温故知新No2

静岡県の牧之原市から、盆栽、野球審判、蕎麦打ち、おやじバンド、その他徒然なるままに、ブログしています。

2014吉田高校最後の卒業式&閉校式No3

2014-03-03 21:36:09 | 日記・エッセイ・コラム

午後は、吉田高校閉校式。
おそらく一部の教師以外はめったに経験することのない、最初で最後の閉校式。
どんな感じで執り行われるだろうと興味津々であった。
会場の体育館には、午前中卒業式を終えた3年生も交え、生徒は全校生。
また、歴代校長、教諭、PTA,後援会OB。そして、近隣高校の校長とともに、県教育長も見え総勢500人。
もちろん教育長は主賓であるとともに、吉田高校最後の大事な儀式の当事者でもある。
閉校式は、式次第に従い、粛々と行われていった。


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挨拶の最初は、校長。
吉田高校の生い立ちから、その当時は県内でも珍しかった英語科、保育科を備えた特色ある学校と自由はつらつを信条とした教育方針などが紹介された。
また、新たな清流館高校は新設校とはいえ、大井川高校へのいわば統合。
今の2、1年生は、4月からそちらに通うことに。
校長は、その大変さに気を使うとともに、清流館高校へ吉田高校の伝統に流れる精神を受けつないでくれとのお願い。
きっと長い挨拶であったと思うが、生徒、同窓生、地元吉田町への気遣いが丁寧に読み上げられ、短く感じられた。
次は、来賓あいさつのトップバッター、県教育長。
ところが、教育長、またその後の県高校校長会代表のあいさつは、吉田高校校長挨拶と基本が全く同じ。
生い立ちから、特色ある課程、地元の建設招致の熱意など、ほぼ同じようなあいさつであった。
おそらく、あいさつ文を作るためのソースの出どころは同じもの。
そこからあいさつ文を考えれば、自ずと同じ文脈が展開される。
ところが、来賓あいさつの中で、吉田町長は、唯一他の来賓とはだいぶ違った挨拶をした。
原稿もなく、心に思うことをその場で話し始めた。
元々町長は、閉校式のあいさつなどは、人間でいえば、葬儀での弔辞、閉校式で挨拶などしたくないといっていた。
だから、そんな町長はどんな話の切り出し方をするのか、興味津々であった。
その話の初めは、人間は2度死ぬ、との会場への疑問の投げかけから始まった。
007は二度死ぬかもしれないが、普通はあり得ない。
要は、町長曰く、心臓が止まりいわゆる生物学的に死となる時が最初の死。次の死は、その方の記憶がすべての関係者から無くなったとき、おそらく関係者すべてが亡くなったとき。
これを今回の吉田高校にたとえると、閉校式当日が最初の吉田高校の廃校、そして、関係者全てが亡くなったときが2度目の廃校。
ただし、関係者から吉田高校のことを聞かされ、記憶にとどめ引き継がれれば、廃校は先送りされる。
なおかつ町長は、吉田町の歴史がある限り吉田町の記録からは永遠に消え去ることはないと力強く宣言した。
いわば、吉田高校は、ほぼ永遠に記憶に、記録に残り、消え去るものではないと伝えたかったのだろう。
また、町長は、もうひとつ大事なことを少し感情を高ぶらせながら、会場の参加者に伝えようとした。
それは、汗水流し、苦労して吉田高校を招致した地元先人たちに、今回の吉田高校閉校は、申し訳が立たない、先人たちが将来の榛南、吉田町のあるべき姿を夢見て高校の必要性を訴えた、その先見の明を踏みにじむような結果となって残念だと声を高くした。
おそらく町長のあいさつを聞いた会場の参加者は、閉校ということがどんなに重きことであり、過去の歴史的経緯を反故にすることが果たして可能なのか、と疑念を抱いたことだろう。
ただし、吉田町長は、その恨みつらみを言うだけではなかった。
廃校とした今の私たちができることは、吉田高校の伝統を絶やさないこと、特に清流館高校に入学する生徒たちが、吉田高校の気質と伝統を注入して清流館高校を作り上げていくことが先人に対し今できることであると締めくくった。
吉田高校がなくなる地元の淋しさを常に憂い、しかし前向きに進むしかないとの結論。
さすが、地元町長、力強い挨拶は、他のどんな挨拶よりも出席者の胸に強く響いていたことだろう。
【写真↓:式に始まる前に、過去からの映像が納められたDVDを流し、みんな釘づけ。】

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【写真↓:安倍教育長の今日の仕事は、あいさつを述べるとともに、降納された吉田高校の校旗を県教育委員会に持ち帰ること。演台右の旗棒には、すでに校旗が卸されている。】

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【写真:↓:今回参加者に配られた記念品。】

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