非国民通信

ノーモア・コイズミ

選挙の感想です

2009-08-31 22:39:57 | 編集雑記・小ネタ

民主 115 → 308  社民  7 →  7  国民新 4 → 3
自民 300 → 119  公明 31 → 21  みんな 4 → 5
共産   9 →   9

 皆様すでにご存じのことと思いますが、選挙の結果はこうなりました。左側が公示前、右側が選挙後の数値です。共産も社民も数だけ見れば現状維持、前回の参議院選のような敗北だけはなんとか免れたといったところでしょうか。しかるに社民党は東京の比例で1議席もとれず保坂展人議員が落選する等、個々の顔ぶれを見れば何かと残念な結果でもあります。

 自民党は、意外に健闘したのかも知れません。あの体たらくでありながら、公示前の民主党と同レベルの議席を取れただけでも大したものです。とはいえ民主党との対決となった選挙区では連戦連敗、小選挙区で自民が勝ったのは民主党が候補を立てず、社民党や国民新党の候補が相手となった選挙区ばかり、そんな印象も受けます。とりわけ国民新党は綿貫民輔代表、亀井久興幹事長が落選するなど大苦戦、どうやら「非自民」であるだけでは支持が集まらないようです。

 自民党vs(民主党の支援を受けた)社民党の対決となった選挙区でも、自民党に軍配があがることが多かった、しかも社民党候補の票と共産党候補の票を合算してさえ、自民党候補の票が上回るケースが目立ちました。これが自民党vs民主党であれば民主候補の圧勝が大半であっただけに、随分な違いです。「自民党ではもうダメだ」という票は民主党にまでは流れるけれど、社民や共産、国民新党辺りには必ずしも流れてこない、そういうものなのかも知れません。

 ……で、社民や国民新党の候補が相手であれば対立候補が民主党のバックアップを受けていようと互角以上の戦いを見せた自民党ですが、民主党との対決はまさに惨敗でした。稲田朋美などのロクデナシがしぶとく当選する一方で、結構な数のビッグネームの落選が相次ぎました。かろうじて当選を果たしたとはいえ、福田康夫など一時は落選の報道が流される有様です。本気で民主党が対立候補を潰しにかかれば何でもできそうな、まさに破竹の勢いだったわけですが、民主党候補を足下にも寄せ付けず、民主党候補にダブルスコアで完勝した自民党議員が一人だけいました――安 倍 晋 三です。う~ん、今さら安倍に何かができるとは思えませんが、ここは叩いておいて欲しかったところ。

 ちなみに、わずか1議席ですが みんなの党が議席を増やしました。逆に国民新党は1議席を減らしました。小さな変化ではありますが、ある意味では象徴的なものなのかも知れません。つまり自民党の中でも「古い」部分を濃厚に受け継ぐ保守系の国民新党が後退し、自民党の「新しい」部分が最も先鋭化したカイカク系の みんなの党が前進したわけです。自民党が否定されているのは確かなのでしょうけれど、それはむしろ小泉以前の「古い」部分こそが強く否定されているのであって、小泉以降の「新しい」部分は今なお支持があることを意味しているのではないでしょうか。

 そしてこれからは民主党の天下です。民主党への票は政権交代を期待してのものであって、決して民主党を全面的に肯定してのものではないでしょう。しかし改革の是非を問う形で票を集め、その後は白紙委任状を受け取ったかのように振る舞った小泉政権と同様、民主党もあらゆる面で「国民の支持」を後ろ盾にしていくはずです。民主党の掲げてきた「建前」は、意外なほど自民党とは距離のあるものに見えるかも知れません。しかるに民主党がこれまで関わってきた議決や言動を見るに、民主党の本心はもっと別のところにあるのではないかという気もします。これからはどっち?

 今までは野党であり、自民党と対決するという関係上、自民党が右を向いたときには反対に左を向く、そういう動機があったでしょう。しかしこれからは与党です。自民党の動向を窺う必要はありません。イニシアティヴは民主党にあります。右へ右へと突き進む自民党に対抗するという必然性はもはやなく、まず民主党の信じるところが現れてくるわけです。選挙の洗礼を経て、極右系議員が落選、「まともな」議員ばかりが議席を得ているのならまだ安心できますが、今回の圧勝の結果として民主党候補は猫も杓子も当選してしまいました。まともな議員も当選する一方で、歴史修正主義者やネオリベ論者も改憲派も当選、国会に押し寄せてくるわけです。

 何かと似ている前回選挙を経て「官から民へ」の流れが強行されました。今回選挙の結果はどうなるでしょう、「脱官僚/政治主導」と鳩山は連呼しています。「官」を悪者に見立てて、それに対抗する自分たちをヒーローのごとく見せかけようとする、そうした政治手法は忠実に継承されています。麻生政権下では頓挫してしまった構造改革路線が、再びネジを巻き直されたのかも知れません。そして300議席という安定多数を与えてしまった以上、それに対抗するのは極めて厳しい状況にあります。選挙前は春を待つ冬のような気分でいられましたが……

 

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12 コメント

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安寧としてる暇は無し (ふみたけ)
2009-08-31 23:13:02
楽観的意見を語ると、仮に連立政権が発足したとしても、来夏の参院戦で「逆ねじれ状況」を作られたら元も子ありませんので、是が非でも具体的な成果を挙げなければいけません。
これで奢るようならホントの馬鹿(失礼)ですが、さすがに民主もそこまで愚かでないでしょう、実にいい先例を目の当たりにしてるだけにね。(苦笑)
恐らく具体的実績として育児手当、高速道路永久的無料化、就業訓練含めた雇用対策を重点項目として実施していくと考えます。
既にマスメディアも報じていますが、まず今年度補正ならびに来年度の予算編成に於いて混乱無く取り纏められるかが鍵となるでしょう。
鍵となるのはズバリ「実行力」、それが空手形と揶揄される実態が生じようモノなら文字通り細川連立政権の二の舞となりかねません。
主義主張から離れての話として、もはや異常極まる事態(さすがに自民の河野太郎は認めたようですが)である年金を始めとする社会保障、さらに雇用はもはや立場の違いを超え早急に国家レベルで解決すべき課題ですから、連立与党のみならず共産も絡んでより良い方向で苦難に貧している様々な人達の助けとなる政策が実行される事を望みます。
どうも民主圧勝に祝杯ムードが過ぎる人が一部で散見出来るのですが、まだ事態は好転するとは誰も保障出来ない状況です。まぁKYが過ぎた自民憎しが成就して喜ばしいとする人がいるかもしれませんが、事態はそう単純で無い事実は重く受け止めないと、漏れなく床屋聖談的な政局好きと揶揄されちゃいますからね。(笑)
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またまた (コンポコ)
2009-09-01 00:30:38
広告代理店の世論誘導にまんまと乗せられたような結果でしたね。
マスコミを掌握し、意のままに操っている二大広告代理店(電通と博報堂)と癒着してる自民と民主以外の政党はまともに宣伝させてもらえなかったように思えます。
広告代理店からすれば、4年前同様に、マスコミをうまく操れば、簡単に世論誘導できるとまた味をしめてしまったと思います。
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よその国なら (介護員)
2009-09-01 07:26:04
変な議員が、当選したら

裏がある?やり直しだ~て暴動起きるかな?過激発言でしょうか?俺は?
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Unknown (ポニョ)
2009-09-01 10:22:19
 数の上では民主が圧勝し、社民や国民新党などと連立すれば議席の3分の2すらも確保でき、参議院との「ねじれ」も解消されたわけですが、今回の民主バカ勝ちはとても政治的安定をもたらすものには思えません。
むしろ「混沌」の始まりのような気がします。理由としては、アカデミックなお坊ちゃん宇宙人である鳩山には小泉のようなカリスマがないこと、新人候補(小沢チルドレン)の大量当選による小沢の党内での影響力、右から左までイデオロギーの違う寄合という民主党自体の性質です。
もともとポピュリズム党なので、マスコミの論調や世論には殊更敏感に反応するでしょうから、政策決定も世論の風向きにより節操なくコロコロ変わるのではないかと思います。
 小泉政権の悪いところは踏襲して「官僚支配打破」を掲げ、本来、政治の暴走を止める監視抑制装置でもある官僚の権限を弱め、いわばブレーキの利かない車で幹線道路をジグザグに暴走するようなことをされてはたまりません。
 はたして無軌道に迷走する車の中で同乗者同士の意思統一や結束なんかあるのかな?
車外に放り出される人、嫌になって自分から降りる人・・・いろいろ出てくるのでは?
 さしあたって、来年度の概算や今年度の補正予算がどうなるのか見物だと思います。
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Unknown (非国民通信管理人)
2009-09-01 22:53:46
>ふみたけさん

 でもその「成果」を判断する基準にも不安が尽きなかったりします。小泉改革の「成果」が評価されるまでに要した時間を考えると、国民に仇をなす政策であっても短期的には人気に繋がりますから、その「人気取り」に民主党が傾斜する可能性も高いのではないかと。反対に、必要な政策であっても国民の支持があるわけではないものが多いですし。

>コンポコさん

 まぁ視聴者の側にも、広告宣伝を受け入れる下地があったということなのでしょう。有権者達が目を向ける範囲を広げないと、結局は二大政党の思うがままです。

>介護員さん

 よその国では暴動もありますが――日本だけは特殊かも知れませんね。むしろ変な議員ほど擁護されるくらいですから。

>ポニョさん

 二大政党制は政治的安定が~とも言われますが、100議席が300議席へ、300議席が100議席へと、ここまで振れ幅が大きいとなると安定など望めそうにないですよね。ブームに乗って登場しただけの1年生議員が多数を占める中で本当に政権運営能力を発揮できるのかどうか、それは自民党が証明してくれたわけですし。でも、そうしたチルドレン達が政治を振り回す、押しとどめようとする官僚達は抵抗勢力として悪玉扱いされるのでしょう……
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名前が受けたのではと (kaesar)
2009-09-02 00:04:44
みんなの党が小泉的な改革を感じさせたために支持を受けたとの分析は鋭いと思います。ところで別の理由を思いつきました。

みんなの党は比例区で名簿人数不足でなんと2名を損しています。もし当選していたら比例だけで5名、合計7名。比例5名は社民の4名をしのぎます。(全国展開もしていないのに)この理由は、「みんなの党」という名前が受けたのではないか。昔ある銀行がトマト銀行と改名しただけで預金が倍に増えたとか言う話がありました。投票用紙に自民や民主とか書くより「みんな」とひらがなで書きやすかったのではないかと。
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政権交代はしたけれど・・・ (ニュースコープ)
2009-09-02 18:29:39
お久しぶりです。
行きつけの2chのスレでは、「民主党は小沢代表の就任以降、ドブ板戦術でみっちり足腰を鍛えたことが今回の勝利につながった」との意見が大勢で、まぁその点は特に私も異論はありませんが、「軟弱な『文化系サークル』のようだった今までと違い、筋肉質で立派な『体育会系』政党になった今の民主党は違うなぁ。やっぱり政治というものはこうでなくっちゃ」などという意見を聞くと、「オイオイ、それはちょっと待ってくれよ」と言いたくもなります。
ドブ板戦術を否定するつもりもありませんが、「ほな何かい、俺のような軟弱者や『文化系サークル』のような政党は、政治家になったり政治に参加する資格がない、とでも言うんかい」とも言いたくなってしまいます。
自公政権の崩壊は確かに喜ばしいことではあるのですが、結果として体育会的精神論に代表される「古い日本」的なものが、時代にそぐわないものまで無条件に全肯定され、そのまま維持されてしまうのはどうなんだ、と思いますと、私は今一つ現在の民主党を全肯定することはできないんですよねぇ・・・。

ちなみにそのスレ、基本的に反自公で政権交代が基本理念ではありますが、「民主党小沢派&彼が継いだ古い自民党」こそが絶対で、それに反発したり異を唱えるものは許さない(社民党や一部の左派文化人に対する罵倒は見ていて目に余るものがあります)、という空気になってしまっています。
正に上記の理由で、民主党よりも『文化系サークル』的な社民党や左派文化人に共鳴することの多い私としては、何とも割り切れぬ思いです・・・。
まとまりのない文で申し訳ありません。
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Unknown (非国民通信管理人)
2009-09-02 22:35:13
>kaesarさん

 そう言えば立候補者も、自身の名前を平仮名表記にする人が多いですよね。政治家の家系は、選挙のことまで考えてシンプルな名前(一郎とか太郎とか)を子どもに付けると聞きますし。ともすると馬鹿馬鹿しく見えますが、平仮名表記にしたりといった「小細工」の効能は意外に大きいのかも知れません……

>ニュースコープさん

 ただ、小泉以降のカイカク路線に比べれば「古い自民党」路線は遙かに「マシ」だと思うのですよ。そして麻生内閣よりもカイカク路線に忠実な民主党にあって、「古い自民党」的なエッセンスを注入できる小沢は貴重な役割ではないかと。「古い日本」的なものは決して理想的ではありませんが、来たる鳩山内閣が継続するであろう「小泉以降の日本」に比べれば、まだ救いのあるように思います。
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監視をするか逆ギレに走るか (ヒイロ)
2009-09-02 23:22:31
するべきこと、しなくても良いことの監視をする政権が始まりました。

「可視化」と「考えること」をキーワードにして話を進めたいと思います。

官僚に対しては、きちんと仕事をさせることと、国民の奉仕者であることを徹底させてほしいです。
情報や仕事の内容は可能な限り可視化を義務づけることは当然ですが、情報を隠したり、デタラメなことをさせないことをさせるのは論外です。
天下りは禁止にして、自分で再就職先を見つける方向であればと思います。この辺りは、「理由の善し悪しはともかく、必要とされれば声がかかる」という私なりの考えに基づいています。どこかの企業に役員待遇で雇われなくても、政治家になるなり、言論活動に励むこともありです。
国民が官僚批判をすることは、「仕事をしないこと」、「情報を隠すこと」に絞った方が良いかもしれません。それ以外はよく考えてからの方が良いでしょう。

議員定数の削減は勘弁です。中選挙区制か完全比例代表制にして700人位にすることを希望しています。
国会の閉会中は、どんどん自分や他の議員がいる選挙区に行って街頭演説をしたり、懇談会の類をしてくれればと思います。
国政がどうなっているのか、政党として個人としてどうしたいのかを知るべき立場に国民はありますから。
衛星放送だ、ユーチューブを見ろ、ではあんまりな気がします。

世襲議員は「甘やかすな。ダメなら議員の周囲や有権者が辞めさせろ」というだけです。これは、たたき上げの議員でも同じです。

高速道路の無料化は、どうでもいいかなという気持ちです。無料化を望む方々の考えは否定していません、念のため。
90年代から話は出ていて期待はしていたのですが、厳しいかなという気がしています。どこかの知事みたいにやりたがりがいることもありますが。

外国人参政権は、他国の対応や問題点の提示がなされていません。韓国との場合で選挙権の二重付与が気になっています。
そういったことがあり、宙に浮く形になると思います。

民主党政権に対して監視よりも潰すことに躍起になる動きが激しくなりそうです。
鳩山とか岡田もそうですが、小沢をねらい打ちにする可能性が高いです。
興石も日教組とのことがありますが、言いがかりに近い面があります。




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Unknown (非国民通信管理人)
2009-09-02 23:39:46
>ヒイロさん

 その官僚批判にしても「仕事をしないこと」に関しては単に国民の無理解――というより偏見による部分が大きいと思いますし、そして「情報を隠すこと」に関しては、それが政府の意を受けてのことなのかどうかも問われるべきだと思います。実際は政府の意向を受けて、それに忠実に行動しただけなのに、なぜか官僚だけが悪玉になるのが現状ですから。政府の指示に従っても、責任を問われるのは官僚――トカゲのしっぽ切りのごとく、主導した政治を免責するのが官僚叩きの大半を占めているだけに、官僚の「批判すべき点」以上に「官僚叩きの弊害」を知ることこそが重要ではないでしょうか。
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