鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・嫌いな言い方、「生き様」(イキザマ)

2014-06-27 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~2015年

嫌いな言い方、「生き様」(イキザマ) 

                                情報プラットフォーム、No.321、6月号、2014、掲載予定

 

 何故濁るのだろうか。生き様(イキザマ)と言う表現が好きになれない。音の響きが良くない。生き方(イキカタ)ならば許せる。使う場面・場合によっては生き様(イキザマ)の表現が当てはまるだろう。「ザマ見ろ!」、「何というザマだ」のように「ザマ」は、非難めいており、否定的である。ど うも濁音になるとマイナスのイメージに思える。

 土佐はトサであり、ドサではない。路面電車の土佐電鉄の略称は土電(トデン)である。しかし、予土線(ヨドセン)も土讃線(ドサンセン)も何故 「ド」となるのだろうか。答えは土佐国の令制表記が土州(ドシュウ)であることから来るのであろう。伊予は予州(ヨシュウ)、讃岐は讃州(サン シュウ)、阿波は阿州(アシュウ)、土佐は土州(ドシュウ)だから、予土線、土讃線、そして予讃線となる。

「ど根性ガエルぴょん吉」は、ひろし 君のシャツの胸に張り付いてしまったカエルである。強調の濁音「ド」は、土性骨(ど性骨)なども含めて違和感はない。南国市の正式の名称は「ナン コクシ」と柔らかい響きである。でも「Nangoku」の交通案内標識も多い。ペギー葉山の「南国土佐を後にして」のナンゴクが効いているのかも 知れない。

  濁音を持つ単語は後でも示すようにマイナス・イメージの濃いものが多い。濁音2個を持つ単語を選んでみる。特にイメージの悪くない単語は、万 歳(バンザイ)、抜群(バツグン)、美人(ビジン)、仏像(ブツゾウ)、番組(バングミ)、団子(ダンゴ)、次元(ジ ゲン)、現代(ゲンダイ)などである。次に、イメージの良くない単語を拾い出し、それらで言葉遊びをして見た。

  「極道者(ゴクドウモノ)は讒言(ザンゲン)により逆賊(ギャクゾク)として土壇場(ドタンバ)で地獄(ジゴク)に落と され、言語道断(ゴンゴドウダン)の毒舌(ドクゼツ)、独断的(ドクダンテキ)な罵詈雑言(バリゾウゴン)で甚だ(ハナハダ)分が(ブガ)悪く、邪道(ジャドウ)であると出鼻(デバナ)を挫(クジ)かれ、壇上(ダンジョウ)で地団駄(ジダン ダ)を踏んで見せても、濁声(ダミゴエ)で頑張って(ガンバッテ)仁義(ジンギ)を切っても、忸怩(ジクジ)たる思いで土下座(ドゲザ)で懺悔(ザンゲ)しても、断食(ダンジキ)の努力(ドリョク)も独善的(ドクゼンテキ)と断罪(ダンザイ)さ れ、多勢(タゼイ)に無勢(ブゼイ)の無駄働き(ムダバタラキ)に過ぎ(スギ)ない様(ザマ)で、馬鹿馬鹿しい(バカバカシ イ)限り(カギリ)の侮辱(ブジョク)である」となる。この中で、「無駄働き」、「出鼻」、「濁声」などは、後の「働き」(ハタラキ→バ タラキ)、「鼻」(ハナ→バナ)、「声」(コエ→ゴエ)と濁っている。この現象を連濁と呼んでいる。刑務所、役所に対して、派出所、近所、便 所などは連濁を起こしている。連濁には規則性はあるが、例外も多い。南国の場合は揺れている例である。○○南国店、南国○○の読み方は? どうも連濁の「ナンゴク」が優勢に感じられる。

 子供の頃、ガ・ギ・グ・ゲ・ゴの発音を注意された。上品さが欠ける、汚なく感じられると母に叱られていた。直ぐに忘れて、鼻濁音(ビダクオン)でな くなっていた。最近は地域によらず、世代によらず、鼻に掛けかける鼻濁音を知らない人々が多くなっている。鼻濁音は日本語から消えていく様に思わ れる。絶滅危惧種かもしれない。

  濁音の連続する単語が方言の中には存在する。探し出したものを紹介しよう。島根県出雲地方ではヨダレ(涎)を「ごぼじ」、秋田県(下北、鹿角 市)ではハヤク(速く)を「ぐぐど」、ワガママ(我が侭)を「だじゃぐ」と言うことを見つけた。土佐での3連続濁音の単語では栗焼酎「だばだ火振 り」がある。共通語では先の「土下座」(ドゲザ)がある。

  生き様(イキザマ)はどうしても好きになれない。壮絶な生き方を表現する場合に限られるべきである。(○)と対になる掛け算の(×)は、濁音のバツか、 半濁音のペケである。

 

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鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

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