山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

ハードボイルド・エッグ

2012-01-08 13:51:02 | 読書
仕事で精神的ストレスを溜めこみ、気晴らしにエコプロダクツの見学記録など書いていたが、最近並行してやっていたことは、この本を読むことだった。そして今日読み終えた。

やっぱり私にとって「荻原浩の作品はいいなあ」と思う。ストレス解消できるし、いやなことを忘れて明るくなれる。

この作品は、失踪したペットの捜索ばかりやっている私立探偵の主人公男性最上(33歳)と、そこで無理やり働き出した年寄りばあさんの片桐綾が織りなす喜劇である。
私はまだ「ばあさん」ではないが、妙にこの綾に共感してしまうのだった。そして、雇い主の最上は、最初は婆さんを一日も早く追い払おうと思っていたが、行動を共にするうちに、しだいになくてはならぬ相棒と化していくのだった。

全くおかしいし、温かいし、スリル満点だった。

荻原浩の作品は、世の中の片隅でカッコ悪く生きている人間が、それぞれの個性と才能を出し協力しあって、爽快なことを成し遂げるという筋書きである。いつもこのパターンというのが、決してマンネリではなく、彼独特のさすがのすばらしいパターンなのだ。

この作品でも、動物探ししか依頼の来ない探偵・身よりのない年寄り婆さん、登校拒否の少年・ホームレスのおっさん、飼い主に捨てられたシベリアンハスキーなど、一見どうしようもない存在が、活躍して、事件を解決する。

動物探しのベテランである主人公の最上の一生懸命さにも共感できるし、人生の末期に至って、人生でやり残したことをやった綾にも共感するばかりだった。
綾がやりたかったことの1つは、車の運転であり、結果としてとんでもない状況でそれをかなえることとなった。(それは最後にわかったことだが・・・。)動物やクルマが好きな私にはぴったりの内容だ。

この作品の中で、綾が日本で7番目の女性ドライバーだったとホラをふく場面があり、主人公最上が最後に綾の部屋の本棚にみつけたものは「女性ドライバー渡辺ハマの生涯」という本だった。
ほんとうにそんな本があるのかと思って、検索してみたところ、それと同じ本は実在しないようだが、「渡辺ハマ」という人は実在し、大正6年(1917)に初の女性ドライバーとして運転免許をとっているという事実があることがわかった。栃木県の人で、1月に東京に出てきて自動車学校に通い、4月に自動車学校を卒業した後は、自動車商会で見習いドライバーとして働きながら、9月に運転免許の試験を受けて合格したのだそうだ。それで、9月27日は女性ドライバーの日となっているそうである。当時ハマは23歳だったという。綾はそれとあまり変わらない時代の人であるので、かなりの年齢であることは間違いない。綾の部屋の机の上には「中高年から始める運転免許取得」という本もあり、綾が人生で想い残していたことは、運転免許をとりたかったということが分かる。
私は、50歳を前にして運転免許が取れて良かったなと思った。もし取らなかったら、80歳を過ぎてこんなふうに思ったかもしれない。綾の本棚には「会計簿記・早わかりガイド」という新しい本もあったという。年をとってから女が働ける仕事といえば「会計簿記」であることは、私もつくづく感じる。一般事務などの求人を見ると「会計簿記の出来る人」という条件のものがある。これは今からでも間に合うかな?実際には、若い時に身につけて、その後の実務経験がなければ就職はできないだろう。

なんだか、本の内容より自分のことになってしまったが、今のところ「簿記」を習う予定はない。最近は、なんだか仕事のことでうつ状態が続いている為か、せっかく取った運転免許でドライブに出かけるのも気が重く、3連休だというのに、家の中にこもっている。クルマに乗らないと運転するのがますます怖くなるという悪循環だ。

とはいえ、気が重いのに無理に運転をする必要もなかろうと思い、今日も読書をすることにしたのだが、ハードボイルドエッグで少し元気が湧いてきたようだ。

主人公最上の車はステーションワゴン。愛読書は「レイモンド・チャンドラー」作の探偵小説。マーロウを主人公にしたハードボイルド。
綾が読み始めていた「長いお別れ」でも読んでみようか。


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