国連が18日、死刑の執行停止を求める総会決議を初めて採択した。「世論の高い支持」を理由に死刑制度を存続している日本は、今年は年間で77年以降最多となる9人の死刑を執行するなど、世界の潮流とは逆行。国際的な孤立を深めている。
「世論には死刑制度や死刑執行にかなりの支持がある。国連の決議があっても我が国の死刑制度を拘束するものでは、まったくない」。決議を前にした18日の閣議後の記者会見で、鳩山法相は語気を強めた。「死刑を存続するかしないかは内政の問題だ」という政府の立場を改めて強調するものだ。
米艦隊への給油活動に関しては「国際社会からの孤立」を口実に継続の必要性を主張する日本政府ですが、今回のような国際社会からの孤立に関しては孤立上等の立場をとるのでしょうか。日米同盟の枠組みの中に引き籠もり、外の世界に目を向けない人から見れば気にはならないのかも知れませんが、日本が殻に閉じこもっている間にも世界は着々と進んでゆきます。
日本政府が反対の理由に掲げた「世論の高い支持」が事実である以上、政府だけを責めるわけにも行きません。訳の分からない死刑信仰(何の根拠もないのに死刑が凶悪犯罪の抑止に効果があると信じるなど)や、僅かでも非を見つければ自分とは無関係でも積極的に罰しようある種の嗜虐趣味、非のある相手には何をしても許される――法の定めるところを無視した刑罰や私的な刑罰が許される――と考えるような不公正さ、こうした愚かしさを自覚せず、自らを正義と信じる幼稚さと傲慢さ、こうしたものを国民が抱えているということなのでしょう。未成熟な政府を生み出したのは国民なのですから。
昔から、日本が国際社会の非難を浴びることはありました。ただその非難を浴びる決断を下した理由が、過去の日本のそれとは大きく異なっています。つまり、南アフリカやインドネシアなど、当時は非人道的な国内政策を続けていた国家との関係によって日本が国際的な非難を浴びたとき等は、その非難を浴びてもなお関係を維持するに足るだけのメリットがあったからで、ある意味ではバランス感覚を感じさせる打算と決断があったわけです。逆に今はどうでしょうか? 北朝鮮問題や従軍慰安婦問題、米軍の中東侵略への荷担や死刑制度の問題で日本は孤立を深めているわけですが、そこには国際的な孤立によるマイナスを補うだけのメリットが、何か一つでもあるのでしょうか?
私にはこの日本政府のメンヘル外交が道義的に正しい要素を僅かなりとも含むとはとうてい思えないわけですが、この日本外交を支持する人にとっては、道義的な正しさ、イデオロジカルな共感こそが支持できる根拠となっているようです。この辺りは深入りするつもりはありませんが、一方でほとんど意見が分かれないものもあります。つまり、道義的なものではなく功利の面です。日本の外交が日本に何らかの利をもたらすかどうか、この辺はあまり意見が分かれないのではないでしょうか。政府のスポンサーである経団連にしても、感情的に国際社会に反発する、日本外交を支持する人はいるにせよ、利を計るが故にアジア蔑視の外交姿勢には必ずしも賛同しておらず、むしろ積極的な関係拡大を働きかけている節もあります。
日本の外交姿勢が道義的に正しいか正しくないか、その辺の意見を統一するのは無理でしょうから保留するとして、ではその外交姿勢が日本に利をもたらすのか、それとも損を与えるのか、そっちを考えてみる必要があるはずです。それが打算であっても結構ですから、国際社会からの孤立を深めるような愚かしい政策はいい加減にして欲しいところ、日米同盟だけで世界が成り立っているという幻想もさっさと捨て去って欲しいものです。
中国やインドネシアなどは現在まさに『利益』に従う段階で、賄賂さえ贈っておけばなんでもしてくれます。(文化大革命などは『理屈』が自然の利に勝った時期なのかもしれませんけれど、利益を求める国民の前に粉砕されましたね)
日本は戦前の段階でもう少し進んで自分の理屈を振り回す段階になったのですが、自分勝手な理屈は太平洋戦争で破壊され、再び利益主導の世の中になりました。
平成の今はまた少し『理屈』が出てきた段階なのだと思います。
一足飛びに『利益』から『倫理』に飛ぶことはたぶんできないのだろうと思います。
あの欧州にしても二度の世界大戦という既存の価値観の崩壊を経てやっと倫理的な国家と欧州共同体という政治的枠組みとを得たのですから。
しかし中途半端な理屈は扱いに困ることも確かです。
今現在『論理的かつ倫理的』な段階に到達していない人間は、半端な理屈など棄てて利益だけに生きる『馬鹿』に戻ったほうが幸せなのかもしれません。
例えば例の米国の新聞に載せた馬鹿広告「THE FACT」なんて、けっきょく自分たちや安倍の首をしめた(まあ、安倍も関与していたわけですけど)だけなんですけど、そんなことすら予想せず(あるいはしても突き進む)自滅して、大ひんしゅくを買います。
従軍慰安婦問題にしても南京事件にしても、藤岡某や稲田某、櫻井某その他が騒げば騒ぐほど、日本の国益に重大な損失を与えるわけですが、連中にとっては彼らの脳内にある架空の日本の姿に固執することが、国益などよりもはるかに大事なのでしょう。
もっとも安倍のような札付きの歴史修正主義者が首相になるくらいの国ですから、こんなことは何ら驚くには値しないのではあります。
耳が痛いところです。
この問題に関しては、解決するのに相当時間を必要とする可能性が高いだけに尚更ですね・・・。
あるいは、資本主義の段階を経ずに一足飛びに共産主義に移行したソ連のように、日本も段階を経ずにいきなり「倫理」に移行したとも言えそうです。その段階を経ずに強引に移行したが故に、掲げる倫理も形骸化した、傍目には破綻した代物で国際社会からは白眼視、そんなところでしょうかね。
>Bill McCrearyさん
財界人は概ね、嫌な奴ではあっても馬鹿な奴ではないですから。ところが今の政界のトップとなると、何とも手の施しようがありませんね。昔の汚いが利はとっていたはずの自民党が今となっては随分とマシなものに見えてしまう、どうしようもありません。
>flagburnerさん
ただ上のクビをすげ替えるのではなく、国民が変わらないといけない、常々そう思うわけです。とは言え、こちらは上のクビをすげ替える以上に遠大な計画、これぞという方策があるものではありませんし、難しいものです。