非国民通信

ノーモア・コイズミ

平均すれば豊かな国

2006-12-07 23:43:56 | ニュース

1人あたりの富は日本が世界一 国連大学研究所の調査

 国連の研究機関が5日発表した「世界の個人の富の状況」調査で、為替レートで計算した1人あたりでは米国や欧州、産油国も上回って日本が世界で最も豊かな国となる結果が出た。

 日本が世界でもっとも豊かな国だそうです。

世界中の家計の富を合計すると125兆ドル。1人あたり2万500ドルとなった。国別に見ると日本は1人あたりの富が18万1000ドル(約2000万円)でトップ。米国の14万4000ドルなどを上回った。

 「家計の富」というのが具体的に何を指すのか分かりかねるのですが、平成17年度の統計によりますと日本人世帯の貯蓄額の平均は1728万円となっております。これは非常に高いものといえるでしょう。

 ところで読者の皆さん、あなたの世帯の貯蓄額はこの平均を上回っていますか? これを下回っている人の方が多いのではないでしょうか。統計上、この貯蓄平均を上回っている世帯は約30%、一部の富裕層が平均を引き上げている結果としての数字であり、残る70%の人はそこまで裕福ではありません。ま、アラブ諸国やロシアなど、一部の石油王が個人で国家の平均所得を引き上げているような国に比べれば格差は小さいわけではありますが、産油国と比べればマシ、というレベルでは何とも。OPECならぬOECD加盟国30国の中で見ますと、日本の貧困率はメキシコ、アメリカ、トルコ、アイルランドに次ぐ堂々の5位、メキシコやトルコを含む先進国中で5番目に貧困層が多い国でもあります。

 ただ、物価水準を考慮した購買力平価で計算すると、日本はスイスや米国、英国などを下回った。

 金はあるけどそれで買えるものの価値からすれば、世界一の金持ちではない、と。ろくなものが買えないようでは、お金があってもケツを拭く紙にしかなりませんね。果たしてそれを豊かと呼べるのかどうか。

 そこでもう一つ、日本人の貧しさの原因となるデータがありまして、2002年のデータとなりますが、日本とアメリカの住宅着工数と中古住宅の流通数をみていただくこととしましょう。

日本 着工 115万 中古売買  16万
米国 着工 170万 中古売買 556万

 日本では新たに家を建てますが、それを中古で売買することはありません。1994年からの10年間で1320万戸の住宅が建設されましたが、住宅総数の増加は799万戸にとどまっています。差し引き521万戸が10年間の間に取り壊された計算になります。一方アメリカは同じ10年間で1400万戸が建設され、住宅総数は1330万戸の増加を記録しています。10年で取り壊された住宅件数は70万戸強。アメリカ人は家を建てて家を増やしていきますが、日本では家を建てると同時にどんどん壊してしまうようです。

 これは日本の家屋が極端な安普請で年数の経過に耐えられないように造られていることも影響しているのですが、もう一つの理由として日本人の極端な独立志向が挙げられるかもしれません。日本ではいつのまにか、とにかく独立することが大切、独立できていない人間は蔑むべきパラサイト、子供は必ず家を出なければならない、そんな考え方が無批判に盲信されるようになりました。そして子供はいつか家を出るのが正常であり、そうであるからには家は自分たちの代まで保てばいい、そのような発想が日本独特の安普請住宅と異常な取り壊し件数につながっているものと推測されます。

 一方で日本ほどの極端な独立志向を持たない欧米の場合ですと、家から独立するだけではなく、継承するという選択肢が存在します。これは賢い方法です。せっかく建てた家ですから、壊さずに代々受け継いでいく、そうすれば富を蓄積させることができるわけで、日本より総じて所得の低いヨーロッパ諸国の生活がむしろ日本よりも豊かなものに見えるのはこのあたりが大きいのではないでしょうか。日本人のように何が何でも独立して、一からやり直していては何世代経過しても富など蓄積されるはずがなく、いかに所得が上がろうとも一代限りで取り壊されてしまう家屋のために富が消耗されてしまいます。これでは生活が豊かになる日は遠いですね。親の世代が築き上げた財産を、わざわざ取り壊してしまう愚にそろそろ気づく必要がありそうです。

 いや、むしろ気づいている人とそうでない人の差が、今の日本の格差を築いた一因であるかもしれません。今の政府を牛耳っている連中を見てください、誰もが世襲議員であり、親の資産を継いだ人間ばかりがそこにいます。小泉も安倍も麻生も中川も、誰もが親の築いたものを継いできたからこそ今の彼らの地位があるのです。政府だけではありません、経団連を牛耳っている御手洗にしたところで叔父が築いた会社を継いだからこそ今の地位があるのです。もし彼らが「家を出て独立しなければならない」などという迷信を真に受けていたら、彼らは0からのスタートを強いられ、貯蓄額も1728万に届かない人生を送ったことでしょう。しかし彼らは親が築いた財を継承するという賢明な選択をしました。

 高度成長期であれば、0からのスタートを切るのも悪くないのかもしれません。0からのスタートであっても社会の成長につれて自身の財も増加することが期待できるわけです。しかし現在は大企業の利益が増加する中で国民の給与所得は着々と下がる時代です。そんな中で0からのスタートを切るのは自殺行為としか考えられません。そこで我々庶民のとるべきは、お偉いさんを見習うこと、政府や経団連のトップがそうしたように、親の築いたものを継承することです。一代で財を築くことは難しくとも、何世代も積み重ねていけばいずれ生活は豊かになります。日本が本当に豊かな社会になるために、さぁ、独立などという妄言を今すぐ捨てましょう!


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