この頃は「水素水」が一部で流行っているようで、いかがわしい業者ばかりではなく名の知れた一流メーカーも参入するようになったわけですが、どうしたものでしょうね。まぁ元より世界に冠たる日本の家電メーカーなども挙ってマイナスイオングッズに群がっていたりしたくらいですから、日本企業の見識とはそういうものなのかも知れません。
かくいう私も家電量販店でバイトしていた頃は、効果がないと知りつつマイナスイオン製品を売り込んでいたことがあります。お客さんへ「こんなの完全にデマ、オカルト商法ですよ」みたいに説明しておけば誠実な振る舞いであったのかとは思うところですけれど、そんなことをすれば店長に怒られるだけですから。
その他にも日本の名だたる食品メーカーや製薬メーカーが、これまた根拠の薄弱というか捏造に等しいレベルの健康グッズを盛んに販売しているわけです。何とも恥ずかしい話ですが、市場にはそれだけの需要があると言うことでもあります。為政者が有権者の水準に引き寄せられていくのと同じように、メーカーもまた顧客の水準に擦り寄っていくところもあるでしょうか。
マイナスイオンだのプラズマクラスターだの水素水だの高音質microSDカードだの、そんなものはハッタリだと理解している人は当然ながらメーカー側にもいるのだとは思います。しかし、それでも発売されてしまう、社を上げて売り込みが図られてしまう辺りに「日本の会社」らしさがあるのかも知れません。日本の会社が重んじるのが何なのか、窺い知れるところです。
結局のところ日本の会社はどこも「コミュニケーション能力重視」「人物重視」です。技術力や科学の素養なんかよりも大切なものがあるのだと言えます。真摯に優れた製品を開発するよりもハッタリで誤魔化す、会社の偉い人の望み通りの回答でご機嫌を取ることの方が優先順位が高いわけです。日本の会社で活躍したければ、知性には蓋をしなければなりません。こんな馬鹿げた製品をラインナップしていけば中国や韓国の企業に追い抜かれるのは当たり前ですよ、と忠告できるような人は就職の段階で弾かれてしまう、あるいは奇跡的に社内に存在していても黙殺されてしまうのでしょう。
日本の技術力云々は、こうしたハッタリ商法の横行を見るに完全に過去の神話になってしまったなと感じます。むしろ近年は中国企業に技術力で追い越されるばかりか賃金水準でも上を行かれるケースが珍しくなりつつあります。日本の会社の偉い人々は日本をどこへ導こうとしているのか、どうにもこのままの方向ですと「技術力は今ひとつだけれど賃金コストは低く抑えられる国」になりそうです。発展途上国にとって、それは通過段階なのですが――日本の場合はゴールになっていそうな辺り、目も当てられません。
費用削減最優先、技術軽視のつけが回ってきていますね。
中国にはソフトウェアはともかくハードウェアの遅れがまだまだあるので、我が国も自動車業界は今のところ持ち堪えているようですが、これからどうなるかわかりません。
それにしても、企業経営者の評価もここ20年で暴落していますね。
今話題の4KテレビでしかもHDR(High Dynamic Range)という肉眼で見たものに近い映像が出せる製品が出ます。
これを電気店で見た人曰く、生々しい映像、鮮やかな色
が出て驚いていたそうです。
しかし、これにはあるからくりがあり、実は業務用の
再生機で放送やディスクではあり得ない超高画質の
映像を流してるだけで、実際のテレビ放送ではあんな
映像は出せないとの事。
(これはNHKが現在推し進めている8K放送も同じで
製品デモで業務用再生機の映像を使っている。)
まさにハッタリで誤魔化す、会社の偉い人の望み通りの
回答でご機嫌を取ることの典型です。
名実ともに神話が崩壊しつつあるなという実感がありますね。
「最強の軍隊・最弱の軍隊」というエスニックジョークがありますが、そこで日本人は、「兵士としては最強だが、
指揮官・参謀としては無能」と語られます。
おそらくジョークの中で軍隊を企業に置き換えれば、
やはり平社員としてはこの上なく優秀でも、
最低の企業の経営者は間違いなく日本人と揶揄されるのではないでしょうか。
私が子供の頃は日本製品は品が悪く貧乏人は日本製品しか買えない、いつかは金持ちになって舶来品を買いたいと大人たちは言っていました。
働く人の賃金と技術力は比例するのではないかとこの頃思うのです。