うだけで他は自然体の人よりも、同性愛という要素を特異なものとして扱うケースが大半に見えますし、本文でも触れたように同性愛をネタにした芸人の方がテレビに出る頻度の方が絶対的に高いわけで、その辺は「異端視」があって初めて成り立っているものではないでしょうか。
>ローリーさん
こういう知事が、支持を落とすばかりか盛り返そうとしているところにもまた問題がありますよね。知事個人の資質の問題ではなく、その当選を可能にした有権者もまた、問われるべきものがあるはずですから。知事だけが異常ならどれほど良いか……
二次派は「二次は駄目だが三次はどんどん規制しろ」って昔からさんざん言ってましたよ。
三次派としては別に困らないですね。エロゲーなんてしないし、エロアニメは気持ち悪いし。
でもセックスヘイターの目的を考えると、共同して対抗したほうがいいんですよね。
三次派には「単純所持禁止」という最悪の事態が待ち受けてますので。
敵は民衆を分断して、個別に攻撃するという作戦ですから。
神話の中にも神事にも、近親相姦や同性愛の要素は色濃いですからね。国家神道の崇拝対象となる一族もしかりですし。所詮は作られた伝統を信奉する輩ですから、その辺までは考えていないのでしょうけれど。
>ピンク映画好きさん
トップの給与カットの次は末端の従業員の給与カットが続くものですし、公務員や正社員の待遇切り下げの次は民間や非正規雇用の待遇切り捨てが待っているように、二次元の規制の次は三次元、あるいは三次元の規制の次は二次元の規制ですからね。規制論議を押し進めている道徳家やセックスヘイターにとっての「正しい性」から外れるものは、遠からず標的にされることでしょう。それを危惧するなら、早い段階での封じ込めが必要になります。