非国民通信

ノーモア・コイズミ

秋田の努力は実ったか?

2007-10-01 23:08:05 | ニュース

自殺対策のトップは秋田県 自治体施策をNPO調査(共同通信)

 年間の自殺者が9年連続で3万人を超える中、自治体による自殺対策は、自殺死亡率が高い秋田、岩手、青森など東北地方で進む一方、東京など大都市で立ち遅れる傾向にあることが30日、「自殺対策支援センター ライフリンク」の全国調査で分かった。対策の内容を50点満点で評価すると、秋田県が44点でトップ、自殺死亡率が全国最悪県だけに県を挙げての努力が数字に表れた。最下位は山梨県。

 自殺対策のトップが秋田県なのだそうですが、どうなんでしょう? 自殺率のトップも秋田県であるわけです。記事ではさらっと流していますが、自殺対策がトップなのに自殺率もトップと言うことは、すなわち対策が有効に機能していないと言うことのような気がします。東京など大都市では自殺対策が立ち遅れる傾向云々ともありますが、そもそも大都市では自殺率も相対的に低いわけです。他の県と比べて自殺対策が立ち後れているとは感じにくいのではないでしょうか。

 「自殺率が高いから対策が必要」と、この順序で考えると東北地方で自殺対策が進むのは納得できるのですが、順序を入れ替えてみると何とも不思議です。「対策が充実している都道府県ほど自殺率が高い」ことになるわけですから、その対策とやらが根本的に間違っているのではないかと勘ぐりたくなります。

 概ね北国の方が自殺率は高くなります。日本だけで見ても九州地方よりも東北地方の方が自殺率が高いわけですし、ロシアも自殺率は高いです。そして国民の生活満足度が高いはずの北欧諸国も自殺率はかなり高めです。太陽の差さない暗い気候がそうさせるという説もありますが、国内の統計を見る限りではむしろ春先の自殺が多いですので、その辺の因果関係は不明です。

 もう一つの傾向としては、経済的な要因が挙げられます。都市部よりも地方で、好況の自治体よりも景気の低迷する自治体で、より自殺率は高まります。貧困を苦にして自殺するケースも考えられますし、そうなると自殺対策云々ではなく生活者レベルでの景気回復が必要でしょう。

 そもそも記事本文の「県を挙げての努力が数字に表れた」という表現はちょっとおかしいと思います。一体何のための努力だったのでしょうか? 「自殺対策」のテストで高得点をとるための努力でしょうか? それは違うはずです。そうではなく、自殺者を減らすための努力だったはずで、自殺者を減らして、それで初めて「県を挙げての努力が数字に表れた」と言えるわけです。「自殺対策」は手段であって目的ではありません。問われるのは対策の充実ではなく、対策の成果なのです。

 

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コメント (5)
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