非国民通信

ノーモア・コイズミ

連合の功績ではあるまい

2014-03-20 23:06:19 | 雇用・経済

賃上げ平均6491円 非正規時給も増加 連合集計(産経新聞)

 平成26年春闘で連合は14日、同日午前10時現在で491の労働組合が回答を引き出し、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた全体の賃上げ額は、平均で6491円だったとの集計結果を発表した。昨年同期比で1218円のアップ。昨年はベアがなく、定期昇給を維持しただけの企業が多かった。連合は「昨年からの増加分が今春闘でのベアのほぼ平均額に当たる」と説明している。

 パートやアルバイトといった非正規労働者の時給については89労組が回答を引き出し、平均で11・97円の引き上げ。流通では20円以上アップした企業が多かった。契約社員らの月給引き上げは58労組で、平均2968円だった。

 従業員数300人未満の企業労組では、278労組が回答を得て賃上げ額は5560円、増加分は467円だった。

 神津里季生事務局長は記者会見で、昨年の春闘とは「明確に一線を画した。非正規の賃上げ内容も評価できる」と強調。「賃上げの水準もそれなりだ。後に続く(中小企業などの)労組への波及効果も大きい」と話した。

 

 ……とまぁ、上昇幅が十分とは言いがたい部分もありますがようやく賃上げ方向に流れが傾きつつあるのは評価できるでしょうか。従業員300人未満すなわち中小企業でも増加傾向、非正規にも僅かながら引き上げ気運が伝えられており、まぁこれで満足されても困るところではあるにせよ、悪い話ではありません。連合の書記長も「評価できる」と述べているとのこと、ただ今回の結果は断じて連合の努力によるものではないだろうとの思いも否めないところです。連合は前年以前も普通に存在し春闘という茶番も今年に入って初めて実施されたわけでもありません、賃上げムードの高まった今年と、そうでなかった過去と、違いを産んだのは何なのでしょう。

 連合の尽力と賃上げを関連させて考えるのなら、連合と政府の結びつきが強かった期間すなわち連合が行政に今よりも強い影響力を及ぼせたはずの民主党政権時代の方が、連合の要求は満たされやすかったことでしょう。ところが、民主党政権時代は労働者にとってまさしく冬の時代でした。連合の影響力は、どこにあったのでしょうか。むしろ連合なんかよりも統一教会辺りの方がよほど政治に影響を行使できているように思われますし、代議制への理解としては単に民主党の選挙を盲目的に支えただけの連合よりも統一教会の方がよほど適切であったとすら言えます。

 直接民主制ではなく間接民主制である以上、自分たちの主張を代弁してくれる候補を議会に送ることは当然の民主主義的な振る舞いとして認められるもののはずですが、連合にその自覚があったのかは大いに怪しいところです。民主党政権は自分たちの支持母体に便宜を「計らない」ことにおいては、まさしく「しがらみのない」政治を実現してきたわけで、これは一見すると好ましいことであるように語られる一方、支持層の主張を代弁「していない」という点では代議制にふさわしくない振る舞いでもあります。最大労組の支援を受けたのなら、労組所属の組合員に便宜を図る方がむしろ支持者の代表として適切のはず、しかし民主党は絶対にそれをやりませんでした。

 市場原理主義者の民主党から自民党/安倍内閣へと政権が移り、日銀や財界筋にもあれこれと口が出されるようになりました。所詮は口先の要請という印象も拭えないながら景気指標は着実に上向いてきたわけです。端的に言えば、市場には介入が必要なのです。制約を取り払って選手を好き放題にプレーさせてやればチームは強くなるでしょうか。その中では突出した活躍を見せる選手は出てくるとしても、秩序なきチームは決して勝てません。経済も然り、企業に好き放題やらせてやれば他を押しのけて伸びてくる企業はあるかも知れませんが、日本市場全体で見れば疲弊するばかり、全体のパイは減るばかりです。選手の自由に任せていてはチームが機能しないように、企業の自由に任せていては日本経済は成り立ちません。

 

ベア獲得労組が最多=中小企業の産別労組(時事通信)

 機械金属産業の中小企業労働組合が加盟する産業別労組JAMは17日、14日までに集計した2014年春闘の回答状況を発表した。回答を受けた370労組のほぼ半数に当たる186労組がベースアップ(ベア)相当分を獲得し、調査を開始した01年以降で最多となった。獲得額も平均1645円で、これまでの最高額となった。

 組合員300人未満に絞っても124労組あり、平均で1732円だった。記者会見した藤川慎一JAM副会長は「中小企業で1000~2000円のベアが獲得できており、『できる』という雰囲気が広がっている」と話した。

 

 賃上げは大企業だけの話、中小は無関係と力説する論者も多いですが、その調子では現政権から支持を奪い取ることは永遠に無理でしょう。むしろ安倍晋三にできたことが、なぜ今まではできなかったのかを省みることが求められます。なぜ安倍晋三を待たなければならなかったのか、連合が強い影響力を持ち得たはずの民主党政権時代に誇れるような成果がないのは何故なのか、その辺を総括する必要があるはずです。先の東京都知事選で、連合は民主党と袂を分かって舛添支援に回りました。良い判断だとは思います。労働者のことを省みない政党とは縁を切って、そして与党サイドに対して組織票の飴と鞭で揺さぶりをかけていく姿勢の一つも見せられれば多少は本来の役割を果たせることも出てくるのかも知れません。

 

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2 コメント

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Unknown (pedro)
2015-10-29 20:16:26
民主党の中道左派ってのはニュートラルって意味では無くて、誰の為にも働かないというふうに解しています。

そんな民主党を見限らない連合もまた誰の為にも働かない、何の為にあるのか分からない組織と言える。

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Unknown (非国民通信管理人)
2015-10-29 22:02:17
>pedroさん

 むしろ現代は、支持者のために働く政治家よりも、支持者のために「働かない」政治家を「しがらみのない~」と言って肯定的に評価する時代ですからね。そんな政治家なんて存在する必要が無い、というのが私の見解ではあるのですが。
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