ローマ帝国衰亡史(ギボン)の失敗

2014-12-30 00:00:12 | 書評
rome2ローマ帝国衰亡史を読むために、ローマ史の概説書を読んだりしたのに、ちょっとした不注意で大失敗してしまった。(ローマ帝国自体の失敗談ではない)

というのは、「日本語訳」を買うつもりだったのに、「日本語編訳」本を買ってしまったこと。よく見ると「普及版」と書かれている。

八重洲ブックセンターに行って、店内検索システムによって目的の書棚に行くと、上下巻各950円税別の新書サイズのものと、ハードカバーでずっしりと重い8000円くらいのがあったわけだ。8000円くらいのものと2000円くらいのものを比較するために第一章の最初の方を読んだところ、同じ内容であり、8000円の方は地図や遺跡の写真などで構成されているように思って、それなら軽い方がいいや、としたのだが、果たして8000円の方は完全訳だったのかどうかも、わからないが、いまさらそれを買おうとも思わないので、「編訳」というのを読むこととなったのだが、・・

きちんと訳していると思われる部分もあるが、まったく翻訳から離れて、「ギボンの考え方は、これこれしかじか」と大胆にサマリーされている部分が多い。それでは編訳でもないのではないかと思うし、実は、その部分の方がギボンの言いたいことなのではないかと、少し感じた。

何がいいたいのかというと、ローマが衰亡したのは、ローマ帝国という素晴らしい組織が少しずつ同時代の誰も気がつかないようなほころびを広げていったのか、巨大事件Aとか事件Bというように階段状に崩れていったのかということがよくわからなかったこと。

さらに、ローマという大帝国が衰亡したことは、必然だったのか偶然だったのか。そういう歴史観が「編訳」では伝わらなかったことなのかもしれない。現代の常識からいうとローマ帝国はかなりいい加減な政府組織であったにもかかわらず、あれだけ長い時代を生き続け世界の科学や文化に大きな影響を与えたわけで、やはり同時代の人というのは、どういう政治形態が正しく、あるいは何が合理的なのかということがわからないからなのだろうとおもうわけだ。