豪兵士モルモットにサリンの効果実験提案=米が60年代に(時事通信)
オーストラリアのテレビ局チャンネルナインは6日、1960年代に米国が豪当局に対し、豪軍部隊を使って猛毒のサリンを含む神経ガスの効果を調べる実験を提案したが、豪首相に拒否されていたと報じた。
同テレビの番組「サンデー」が機密を解かれた豪国防省の文書を基に伝えた。それによると、62年に当時のマクナマラ米国防長官が豪当局に書簡を送り、米・豪両軍による神経ガスの秘密合同実験の実施を要請。この中で米側は、ケアンズから600キロ以上北にある豪クイーンズランド州の熱帯雨林に非持続性神経ガスGB(サリン)、持続性神経ガスVXの爆弾を投下することを提案した。
計画では豪軍兵士約200人が参加してジャングル内での神経ガスの効果持続性が調べられることになっていたが、66年になって当時のホルト豪首相が実験を拒否したという。
ホルト首相のスタッフだったピーター・ベイリー氏は同テレビに対し、この計画は豪政府内で検討されたが、閣僚らは「米側の信頼を裏切れば、見捨てられる」と考え、実験を拒否して米国との関係が損なわれることを懸念していたと語り、「そんなことが実際にあったとは40年たっても驚きだが、本当にあったことなのだ」と話した。
何だこれは、たまげたなぁとしか言いようがありません。こういう手合いであれば、日本人を使って甚大な放射能を発生させる新型爆弾の効果を調べる実験を提案したしても不思議ではありませんね。
ちなみにこのニュース、国防省の文書が機密指定を解除されたことで明らかになったとか。アメリカでもそうですね、機密文書も一定の期間経過後は公開される制度になっているわけです(まぁ隠されている分がないとは言い切れませんが)。このアメリカ側の資料公開によって、日本に関わる機密が明るみに出ることもしばしばで、最近では朝鮮有事の密約(有事の際、米軍は日本側への事前協議不要だとか)がそうですね。
さて、密約を知るのは(当たり前ですが)密約を結んだ双方の国です。アメリカとオーストラリアの間で交わされた密約なら両国がそれを知り、日米間でで交わされた密約であれば日本とアメリカ双方がその内容を知るわけです。そこでアメリカとオーストラリア間の機密ですが、オーストラリア側の情報公開によって事態は明らかになりました。しかし、日米間の機密は? いつもそうです、それはアメリカ側の情報公開によって暴かれます。日本政府は自ら機密を明らかにするようなことはしません。
当時のオーストラリア閣僚は「米側の信頼を裏切れば、見捨てられる」と考え、実験を拒否して米国との関係が損なわれることを懸念していたそうです。それでもアメリカ側の要求を突っぱねたわけですが、翻って日本はどうでしょうか? 同じ様なことは、現在も尚考え続けられていますし、むしろ強まっていると言うべきかも知れません。「米側の信頼を裏切れば、見捨てられる」そう考えるばかりか、それを脅しに使ってアメリカ寄りの政策を必然に見せかける手口が幅を利かせているのではないでしょうか?
開戦当初の大義名分が事実無根の言いがかりに過ぎなかったことが明白になった今も、あたかもそれが不可欠であるかのように、米軍の後方支援が続けられています。私に言わせれば全くの無駄ですが、これを続けたがる人もいます。ありふれた理由付けの一つは「国際貢献」(現地住民にすら望まれていないのに?)ですが、もう一つよくあるのが「米側の信頼を裏切れば、見捨てられる」というもの。しかるにこの「見捨てられる」と語られるとき、その可能性を懸念していると言うよりも、その可能性をちらつかせることで反対派を黙らせようとする意図が見え隠れするのは気のせいでしょうか? オーストラリアの場合とは共通点があるようでありながら、それでいて色々な点で反対方向を向いているようです。
だいたいアメリカは、核実験をやった後、そこに兵士を出動させるとか、昔はむちゃくちゃなことをやっていましたから、こんな程度のことはお茶の子さいさいかもしれませんけどね。
私はアメリカは、いつだって日本を見捨てると考えていますが、こんなお馬鹿な手口を本気にしちゃう人もいるのですよね。まあ、この間のNHKの介入問題といい何といい、頭の悪い人をだますネタには世の中不足しません。困ったことです。しかし中には、安倍みたいに、本気でアメリカは日本を見捨てないと考えている(いた)馬鹿首相もいますから、笑ってばかりもいられませんが。
端的に言ってしまえば、アメリカは日本なんてどうとも思っていないわけですよね。自分に不都合になればいつでも見捨てる用意はあるでしょう。それでもアメリカの機嫌を損ねないように努めなければならないと本気で信じている人がいる、国際情勢もさることながら、日本の場合は国内事情も足を引っ張りそうです。
まあ、国家関係を考える際の普通の意見ですなあ。
上のコメント欄ででてる「いつだって日本を見捨てると考えています」がどうしたというの。
そうだから信頼するもされるも無いのだというなら、そりゃ幼児の考えでしょ。
>しかるにこの「見捨てられる」と語られるとき、その可能性を懸念していると言うよりも、その可能性をちらつかせることで反対派を黙らせようとする意図が見え隠れするのは気のせいでしょうか?
同様の傾向はオーストラリア内部にもあるんじゃないの。
じゃぁ何ですか、ひたすらアメリカ様に付いていけば見捨てられずに済むとでも思ってるんですかね? だとしたら夢見がちな二世政治家と同じですね。見捨てられる可能性を論じつつも米軍の要求を拒否したオーストラリアと盲従を続ける日本を「同様の傾向」だと思えるなら、頭でも診てもらった方がいいんじゃないですか?
>貝枝五郎さん
そりゃアメリカと戦争でもする気ならそうかもしれませんが、向こうだってビジネスパートナーと前線基地を失うような事態は避けたいわけで、国力差を基準にするのはどうかとも思います。ま、本来の外交は妥協して落としどころを探っていくものでしょうけれど、それは一方だけが折れるものではありませんし。