非国民通信

ノーモア・コイズミ

相撲はわりと好きなのですが

2011-02-07 23:48:43 | ニュース

大相撲春場所、開催中止決定…相撲協会(読売新聞)

 大相撲の八百長問題に揺れる日本相撲協会は6日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大阪府立体育会館(大阪市浪速区)で3月13日に初日を迎える予定だった春場所の開催中止を決めた。

 八百長疑惑には十両力士ら14人の名前が挙がり、親方、力士の計3人が関与を認めている。

 本場所の中止は、国技館改修工事の遅延で夏場所を開催できなかった1946年以来、65年ぶり。不祥事による中止は初めて。

 野球賭博問題が起きた昨年の名古屋場所では、場所前に関与した力士らを処分して開催にこぎ着けた。しかし、今回は、解明に当たっている特別調査委員会(座長=伊藤滋・早大特命教授)の調査には時間がかかることから、場所開催を中止して実態解明による信頼回復を優先させた。調査委は今後、14人の力士らから提出された銀行などの預金通帳や、提出を求めている携帯電話の通話の解析などを行って詳細な調査を進める。

 相撲協会の放駒理事長はこの問題の発覚後、「ファンの皆さまに理解してもらえない状態で(場所を開催して)いいのか、考えなければいけない」と春場所開催に慎重な姿勢を見せていた。

 この辺の相撲協会の対応を見ますと、角界的には「拳銃所持<傷害致死<大麻所持<八百長」みたいですね。記録の残っている1985年以降、16人が相撲部屋で死亡しているとのことですが、それでも中止になることはなかった大相撲本場所が八百長の発覚によって65年ぶりの中止になったことが伝えられています。なんでも「ファンの皆さまに理解してもらえない状態で(場所を開催して)いいのか、考えなければいけない」とのこと。横綱の拳銃所持やリンチ殺人に関しては理解を得られたけれど、八百長に関しては理解を得られないと判断したのでしょう。

 さて大相撲の八百長に関しては週刊誌の定番ネタといった感じで、ある意味で日米密約と並ぶ「公然の秘密」であったように思います。それでも「八百長はない」と言い切ってきたのがこれまでの通例で、その辺も含めて伝統の一部のような気すらしていたものですが、どういうワケか今回に限り八百長の存在が公に認められることとなってしまったようです。暴こうと思えばいつだって暴けたことのはず、それが今になって露わにされたのは、いったいどういう風の吹き回しなのでしょうか。小沢信者風に言えば、これも検察とかその類の陰謀に?

 記憶に新しいところでは、大麻所持で解雇された若ノ鵬が八百長を証言したなんてこともありました(参考)。この辺の証言も結局は有耶無耶にされてしまったわけですが、証拠よりも自白を優先するのが日本の取り調べ機関というもの、自白があった段階でメスが入れられていたとしてもおかしくなかった気もします(まぁ、自主的な証言は好まれないのかも知れませんね)。それでも敢えて見て見ぬフリをし続けてきたのに敢えて八百長を暴き立てる決断を下したのは、もはや隠しきれないところもあったのでしょうか。かくなる上は過去に八百長を証言しては相撲協会から否定されてきた元・関取の名誉回復も考えて欲しいところです。

 これを機に改革云々と方針の違いを巡って相撲協会が分裂、新たに全日本相撲協会と新日本相撲協会が発足!みたいなことになったら面白そうだとか思ったり思わなかったりするのですが、まぁ結果はどうなることでしょう。八百長に関与したとして名前の挙がった力士だけを処分して終わる可能性が最も高そうですが、もうちょっと角界の独自性を取り払ってオープンなものにしないと、将来的には厳しいような気がします。

 八百長の動機としては十両以上と十両以下の「格差」を挙げる記事が散見されます。十両以上か以下かで待遇は雲泥の差、だから十両から下にはどうしても落ちたくないという意識が八百長や星の貸し借りにも及ぶと解説している人もいるようです。しかし、格差によって競争意識を煽る、待遇に格差があるからこそ十両以上に上がろうとするモチベーションが高まるのだみたいな価値観もまた日本的と言えます(この辺は、アメリカのメジャーリーグとマイナーリーグの格差に関しても同様、日本では極めて肯定的に捉えられているところです)。日本人の大好きなハングリー精神を掻き立てるべき格差を解消することは、とうてい協会側の好むところではないでしょう。

 個人的には、相撲以外の進路を広げるべきだと思いますね。今まで相撲は「職業」ではなく「人生」みたいな扱いで、土俵の外でも相撲取りらしい服装をしなければならなかったり等々、行動に諸々の制限が課されてきたわけです。そうでなくとも中卒で角界入りした場合など、「外」の世界から切り離された世界でしか生きられなくなってしまうケースも多い気がします。閉ざされた角界であることを改め、ある程度オープンにスポーツ化しないと、独自の常識に支配された魔窟であることからは抜け出せないように思えます。もっともオープンな格闘技の世界も国内団体は軒並み冬の時代ですし、しばしば政治家を輩出するなど意外と社会へ開かれているプロレスのような興業の世界も昔年の勢いはありません。大相撲も緩やかな衰退からは逃れられないでしょうか。競技自体は嫌いではないだけに、相撲取りの頭数を減らすような自体にはなって欲しくないところですが。

 

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6 コメント

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私も相撲は好きなほう (ノエルザブレイヴ)
2011-02-07 23:59:43
まあこれに限ったことではないのですが「普段その分野に興味のない人間に限って事が起こった時の厳罰要求にのみ熱心」という傾向が見られるのは正直どうかなと思うところではあります。

あと、本日発売の週刊誌のやたらとテンションの高い記事(そりゃそうでしょう「勝利した」と浮かれているのですから)を見ると何だかいたたまれなくなるところではあります。
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個人的には (コジン)
2011-02-08 09:02:37
八百長を許容できなくて相撲ファンと言えるのか!という気もしなくもないです(笑)(私自身は現在では相撲ファンではありませんが…)

いわゆる角界の不祥事と言われるものは大半が相撲界の封建的体質=伝統と関わりがあると思われるので、今後の対応については、伝統を守っていくのか、抜本的に改革するのかで、大きく考え方が分かれると思います。この対立を克服するのはおそらく不可能なので、おっしゃるように相撲協会も守旧派と改革派に分裂した方が面白いと思います。
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Unknown (ルーピー)
2011-02-08 23:53:54
厳罰要求の流れが相撲にまでおよび、今まで治外法権だったのが許容されなくなりました。
 パワハラや死亡事故はむしろ以前の方がひどかったのに、特にやくみつるなどは、今の相撲取りは最悪みたいなことを言いますね。
 稽古もろくにしないで小錦のカーボンコピーと八百長ばかりでおもしろくない、というのは当たってはいます。しかし、場所数多すぎで、ガチでやってたら持たないということには配慮するべきだと思います。ほかのスポーツに比べ、オフがなさ過ぎです。
 話は逸れますが、いわゆる世襲で親を超えた人は貴乃花しか思いつかないのですが、いかがでしょうか。
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Unknown (非国民通信管理人)
2011-02-09 00:03:27
>ノエルザブレイヴさん

 まぁ「罰することが正義」みたいな価値観が強いのでしょうね。治安悪化幻想も、「罰が足りない」みたいな思いから来ているところもあるのではないでしょうか。いずれにせよ、罰することばかりが重視されて問題は解決されないことが予想されますね。

>コジンさん

 ある意味、プロレスの台本がばれて不祥事だと大騒ぎしているようなものですからね。真の相撲ファンなら、公然の秘密には敢えて気づかないふりをして楽しむべきなのかも知れません。そんなに真剣勝負がみたいなら、もっとスポーツ化しないといけませんし……

>ルーピーさん

 後は栃東あたりでしょうか。政治家に比べると世襲は少なく見えますが、野球やサッカーと比べたらどうでしょうね。ともあれガチンコの格闘技であればせいぜい月に一試合が限度だったりするわけで、競技が違うとは言え年に75戦を本気でやったら体が持たないはず、その辺も合理化が必要なところでしょう。
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ちなみに私は若貴ブームで入った口 (ノエルザブレイヴ)
2011-02-09 20:39:08
今回の問題は今までのように「誰かに責任を押し付けて逃げる」という手がもはや通用しなくなっている点が大きいのではないでしょうか。リンチの場合は「殴った奴が悪い」、朝青龍の素行不良関係では「あいつが悪い」と言い逃れることが最悪できるシチュエーションではありました。
それにしても、朝青龍が去年の今頃たまりにたまった問題のツケを払わされる形で角界を去った時、特に古いファンはほっとしていたのではないかと想像しています。「ああ、これでやっと穏やかな日々が戻る」と。実際春過ぎまでは「大丈夫」な日々が続いていました。しかし今思えばそれは嵐の前の静けさに過ぎなかったのだなあ(遠い目)。ほんの20年前はあれほどのわが世の春を謳歌していたというのに。

あと、個人的に残念なのは偶然見た2008年の学生相撲選手権でベスト4に入った明月院という選手を「名前が面白いから」という理由で注目し(当時作っていたキャラの苗字に流用したほどです)、2010年にめでたく彼が学生横綱になったところを見届けさあ行くぞ!と思っていたところで場所が飛んだことです。
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Unknown (ルーピー)
2011-02-11 22:28:22
これら大相撲を揺るがせた問題を、かつて一人でやってしまったとされていたのが、桑田でしたね。八百長、野球賭博、素行不良などで非難されていました。。彼は、その時だったから野球を続けられたのでしょうが、現在だったら永久追放は免れなかったと思えます。
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