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非国民通信

ノーモア・コイズミ

お金がないならすき家に行こう

2011-11-03 23:13:00 | 社会

事件発生で巡回指導見送ったら…すき家に強盗(読売新聞)

 26日午前3時50分頃、東京都国分寺市本多の牛丼店「すき家国分寺本多店」に男が押し入り、男性アルバイト店員(20)に包丁のようなものをちらつかせ、「金を出せ、レジを開けろ」と脅し、現金約5万5000円を奪って逃げた。

 店内には店員が1人だけで、けが人はなかった。警視庁小金井署は強盗事件として捜査している。

 発表によると、男は25歳前後で身長約1メートル75のやせ形、いずれも黒の帽子、トレーナー、ズボンを身に着け、白いタオルで顔を覆っていた。

 警察庁は、25日夜~26日未明にすき家の全国の店舗を対象に抜き打ちで防犯体制を点検するよう全国の警察本部に指示。小金井署は国分寺本多店を含めた小金井・国分寺市内の4店舗を巡回する予定だったが、他に事件が発生したため同店は実施されなかった。

 さて、すき家と言ったら強盗、強盗と言ったらすき家ですが、あまりに強盗がすき家に集中するために警察庁から異例の指導を食らったわけです。しかるに全国各地の警察署から抜き打ちで巡回が行われる最中ですら、強盗に入られてしまいました。こうなると、もはや笑い話です。例によって「店内には店員が1人だけ」とのこと。すき家側からすれば追加でバイトを増やすよりも大人しく金を渡した方が安い位なのかも知れませんが、防犯に協力してくれない企業に警察庁サイドが苛立っていたとしても何ら不思議に思うことはありませんね。


「恒例の…」すき家強盗の無職男 自宅の床下に弟の遺体埋めた容疑で再逮捕(産経新聞)

 実弟の遺体を自宅の床下に埋めたとして、埼玉県警捜査1課と川越署は29日、死体遺棄の疑いで、川越市砂新田、無職、児玉一男被告(33)=強盗未遂罪で起訴=を再逮捕した。県警によると、「弟を殺害して埋めた」と供述しており、県警は殺人容疑についても調べる。
 
 調べでは、児玉容疑者は平成22年7月21日午前、自宅床下の地面に穴を掘り、同居していた実弟の会社員、英男さん=当時(30)=の遺体を埋めた疑いが持たれている。
 
 児玉容疑者は今年9月、朝霞市内の牛丼店「すき家」に押し入り、「恒例のすき家強盗です」と店員を脅して逃げたとして、県警が10月8日に強盗未遂容疑で逮捕していた。
 

 そして「恒例のすき家強盗」の中には、殺人と死体遺棄の容疑者もいたようです。現時点では容疑者ですので何とも言えませんけれど、強盗に手を染める人の中には相応に危険な人もいると考えられます。いつの日か、すき家の店員が刺された挙げ句に死体をどこかに埋められるなんてことがないとも限りません。やはり企業たるもの従業員の安全確保に対する一定の責任は求められるもので、「強盗に入る奴が悪い」では済まされないわけです。強盗に入られないための自衛策、従業員の安全を守るための対策を採ることは社会的責任として免れられるものではありません。しかるに、その辺の責任を放棄し続けてきたからこそ警察庁から直々に指導をさせる事態にまで発展したのでしょう。


すき家、防犯強化で「試練」 人件費増で牛丼戦争に影響?(産経新聞)

 外食最大手のゼンショーホールディングスが展開する牛丼チェーン「すき家」が試練に直面している。狙い撃ちの強盗多発を受け、警察庁が異例の防犯強化を要請。深夜帯の1人勤務を改め、複数体制にすることになった。人件費のコスト増が25億円に上るとの試算もあり、収益の圧迫は必至だ。小川賢太郎社長は、業界最安値の牛丼並盛り280円からの値上げを否定するが、すき家がリードしてきた「牛丼安値戦争」の帰趨(きすう)に影響が出るのは避けられそうもない。

 「やっぱりちょっと怖かった」

 すき家でアルバイト経験のある女性は、1人勤務についてこう漏らした。

 警察庁関係者は「『すき家が隙だらけ』ではシャレにならない。被害者ではあるが、強盗を誘発している側面は否定できない」と指摘する。

 同庁の調べでは、1~9月に全国の牛丼チェーンで発生した強盗事件71件のうち9割に当たる63件がすき家で起きた。夜間はアルバイトの1人勤務で、レジが入り口近くに1台しかない店舗が多いことが要因とみている。実際、2人以上勤務でレジがカウンター内にある吉野家は6件、券売機方式の松屋は0件だった。

(中略)

 野村証券の繁村京一郎シニアアナリストは、現在1人勤務の店舗が約1千店あると仮定し、時給千円で7時間勤務のアルバイトを1人増やした場合、年25億円の負担増になるとはじき出した。これは23年3月期の連結最終利益47億円の半分以上が吹き飛ぶ金額だ。

 そんなわけで流石に警察を真っ向から無視するのも限界なのか、今さらながらすき家では深夜帯の1人勤務を改めることになったと伝えられています。この結果、年25億円の負担増になるとのこと。計算してみて気づいたのですが、この数値はアルバイトの額面給与を積算しただけですね。社会保障費の事業主負担分とか、交通費や有給休暇など福利厚生の費用は含まれていないように見えます。大丈夫なんでしょうか? かつてすき家は「会社とアルバイトとの関係は、労働契約関係ではなく、請負契約に類似する業務委託契約である」と称して労働契約関係を否定し、雇用主としての責任から逃れようとした前科があります。こんなところでもやはり、従業員を切り捨てようとする思惑が窺えないでもありません。 参考、個人請負という名の過酷な”偽装雇用”(東洋経済)

 ともあれ、バイトに渡す額面給与だけでも「連結最終利益47億円の半分以上が吹き飛ぶ金額」に達するそうです。それでも尚、業界最安値である牛丼並盛り280円からの値上げには否定的だとか。そこまで安くしなくとも、という気がするのですが、どうなんでしょうね。値下げすれば競合からシェアを奪いやすいというのもあるのでしょうけれど、そうやって業界全体の利益、ひいては日本全体の経済を損ねてきたのがこの十数年だったようにも思うところです。まぁ、むしろ安いものほど価格を気にされがちなところは否定しませんが……

 この頃はTPPがらみで諸外国の脅威がことさらに喧伝されていて、門戸を開けば侵略を受けるみたいな話がまことしやかに語られがちです。外国から安価な商品やサービスが流入して国内産業が打撃を受けるみたいな想定もあるわけですけれど、ただ私が思うに今だって十分、国内産業同士で安値を武器に潰し合いを演じ、お互いの足を食い合っている状態なのではないでしょうか。前にちらっと、国際競争力がある農家は当然ながら国内の他の農家に対しても強い競争力を持つと書きました。外国との競争ばかりを無闇に恐れるよりまず、国内での競争に目を向けた方が良いのではないかという気がしてきます。

 人件費や安全管理費を削って商品(サービス)の価格を下げ、それでシェアを伸ばす企業を賞賛してきたのが我々の社会でもありますが、そういう企業が蔓延ることのマイナス面も、もっと深刻に捉えられるべきです。低価格を武器にシェアを奪い続ける企業よりも、宅配ピザ業界のようにデフレの中でも価格の維持に成功している業界あたりの方が、よっぽど見習うべきところがあるのではないでしょうかね。ダンピングという概念もありますけれど、飲食業界にも少しは規制が必要な頃合いだと思います。その価格で従業員に適正な賃金を支払った場合にちゃんと利益が出ているのか、業界他社を潰すために無理をしていないか、その無理を従業員に押しつけていないか、タクシー業界のようには行かずとも、もうちょっと行政側は安値を売りにするビジネスに警戒感を持ってしかるべきでしょう。

 

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Unknown (不肖の弟子)
2011-11-04 00:25:52
牛丼は、もう少し高くてもいいかなと思います。

それには「最低賃金をもっと引き上げろ」とか「アルバイト待遇でも雇用保険や社会保険に加入させろ」という「底上げ」を叫ぶことと必須なのは言うまでもありませんが。

公務員バッシングに目を吊り上げるくらい熱心な人は「労働ダンピングに手を貸している」可能性に目を向けて欲しいなと思います。


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Unknown (くり金時)
2011-11-04 00:53:57
私も、「すき家」には、夜中に何回か行ったことがある。(強盗にあらず)        「愛想がない」と、思っていたが、事情を知ると、一人で切り盛りしなきゃならないんだから、「愛想良く」なんてできない。(「すき家」に限らず、深夜のファミレスは、人手がいないから、注文が殺到すると「地獄」だとはよく聞く。)そうまでして利益を出さねばいけないのだろうか? 従業員と客の安全は?    会社にとってみれば、強盗に入られたところで、その店の「自己責任」で済まして終わり。防犯に力を入れるよりは、「安上がり」「楽」だからでしょうね。(だから、できるだけ夜中のファミレス等には行かないようにしている。不安で不愉快になるから。)
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すき家って…。 (アゼン)
2011-11-04 01:41:17
「すき家の強盗」って、業界や警察では有名だったんですね。
呆れて渇いた笑いをしました。
更に、過去にすき家強盗したヒトが、身内まで危めているとは。
CMに有名芸能人を使って仮想一家を作って、安売り作戦をしているようでしたが、そういうところにお金をかけても、実際の従業員の命の安全にはお金をかけないんだなぁ…とアゼンとしました(笑)。
よく考えたら恐い企業ですね。
外食産業にはお世話になることも多いですが、今回の背景を知って、少なくとも、従業員さん達の改善が公表されたら、すき家に行ってもいいかな…と、思いました。
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Unknown (spec)
2011-11-04 04:30:41
 私は相当頻繁に牛丼店を利用します。牛丼店でバイトしたことはなくあくまで印象ですが、吉野家がいちばん従業員の待遇が良さそうな気がします。
 深夜でも従業員は必ず複数いるし、店内もきれいです。すき家、松屋よりきれいです。 現在の社長が、バイト上がりなのも有名でそのせいもあるのかもしれません。
 
 逆にすき家は、従業員がいつも少なめで、店内もきれいとは言い難いです。
 吉野家不信・すき家好調の大きな一因が、従業員への待遇にあるならば、消費者にも責任があるともいえそうです。
 といっても、仮に同じ品質ならば、従業員の待遇が劣悪でも、そのおかげで商品が安いならば、そちらを利用するのも当然の行動で、やはり法律で縛るしかないのかも。

 
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Unknown (spec)
2011-11-04 04:40:04
 追記。もちろん、吉野家とすき家は同じ味ではなく一般論ですが。個人的には吉野家の牛丼がいちばんおいしいですが、100円高いので、松屋の利用が一番多いです。
 とにかく、ブラック企業の方が市場のシェアを獲得できるというのは良くなく、何とかならないものかと思います。あるいはそれが資本主義の本質なのでしょうか。
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Unknown (非国民通信管理人)
2011-11-04 23:53:52
>不肖の弟子さん

 前のエントリでも書きましたけれど、その辺の「強欲な」投資家よりもよっぽど、自分の金(税金)が使われる先には傲慢な人が目立ちますからね。他人の労働者としての権利など考えない人が多いわけです。

>くり金時さん

 望んで深夜に働きたがる人も、そう多くはないでしょうからね。それが薄給で、かつ強盗に入られる危険までついてくるともなれば不機嫌にもなったとしても責められません。

>アゼンさん

 ちょっとぐらい安くても、従業員(場合によっては客もですが)の安全すら確保できないような企業ともなれば、敬遠したくもなるところです。この状況が変わるまでは、ささやかな抗議として数寄屋は利用しないでおこうと思いますね。

>specさん

 確かに吉野家は同業他社より店員が多いイメージがありますね。無理をさせないためには、それくらい必要なのでしょうか。BSE騒動以来、シェアを奪われつつあるとも聞きますが、できるだけ労働環境のいいところを応援したいものです。チョコとコーヒーに関しては「フェアトレード」なんて概念もありますけれど、牛丼だって同様に、働く人に無理を強いていないかを選択の基準にするみたいな動きがあってもよさそうですね。
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Unknown (まつぼっくり)
2011-11-05 11:21:59
「企業だけが大きくなる」
納入業者・流通過程でのコスト圧縮で価格を抑えるのは無理があります。社員を薄給で過労死させるまでプレッシャーを掛ける飲料販売の会社もその一例ですが、消費者が“安い”だけを選択せざる得ない経済状況をなんとかしてもらいたいですね。流通の上流部に位置する会社が絶対有利な経済姿勢を政治、行政主導で変えていってもらいたいですね。エンドユーザーは全国民なのだから。
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Unknown (非国民通信管理人)
2011-11-05 23:40:23
>まつぼっくりさん

 まぁ雇用側有意の力関係の構築に努めてきたのが近年の改革であり、それを実行する政府を支持してきたのも国民ですからね。もうちょっと、まともでバランスのとれた経済感覚を持った政治家が表舞台に出られるようであってほしいところです。
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24時間 (moon)
2011-11-06 14:58:04
24時間やる必要が有るのかな
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Unknown (IBA)
2011-11-06 23:13:26
 これじゃあ、客も安心して行けませんて。
 売り上げも減っちゃうんじゃないかな~。
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