郵便不正事件 「政治案件」無視できず 追い込まれたノンキャリ上村容疑者(産経新聞)
民主党国会議員の口利きがあり、厚労省内で「政治案件」として扱われた障害者団体「凛(りん)の会」の証明書発行。今回の事件では、この“腫れ物”のような案件をめぐり、法案の処理などで政治家の口利きを断れないキャリア官僚と、キャリアに追い込まれるノンキャリア職員という構図も浮かび上がる。
証明書発行に絡む省内の指示は、当時の厚労省障害保健福祉部長(57)から始まった。「国会議員から電話がかかってきた。うまくやってくれ」
鳩山兄などの語るところに拠れば、日本の政治は官僚に支配されているらしいのですが、産経新聞によるとキャリア官僚でさえも政治家の口利きを断れないそうです。産経新聞ほどはっきりと書いているわけではないにせよ、他紙も同様に「政治家」の圧力の存在を伝えています。そりゃそうでしょうね、本当に官僚が「支配」しているのなら小泉改革だって「抵抗勢力」がきっちりブレーキをかけてくれたはず、そうならないのは官僚が政治家に引きずられる、そういう力関係だからでしょう。そこで今回の事件、やっぱり政治家の力は強くて、その圧力に屈したり媚びを売ったり、そういうケースが多々あるのかもしれません。
郵便不正「障害者新法、議員へ根回しのため」…元部長供述(読売新聞)
自称障害者団体「 凛 ( りん ) の会」(解散)のために厚生労働省の偽の障害者団体証明書が作成された事件で、逮捕された雇用均等・児童家庭局長(16日付で大臣官房付)、村木厚子容疑者(53)の上司だった当時の同省障害保健福祉部長(57)(退職)や部下だった同部企画課係長、上村勉容疑者(39)が大阪地検特捜部の調べに対し、「法案賛成に期待した」「法案の根回しのため国会議員への対処が必要だった」などと供述していることがわかった。
(中略)
ある障害者団体の幹部は「不正が行われたのはちょうど、障害者自立支援法の制度設計の最初の時期」と指摘。福祉行政に詳しい国会議員の一人も「法案に反対されないよう、国会議員にパイプのある団体の要求を断れなかったのではないか」とみる。
捜査関係者は「将来的に法案を成立させ、今後新たな障害者政策を推し進めるためにも、国会議員との関係をつないでおきたかったのではないか」とみている。
本当に官僚が「支配」しているのなら、そんな姑息な手で国会議員のご機嫌を取る必要もないのでしょうけれど、少なくとも現場の官僚達の感覚としては色々と根回ししておかないと通用しないもののようです。マスコミ報道で頻繁に使われる「政府筋」のごとく、いったい誰のことだかよくわからない「国会議員」の正体は定かではありませんが、これが本当に議員による圧力であれ、単なる議員の名を騙ったハッタリであれ、官僚は議員の力で安易に道を踏み外す傾向があることを示唆しています。こういう関係は、好ましくないですよね?
現実問題として、民間企業でも上からの指示は絶対です。法に違反する行為と知りながら、上からの要求を拒めず、命じられるがままに行動する、違法状態を黙認する、よくあることです。建前としては「会社が法に触れる行為を指示することはない」となっていたりするものですが、実態は甚だ疑わしいわけです。例えば会社の指示で不正な利益供与を行う、民間企業では決して珍しいことではありませんが、これが「官」の世界で行われると今回の郵便不正事件のような結果になるのでしょう。
こういうケースを未然に防ぐためには、何が必要なのでしょうか? 「上」の命令に盲目的に従うのではなく、従業員が己の意思を持ち、不当な命令を拒否できること、それによって不利益を被らないこと、内部告発を可能にすること等々、そうした環境作りが必要です。それはもちろん簡単なことではなく、まともに実現できている民間企業がどれだけ存在するかも怪しいところですが、果たして官僚機構の場合はどうでしょう? 私はむしろ、「官」の世界にこそ率先して見本を見せてもらいたいです。特定団体への不正な利益供与を議員が持ちかけてきたならば、速やかに外部に告発するような官僚組織の方が健全だと思いますね。それは世論の求めているところに逆行しているかもしれませんが、「政治を官僚の手から国民(の支持を得た自分)の手に取り戻せ」などと恫喝されようとも、不当な要求には毅然として屈しない、むしろ自立性を持った組織であるべきではないかと。
確かにそれでも「情報漏えい」にはなるかもしれませんが、表立っての処分は出来にくい=外にさらさなければならなくなる=し、やったとしても妙な指示を出した上司もタダではすまなく「もろとも」でしょう。 もし、対応しない役立たず組合だったら、それで本でもものしたら良いかとw。(内部通報とマスコミへの「情報漏えい」を二の矢として撃つのは当然として)
何にしても、日本の組合組織率は2割にも足りない惨状のうえ、かなりの部分は使用者からの独立が弱いのが何より問題ではありますが。
しかもその組合にしたところで、国民からは目の敵にされていますから。「国民」が望んでいるのは組合もなく、何でも政治家の言うなりに動く官僚のようですから。自浄作用なんてますます、期待できなくなるでしょうね。
民間企業でも、不祥事が発生したときに、お偉い方々からよく聞くフレーズではあります。
この調子で、大元の政治家まで到達できるのか心配です。
ただし、オリジナルの事件事態は、郵便法違反で罰金30万円以内とかいうものだったので、検察はかなり躍起になって事件を拡大しているようにも見えます。有印公文書偽造・同行使(だったかな)となると罪も重くなる、政治家に到達すれば受託収賄とかも考えられるのでしょうか。
本当に次官候補だったのかどうかは知りませんが、女性局長ですから、結構な昇進でしょう(世代的には雇用機会均等法以前の入省です)。このクラスの役職者にもなれば、「怪しげな案件を宜しく処理するように」という能力も要求されるのが実態でしょう(民間でも似たようなものですから)。まさに、局長はこのマッチョな文化に順応していたのでしょうか。
こういうときのための内部告発・リーニエンシープログラムだと思いますが、いまだ機能せずですね。
ただし、いずれにしろ、これらすべて検察ソースの報道ですから、全くのでっち上げとは言いませんが、結局、公判維持が難しいということで、竜頭蛇尾に終わるような気もします。
またしても、官僚がスケープゴートに使われた……
そもそも、上の命令で、と言うこと自体、幼稚じみたバカなことじゃない?立場も何もなく突っぱねるほどの「サムライ」は、少なくとも今の日本にはいないわけだな。
全体の奉仕者である公務員は、一部の首長や為政者の家来でもなんでもないわけで、当然違法な要求やグレーゾーンに位置する配慮などに対して、それに抗しても法律や公平性に則って事務執行を行う事が求められているわけですが、昨今の風潮では、その制度設計の思想から高度な独立性を求められる教育委員会等の独立行政委員会でさえも、予算や人事を盾に取った恫喝まがいの指揮命令が行われ、それを正義の味方が悪を懲らしめるドラマを見ているかのように世間が拍手喝采で迎えていることを忘れているんでしょうか。
もちろん委員会を始めとするアンタッチャブルな組織が様々な面で不具合が出る可能性は十分にあるわけですが、そこは為政者が意思を反映できるところと公務員が対抗できるところとのバランス感が大切と言う事でしょう。当然のことながら世間は、政治家によるワンフレーズ的なコメントや相手側を単純に抵抗勢力・敵扱いとするマスコミコメントなどに簡単に振り回されずに双方の言い分を理性的に判断する理性や知性が求められるわけですが。
そういう意味で現状は、景気が悪いのも仕事が無いのも皆ユダヤのせいとマスコミを駆使して扇動し、それを何も考えずに拍手喝采で迎え入れたかつての独裁国家の国民と大差無いとさえ感じてしまいます。
議員、首長を始めとする特別職公務員は全体の奉仕者としての制限は基本的に求められていません。一方で一般職の公務員は身分保障、制度保障の代償に全体の奉仕者としての各種制限を遵守しなければなりません。
今日まで、マスコミや世間が求めた事は公務員の身分保障を既得権益として切り崩し、為政者に絶対服従する公務員像でした。その結末として政治家が本意にする一部の者に対する奉仕を行ってしまうのも当然の帰結と言えるでしょう。まさに共産党幹部に対して特別扱いする中国の公務員の様なものです。
歯向かう者には人事や予算などの制裁が待っていたのかもしれないし、そういう政治手法を容認したのも国民自身だったりします。だったら国民全体を見ずに一部の奉仕者になる危険性を秘めた政治家に盲従する公務員を求めた国民の「自己責任」はこれからも続くでしょう。少なくとも何のメリットも無い国民に対しては全体の奉仕者として誠意を尽くす義理もなくなるわけですから。
部下のせい、現場のせいにする典型的な言い逃れですね。これが民間企業の場合であれば「トップの責任逃れだ!」ともなりやすいのですが、「官」の世界ですと微妙ですね。舛添の例からも明らかなように、「官僚/公務員が悪い」ということにしておけばトップは許される傾向が強いですから。これなら政治家は楽なものです。
>y-burnさん
お久しぶりです。見ないうちにすっかり立派なネトウヨとなられたようで。阿久根市長のような男芸者と一緒に、せいぜい公務員の陰口でも叩いていらっしゃたらいかがでしょうか。気に入らないことはみんな公務員のせい、そうやって悪態を吐いていればご満悦なんでしょ?
>さらさん
端的に言うなら「悪役」なんでしょう。その手の人の頭の中では、その非難の対象や方向性がどうあろうとも、要するに悪いのは「官僚/公務員」と、犯人だけは最初から決まっているようですし。ユダヤ陰謀論の旗手であるリチャード・コシミズを勧める市長が再選を果たすような御時世、自民党政権の打倒は現実味を帯びてきましたが、逆にこの「党派を超えた」ポピュリズムの脅威は拡大するばかりのような気がします。
やはり、市長の言ってることが詭弁なようです。実際には、交付税と補助金の収入割合の方が大きいのに、市の独自税収のみを取り上げて論じると言うインチキですね。
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2009/06/617-9f26.html
●竹原市長は市の税収の大半を市職員の給料になってしまう、と言うが、阿久根市のような高収益産業もなく高齢化に苦しむ自治体は、自主財源は少ししかない。阿久根市の決算カードを見れば、市民が納める税金は収入の20%程度しかないことがわかる。半分以上が国からの交付税や補助金である。仕方がないのである。
普通、自治体の職員給与は全予算の2割程度だから、突出しているとは言えない。阿久根は税金を市職員が持っていっているというよりも、税収が少ないだけの問題である。少ない分他の自治体より地方交付税をもらっている。
公務員(非現業職)にも争議権・団体交渉権(厳密には労働協約締結権というべき? 「話し合いをして労使意見表明しあう」ことは認められているので。)は認められていませんが、労働組合を結成する権利は認められています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E4%B8%89%E6%A8%A9
別の話になりますが、民間企業であれ行政であれ、どんな立派な内部通報制度を作っても労働組合という経営者・使用者の指揮命令権力に対抗する力を持たないならば、その制度の有効性は大いに減殺されるものと考えています。(個人1人がどんな立派な心がけなり良心を持っていようと、「砂のようにバラバラ」な個人を追放するくらいは経営者にとってはものすごく簡単です。)
色々とカラクリがあるんですよね。勤務形態の違いや、勤務年数の違い等々。しかしまぁ、阿久根市の財源のうち、市民が納める税金は僅かに20%ですか。ここで竹原市の論法を当て嵌めるなら、他の自治体で支払われた税金で阿久根市が養われているようなもの・・・となってしまいそうですね。
>焚火派GALゲー戦線さん
まぁなんですか、その筋の人からすれば、公務員には労組を結成する権利どころか基本的人権すらないみたいですから。たぶん、黒人奴隷を見るような目で公務員を見ているのでしょう。
私の実家の市も、行政の「不正」「怠慢」がしばしば取り上げられ、テレビに出たこともあります。
しかし、メディアでは、その不正の背後に地方議員の干渉があることはあまり触れられないです。
たとえば生活保護の不正受給、市役所や外郭団体のコネ人事に市議・県議の圧力が加わっていること、
度重なる服務規程違反でも免職にならない市役所職員はある議員の関係者であり、本人もそのことを吹聴していたこと、
もちろん市長もその利権分配の一員であり、市役所の職員労組も不当な干渉を非難するどころか、
自ら議員を送り込んで与党会派に加わることで不正の仲介にも加わっていたこと
こんな状況では、公務員の質の向上やら自浄努力なんていっても、無理な話です。役所だけをきれいになんてできません。
しかし、通り一遍のメディア報道だけでは「やっぱり公務員の閉鎖性、お役所仕事が・・・」という話で終わることが多いです。
「官僚支配をぶっ壊」しても、政治家と業界・財界との癒着がなくならなければ
ますます「公僕」なんていなくなると思います。